私の好きな道 #22 道道142
北太平洋シーサイドライン
釧路→根室

赤は当該区間

 その名の通り道東の太平洋岸の最北部、釧路から根室へ向かう一番海寄りの道です。
 非常に大まかに分けるなら、釧路・尾幌、国道44を挟んで厚岸・霧多布へ続く、小さな漁村を結ぶ海岸のアップダウン、霧多布から榊町への海岸沿いの平坦区間、榊町から初田牛へ開けた海岸沿いのアップダウン、そして初田牛から根室までは再び台地上の森の道という捉え方ができます。

 しかしこの道の大きな特徴は、区間ごとの地形ではなく、夏に多発する濃霧ではないでしょうか。海から押し寄せる濃霧は、この道よりほんの少し北側で内陸部の空気と拮抗するようです。霧の中は15℃〜13℃、またはそれ以下ととても気温が低く、低温のためか、幹が細く背が低い、独特の鬱蒼とした密度を持つ森と共に、この辺りの景色のひとつの要素にすらなっています。
 その森が印象的なのは東側の落石・初田牛間、西側の霧多布・厚岸/尾幌・釧路間。

 一方、初田牛・霧多布間は途中しつこい岩場アップダウンはありますが、基本的に開けた見晴らしの砂浜主体の道。また、尾幌・釧路間でも時々台地上から海の見晴らしが開けます。
 これら閉鎖的な森と開けた太平洋の景色には終始静かなもの寂しい印象が漂い、道東太平洋岸の強烈な印象をたっぷり味わえます。

 初訪問時の1986年、標茶から厚岸への道の強い日差しで、水膨れができるほどの急な日焼けに悩まされた直後。厚岸の手前で現れた霧の中は、信じがたいほどの低温でした。その凍えるような低温と、予想していなかったしつこいダートアップダウンの後、へとへとで辿り着いた藻散布の海辺の民宿。荷物を下ろす最中、足にたかったウンカのような小さい虫を手で払うと、何と手が血で真っ赤に。そう、その小さい虫は、噂には聞いていた吸血昆虫ヌカカだったのです。その宿にころげ込むと、何とストーブが焚かれていたのでした。ストーブに当たりながら食べた夕食の、花咲ガニと毛ガニの味噌汁「花毛汁」の濃厚な味は、未だに忘れられません。北海道の夏は3回目でしたが、まあいろいろ信じ難い体験を一度にして、この道はとても印象深い道になったのでした。

記 2006/2/27

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Last Update 2009/7/11
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