古丹→(国道243)弟子屈
→(道道53)ヌマオロ
→(町道)ヌマオロ川橋
→(道道243)下久著呂
→(道道1060)塘呂
→(道道221)上尾幌
→(道道1128)太田
→(道道14)大別
→(道道813)トライベツ
→(道道808)茶内原野
→(町道)浜中
→(道道123・町道)奔幌戸
→(道道142)落石
200km
落石
初田牛
奔幌戸
浜中
トライベツ
別寒牛湿原
大別
太田
上尾幌
塘路
下久著呂
ヌマオロ
弟子屈
古丹
起きた時には窓のカーテンの外が明るく照らされているような気もしたが、自転車に荷物を取り付けているときには空は何だか白い雲に覆われていた。
6:40、のんき舎発。走り出してみると屈斜路湖外周の山肌が明るく照らされていたり、またすぐに太陽が雲に覆われたり、いずれにしても空の雲は比較的低いがそう厚くもないようでもある。
摩周湖への道道52の分岐にあるセイコーマートで、例によって朝食を取る間、空はだんだん晴れてきた。
7:25、弟子屈発。
弟子屈から鶴居を経由して釧路へ向かう道道53を通るのは、89年・94年に続き3回目だ。前回2回ともちょうど北海道の冷夏と重なり、雨の中何も風景が見えずに際限無いアップダウンだけが印象に残り、しばらく通らなかったのである。しかし、晴れた空の下、今まで天気だけで印象が悪かったと言うには、今日の道道52の風景はあまりにも素晴らしい。
弟子屈の町を出ると、しばらく雄阿寒・雌阿寒岳を眺めながら牧草地の中を進み、弟子屈外れの平野部を抜ける。朝の牧草地は緑が輝くような鮮やかさだ。すぐに阿寒から続く丘陵地帯に突入すると、近くの山に囲まれた緩く波打つような丘がどこまでも続き、広葉樹・植林っぽい針葉樹の森林と、緑の牧草地が代わる代わる現れる。木々の濃い緑も牧草の明るい黄緑も、鋭い太陽光線を受けて鮮やかとしか言いようがない、濃厚でまぶしい色になっていた。
例によって地図を勘違いして曲がるはずの1本手前で曲がってしまい、標茶方面に行きかけてから細い道道243で軌道修正。丘陵地帯を横断して釧路湿原へと向かう。
午前中のハイライトのはずだった釧路湿原の中のダート1本道、道道1060は釧路湿原の高い下草で周囲の見通しが悪く、意外にも埃っぽく砂利っぽく走りにくいダートという以外に余り変化のない道だった。むしろ湿原の手前、丘陵地帯の道道から見下ろしていた方が湿原の眺め自体は良い。しかし、時々脇を流れる川や終わり近くで渡る釧路川には、確かに釧路湿原ならではの迫力がある。どこか懐かしい草の中の埃っぽいダート1本道もそう捨てたものでもない。
10:10、塘呂通過。
上尾幌・太田・大別・中円朱別と、浜中まで根釧台地内部の道道をつないでゆく。
塘呂から上尾幌・大別と厚岸近くまでは、緩やかな起伏の丘陵の牧草地がひたすら続く。牧草地の中を駆け上がると、広葉樹・エゾスギ・カラマツの林や丘の上の牧草地、丘陵の展望が開ける。もう雲もほとんど消え、濃い青空と鋭い太陽光線の下、牧草地・森林はコントラストの強いとても印象的な色になっていた。太陽光線は厳しいが、台地を抜けて行く風は冷たいのが気持ちいい。濃い青い空に強い光・強い色彩・そよ風と、木も草も鳥も虫も短い夏を謳歌しているかのようだ。
牧草地の真ん中に夢風舎という喫茶ギャラリーと、グリーンウェーブというソフトクリーム屋があった。ツーリングマップルに載っているのは夢風舎だが、グリーンウェーブの方に入ってみる。
ソフトを注文してちょっと話をしてみると、これだけ天気が良くなったのは、今日が始めてとのこと。ずっと雨で気温が低かったので、今年は夏が来なくてこのまま秋になるんじゃないのか、なんて話してたそうだ。しかし、今日の風景に秋の気配は全く無い。
12:20、グリーンウェーブ発。それまでと同じような牧草地の丘陵が続くが、アップダウンの波は次第に大きくなっているようだ。釧路湿原近くの原野の風景が、だんだん浜中とか別海の牧場の風景に近くなってゆくのだと思う。
12:40、太田通過。太田・大別からは99年に通った道道813号上風連大別線を行く。今日は上風連までは行かずに、トライベツで南に曲がり浜中を目指すのだが、大まかに言うと、別寒辺牛までは大型の湿原と島のように立ち上がる台地を緩いアップダウンで抜ける区間、それ以降は大規模の牧草地をやはり緩いアップダウンで抜ける区間ということになる。
他の場所が晴れていても、いつも必ずそこだけ雲がかかっている別寒辺牛の湿原地帯が今日は晴れている。緑の感じや周囲の展望はどこか優しい雰囲気で、いつもの何とも言えない深い茂みのような印象とは、風景のニュアンスが全然違う。何だか得をしたような気分だ。
だだっ広い牧草地に数軒の牧場農家と小さな学校がかたまっている若松で別寒辺牛の湿原は終わり、再び牧草地の道が始まる。塘呂から上尾幌、太田までの風景と較べて緩くなった起伏の台地に、緩やかなカーブや視界の限界まで続く一直線の道が続く。高台では台地じゅうが見渡せる展望が素晴らしい。遠くには西別岳や知床側の斜里岳なんかも見える。
以前からこの道道813は大好きな道だったのだが、今回のように道道221・1128と組み合わせると、なかなか素晴らしい根釧台地横断ルートができてしまう。適度に風景に変化があり、緩いアップダウンもあって、ほとんど無人に近いエリアだが、自転車でも楽しめる。
トライベツで道道813から808へ乗り換え、今度は浜中へ向かう。そのまま808に乗り続けると浜中より東の茶内に出てしまうので、途中で適当に町道に移る。道路規格の関係か、アップダウンなどは町道の方が道道より厳しい。国道42号をなるべく走りたくないので、合流地点が近くならないように注意して進む。
14:55、浜中発。国道42号を越えると、急に空気が冷たくなって風が強くなった。釧路・根室の太平洋沿岸特有の気候だ。知っているので驚かないが、間違いなく16・7℃ぐらいの寒さだ。
台地から海岸通りの道道142、通称シーサイドラインへ降りる。奔幌戸から貰人までちょっとキツ目のアップダウンが続いた後、貰人からは海岸際の1本道となった。前回訪れたのは99年だが、今回決定的に違うのは前回の濃い霧が今日は晴れていて、太平洋から遠景やら陸地側の風景やら全部見通せることだ。見通せるとなるとこの道路の風景は素晴らしい。海岸に沿って続く道路の緩いアップダウン、近くの浜辺や遠くの台地と海から切り立った岩、岸の牧場の緑の草原や湿地帯、広がりのある見通しが何とも気持ちがいい。走ってゆくと海側に間近な海岸の波しぶき、岸側に牧場の牛や馬を眺められる箇所があるのは、はいかいさんのレポート通りだ。
気が付くと、見晴らしのいい海岸の風景全体が、そろそろ赤みを含んだ夕方の弱い日光を浴び、昼間のどぎついまでのコントラストの強い色とはうって変わって、優しい色になっていた。
16:30、初田牛着。そのまま夕暮れの台地上の原生林の中を進み、17:45、カジカの宿着。
夕食では当然のように「北の国から」のロケ地の話題が出た。なかなか見つからない「落石診療所」は、宿主さんによると
「あれ個人住宅なんだよ。場所はちょっと」
とのこと。
「大体ね、不倫して駆け落ちする先の地の果てなんて、落石のイメージダウンもいいとこだよ。離農だって北海道の離農はあんなに暗くない。何か物語が悪い話ばっかりで、暗いよね」
「でも私、北の国からが落石訪問の目的の一つなんですよ」
とバイクのお客さん。
「あ、そう。でもやっぱりイメージダウン!」
「食堂はどこなんですか。あの、お婆さんが居眠りしながら店番してた」
と私。
「ああ、あれもセット。あれ、脚本では若い女だったんだよ。イメージが合わなかったから、換えたんだって」
何だよ、妙によく知ってるぞ、宿主さん。結局好きなのだ、「北の国から」を。
その「北の国から」も、来年いよいよ最終回だと言う話で、その関係の話は終わった。
記 2001.8/14
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Last Update 2004.1/1