厚床→(道道1127・農道)厚陽 |
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川のような国道で、バスは窓の高さまで水を跳ね飛ばし、いや、かき揚げながら、丘陵のアップダウンを粛々と進んでいった。もしこの中を走っていたらと、つくづく輪行して良かったと思った。
登ると牧草地、下ると湿地帯、延々と続く似たような風景の中、西春別、別海と、確実にバスは足を進めていた。バスは偉い。雨は別海を過ぎてもまだ止まず、奥行を過ぎるとワイパーが壊れるのではないかと思うぐらいますます激しくなった。そうかと思うと、湿地帯の真ん中で突如、50mか100mぐらいの間、路面が乾いている場所があったりもした。どういうわけか、そこだけ雨が降っていないよう卯なのである。湿地帯の驚異だ。
いつも天気が変わる厚床の台地に登れば、少しは雨は弱くなるだろうと思っていたが、最後の坂を登り切って変電所を過ぎても一向に雨が弱まらない。厚床駅前でちょっと濡れないといけないな、と覚悟を決めた。ところが、厚床駅まであと100か200mぐらいの国道44の交差点を境に、何とそれまで降っていた大雨が止んでしまったのである。
誰もいない厚床駅の待合室で自転車を組み立て、国道の交差点で少し補給してから、15:30、厚床発。
なだらかに隆起しながら遠くの森まで牧草地が続く。太平洋の寒流の影響を受ける低温地帯だけあって、開けた牧草地には少し寒々しい雰囲気が漂っている。今日も雲が拡がり始めているのもあって、今までの他の場所よりだいぶ涼しい。
太平洋方面の空には、やばそうなとろんとした灰色の雲が東側の根室方面から押し寄せて、少し手前で西側の雲が高い部分と拮抗しているようだった。霧多布までは何とか天気も持ちそうだ。
牧草地を抜け、台地の縁の森の中で下り始めた道は、途中から突然牧草地のダートに変わった。ツーリングマップルにダート表示が出ていないためか、さっき追い抜いていった2人乗りバイクが立ち往生している。
薄暗い丘の向こうに太平洋がちらちら見えたと思ったら、眼前にほんわり明るい太平洋が拡がった。陸地は曇り空だが、海の上は青空のようだ。
周囲が一気に開けたので、近くの草原に放牧中の馬から、遠くの切り立った岸壁もよく見渡せる。
海岸の道道142で、今日の宿がある霧多布方面へ向かう。
馬の牧場や湿地帯を左に、太平洋を右に眺める海岸部、鬱蒼とした低木林の中を進む台地部。海岸と台地を強引に横切るため、標高差40〜80mぐらいまでの際限無いアップダウンが続く。何だか気が急く暗い曇り空のためか、中標津で一度バス輪行の気持ちになったためか、一つ一つのアップダウンがちょっとつらい。。
おまけに内陸方面は再び雨になっているようで、時々その雲の端っこが雨を降らせてきた。海側は雲が十分高いので、平地が続く霧多布方面に何とか早く辿り着かないと。
榊町で短いトンネルを抜けると、最後は霧多布まで低地の道だ。ちょうど都合良く追い風である。
17:30、新川十字路着。交差点から今日の宿、民宿「千船」が見えた。
記 2004.8/31