九鬼港→(県道574)九鬼→(国道311他)賀田
(以上#4-1)
→(国道311他)二木島
(以上#4-2)
→(国道311他)大泊→(国道42)南有馬
(以上#4-3)
→(国道311)松の平→(県道52)札立峠
(以上#4-4)
→(県道52)育生町長井→(県道40他)新大沼橋
(以上#4-5)
→(国道169)七色ダム→(県道34・40他)上瀞橋
(以上#4-6)
→(国道169)小松
(以上#4-7)
→(市道他)小松
(以下#4-9)
→(国道169)竹筒
(以下#4-10)
→(国道169)日足→(県道44)小口
134km
RIDE WITH GPS
国道169とは反対側に、小松の集落へ降りてゆく道がある。以前2007年に一度訪れた道の再訪になるが、瀞峡訪問以降のネタとして、是非こちらへ向かわなければならない。対岸に渡って棚田農村の赤木を経由し、かつ新宮市熊野川町までショートカットを図るのだ。
細道をどんどん下ってゆくと、木材出荷場らしい作業場の脇にトンネルがある。岩山の反対側は、曲がりくねる渓谷の上流側。中を覗くとまあそれなり程度の長さだし、特に登りも下りも無くてれてれっと抜けられそうだ。確か前回もここで不思議なトンネルを眺めた記憶がある。今回は2回目で、この先のコースボリュームも当たりが付いているし、まだ時間はある。向こう側に行ってみよう。
トンネルの先、道状の寄り付きの前には、普通に谷底に北山川が流れていた。さっき以上に山深いはずの場所なのに、目の前で眺める北山川はあっけないほど普通の川だ。誰もいない。建物も何も無い。道も無くダムも無く、流れの音、鳥やカジカの声が響くだけ。
明るい午後の日差しに照らされた谷底で、少しそのまま川を眺めて一休みしていると、車が1台やってきて、私と同じような物好きが少し川を眺めて帰って行った。
トンネルのこちら側では、作業場でフォークが動き始めていた。連休中働いている人もいるのだ。こちらも先へ進もう。
細道の先、岩の向こうの道端に立つコンクリート柱を見て驚いた。掛かっているはずの吊り橋が無くなっているではないか。渡ろうと思っていた吊り橋が無いのだった。そんな馬鹿な、とはいえもともと掛かっているのが不思議なほどもの凄い谷底の吊り橋だった。渡った先も軽自動車ぐらいしか通れそうな道だったし、前回通ったのは10年前。橋が無くなっていても何も不思議ではない。
仕方無い、この谷を抜けるには引き返して、さっき半ば他人事のように眺めた国道169のトンネル区間を突破するしかない。そして国道169から当初のコースに戻るにはやや遠回りとなるので、この後の行程自由度が一気に無くなったことになる。
15:25、小松着。道はこの先で行き止まりなので、一応最後まで行ってみることにする。
集落最後の民家の先、地図で読める場所通りに、唐突に道は終わっていた。まあ当然のように、何があるわけではない道の終わりだった。
帰り道、小松の集落で家の前に出ていた方に、吊り橋の経緯を尋ねてみた。紀伊半島全域に被害が出た平成21年の台風で、この小松橋も落ちてしまい、その後未だに復旧されていないそうだ。復旧の予定は無いとも仰っていた。しかし、復旧しないというわけでもないらしい。
あの印象的な小松橋を、再び渡れる日が来ることを期待しつつ、今のところはとにかく前に進むしかない。
通るはずだった吊り橋を見上げ、これから先のトンネル連続区間を想像しながら北山川の瀬音、渓谷に響く鳥やカジカの声を耳に刻み、午後の日差しで眩しい激坂へ。たかだか80mの登りが、何とも億劫だ。
ついさっきまで、まさかここに戻るとは思わなかった国道169分岐に到着。訪れてみれば大変あっけない行き止まり集落の訪問だったが、何だかさっきスルーした、北山川対岸の小森も脚を向けるべきだった、と思った。次回は必ず機会を作って訪問しよう。
記 2016/6/12