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北海道Tour99 #12 1999.8/11 落石→養老牛温泉

今日の経路(赤表示)と今日までの経路(灰色表示)

初田牛

藻散布

霧多布

落石

厚岸

中茶安別

泉川

虹別

養老牛温泉

落石→(道道142号)榊町
→(道道123号)厚岸
→(道道16号)中茶安別
→(国道272号)茶内分岐
→(農道)泉川
→(道道830号・951号)泉川分岐
→(道道14号)虹別
→(道道885号・150号)養老牛
→(道道505号)養老牛温泉
   約174km


 6:30、落石ツアーに出かけた。落石と言えば、「北の国から」の蛍と相場が決まっている。しかし、蛍の住んでいた落石診療所も見たかったが、今回は「北の国から」とは関係無く、落石からちょっと東へ行った浜松という場所を走ってきた。
 この場所で、道道142号は落石・昆布盛の両方の岬と太平洋を見降ろしながら、高台を緩いカーブで通過する。何とも走っていて気持ちがいい風景なのだ。根室へ行く時は大型車がぶっ飛ばす国道44号を避け、道道142号を通る。そしてここの風景は、厚岸→根室のハイライトなのだ。
 実を言うと、ここにも「北の国から」のロケ地があった。が、余り深入りせず、横目で流した。
 今朝は昨日のガスが完全ではないが晴れて、太陽なんかも当たってけっこういいニュアンスで岬が見通せる。気温も20℃台前半と言うところ。ちょっと安心した。まあ、これなら厚岸までは快適だろう。

 7:50、カジカの宿発。さっきに比べ、えらく濃いガスが出ている。50m先は完全に見えない。まあ、気温は20℃位のようだが。
 昨日来た道を初田牛まで戻る。途中一回、川を越える大きな下り登りがあるが、基本的に平坦で、そこそこのペースで走れる道だ。昨日もそうだったのだが、1箇所の登り、ペースの落ちる箇所でのゴマフアブのしっつこいこと。走ってるのに、腿やら腕やら首筋やらに止まろうとする。20km/h以上位出せば、完全に振り切れるのだが。
 このゴマフアブは北海道全域に生息するアブで、基本的に町中以外はどこにでもいるのだが、本州のアブより一回り小さいくせに、はたき落としたぐらいではすぐにまた飛び立つ、恐ろしい生命力を持った吸血昆虫なのだ。この根室→釧路を走る道道142号には、特に多いように思う。

 潅木帯の中を初田牛へ向かうと、ガスが切れる場所と、ガスに完全に覆われる場所がある。ガスが切れると、やはり少し気温は上がるようだ。海岸側の空はもちろんガスが出て見通しが悪いが、向かって右側の内陸側を見てみると、ガスの向こうに青空が見える。今日は厚岸を経由して再び内陸へ向かい、養老牛温泉へ行く予定だ。午後は大変になるぞ、と思った。

 8:30、初田牛を通過。昨日来た道と別れ、そのまま海岸線を霧多布方面へ進む。と、道路が下りはじめ、周囲は濃くて真っ白いガスに覆われはじめた。とにかく近くしか見えない。
 坂を下りきったところで、左側近くに波の音が聞こえた。海岸沿いを走っているのがわかったが、いかんせん何も見えない。突然、登りが始まったり、また下ったり、ふと右側のガスが切れると湿地帯が見えたり、そんな道がしばらく続いた。

海岸沿いの道道142

 9:30、海岸沿いの奔幌戸で休憩。ガスが晴れ、ちょっと明るくなってきた。
 多少気合を抜いててれてれっと走り出してすぐ、後ろから警報を出して近づいてくる車があった。見ると、「カジカの宿」で一緒だった人たちだ。「一緒に昼食にしませんか」と言ってきた。お誘いはありがたいが、今日は(ていうかいつも)先を急いでいる。あまりタイミングよく待ち合せしている余裕はない。「いやー、厚岸の道の駅で食べるつもりなんですよ」とか2言3言交わして、その場は別れた。なんかこういう時、一般民間人と余裕の無い自転車ツーリストのギャップを感じて、ちょっといらだつとともに寂しい。

 ダイナミックに海に面する大きな岩を貫いた榊町トンネルを抜けると、霧はやや晴れてきた。別海・浜中方面からの道道123号と合流し、海岸沿いの平坦な低地を、右に霧多布湿原を見ながら走る。低地10:50、霧多布着。町の中心は道道123号から離れて橋を渡った霧多布半島?にある。町中にしかコンビニが無いとの事なので、霧多布大橋を渡り、例によってセイコーマートで休憩。

 11:30、霧多布発。
 少し霧多布湿原に面した低地を走って、すぐに台地に登りはじめると、再び霧の中に突入し、琵琶瀬高台を過ぎる。
 高台を降りると火散布の漁港だ。霧が急に晴れ、青空が出ている。大きな岩で囲まれた小さな湾にいくつもの小さな漁船が泊っている。小学校があり、いくつもの住宅があった。内陸方面には火散布沼が見えた。86年の最初のツアーで、すぐ隣の藻散布に泊り夏のストーブを初めて見て、翌朝出発した時の風景とあまり変わっていない。

 トンネルを抜け、藻散布で昔泊った宿の建物を走りながら探すと、確か川沿いに…あった。黄色い壁の小さな建物が。もう民宿ではないようだった。
 小さい漁村だったが、心に浸みる風景だった。

 再び高台に登って、ガスっぽい空気に覆われた森林帯の中を延々と走った。一度登ってしまえば、軽いアップダウンがはまあまあ快適に走れるという程度だ。それより、周囲に展望が開けずずっと森林なので、単調といえば単調。まあ、この道道142号線の森林全般に漂う底知れない深さ、厳しさは嫌と言うほど味わえる。
 何人かのチャリダーとすれ違うが、こっちのチャリダーはガード無しも含めると、全員ランドナータイプだった。一昨日の屈斜路湖といい、こういう偏りには何かあるのだろうか。少しずつ標高を上げ、やがて一気に下りが始まった。長い下りだった。そんなに登ってないのに、と思いはじめた辺りで平地が広がり出し、すぐに住宅が現れ、青空の下に厚岸湾が見えてきた。13:40、厚岸着。

 道の駅「厚岸味覚ターミナル コンキリエ」で昼食にする。ここにも浜焼き風のバイキングレストランがあり、大盛況だった。しかし、先を急ぐ今日の私には、隣の小奇麗なレストランエスカルの方が向いていそうだった。
 ここがまたけっこうボリュームのあるレストランで、自転車乗りは要チェックである。

 15:00、厚岸発。町外れで台地へ一気に登る。ここから国道272号への分岐点の中茶安別まで緩やかな登り下り、牧場・牧草地の中を快調に飛ばす。勾配はあるが、緩やかなためにスピードを上げられるのだ。夕方が近づいて温度が下がっているせいか、内陸部だが気温も思ったより上がっていない。
 気が付くと周囲より結構標高を稼いでおり、周囲の牧草地から根釧原野の彼方まで見渡せるポイントもある。標茶から厚岸へ抜けるこの道路、私はかなり好きなのだ。
 このように、道東には楽しい道がたくさんある。

 16:05、中茶安別着。坂込みで25kmを1時間ちょっとオーバー。いいペースだ。セイコーマートで休憩する。そう、中茶安別の交差点には、なんとセイコーマートが出来ていた。地図ではほとんど何も無い場所なのに。
 16:20発。今度は国道272号だ。
 国道272号は、未開の湿原帯を横切るように北上する。低地の湿原・川と高台が次々に現れ、登っては下り、登っては下りとなる。この坂がまた急で、自転車では苦しい。地獄のような272号を10km強進み、茶内分岐で「泉川方面」の看板通りに左折する。

 決して交通量の多い国道ではなかったが、巾も狭い農道は、やはり走っていて安心する。谷と高台・登り下りの世界から抜け出し、ふと気が付けば辺りはもうすっかり夕方で、日なたは赤い光に包まれていた。一方、牧草地に転がるロールの黒い塩ビシートの影・森の影・牧草地の影・丘の影、遠くの山は青みがかった色になっていた。
 夕方の牧草地帯の中を、ダートがあったり、いくつかカーブと坂を登り、やがて道路はほとんど平坦な一直線になった。

夕陽がまぶしい泉川

 虹別へ下る直前、また周囲の台地を一望できるポイントを発見。屈斜路湖の方の山々、西別岳・斜里岳から低い丘、牧草地なんかも段々薄暗くなってきた。空はまだ西の方がオレンジ色だったが、太陽が沈むのは時間の問題だった。

 18:30、虹別のセブンイレブンを出発し北上すると、まもなく昨日走ったばかりの道道885号に合流する。だいぶ薄暗くなっていたが、大好きな道を走れる安心感から、余裕のある気持ちになっていた。夕方ももう遅くなっており、一本道の消点からヘッドライトが現れ、しばらくしてやがて自動車やオートバイが近づいてくる、そんな明るさになっていた。空を見上げると、西の方だけほんのり明るい。
 牧草地も防風林も、もうすっかり暗くなっていた。

 19:30、ダイナモ点灯で養老牛温泉着。明日は湯治日にする。何だか去年と似ているが、中標津が好きで、温泉で休息するとなると、ある程度こんな感じになってしまうのだ。
 宿も去年と同じ花山荘。

記 1999.8/13

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Last Update 2004.1/2
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