九鬼港→(県道574)九鬼→(国道311他)賀田
(以上#4-1)
→(国道311他)二木島
(以上#4-2)
→(国道311他)大泊→(国道42)南有馬
(以下#4-4)
→(国道311)松の平→(県道52)札立峠
(以下#4-5)
→(県道52)育生町長井→(県道40他)新大沼橋
(以下#4-6)
→(国道169)七色ダム→(県道34・40他)上瀞橋
(以下#4-7)
→(国道169)小松
(以下#4-8)
→(市道他)小松
(以下#4-9)
→(国道169)竹筒
(以下#4-10)
→(国道169)日足→(県道44)小口
134km
RIDE WITH GPS
道は湾の一番奥から更に先へ進み、さっき分岐した新道へ登り返す。その坂があまりに唐突に始まって、しかも急なので、こんなことなら新道へ行くんだったなどと思うのも大変現金だ。しかしまあ、小さい漁村の風景はこよなく楽しかったし、未済経路を訪問できたことにもなった。
再び合流した新道は、トンネル含みとは言え、道自体はかなり枯れた雰囲気だ。旧道がかなり狭い道なので、この道の中では初期に造られた道なのかもしれない。
トンネル迂回のちょっとした旧道へ。悪あがきのような迂回のつもりだったが、遊木町の漁港と集落、そしてエメラルドグリーンの湾を見下ろす眺めが待っていてくれた。
いよいよ次は新鹿だ。今日の海岸区間で一番楽しみなあの素晴らしい砂浜を前に、空の雲は完全に消えつつある。考え得る最高の展開である。
真っ青な海を見下ろし、明るい緑の中を道は海岸へと下ってゆく。 ▼動画1分54秒 新鹿町への道
新鹿の手前に、湾と砂浜を一望する場所がある。私的には新鹿というより新鹿手前のこの場所が、見所多いこの国道311海岸沿い区間中、2つめのハイライトだ。実はPCのデスクトップでも時々眺めている写真と全く同じ風景なのだが、今日の雲一つない青空で、エメラルドグリーンの澄んだ海、新緑の山に真っ白い砂浜が、写真より鮮やかに見える。それに、1回目は晴れだったが2回目はあまり冴えない曇りだった。
今日は風もあまり吹いていないし、微風が吹いて時々波の音や鳥の声が聞こえるだけだ。休んでいると、軽トラがゆっくり通り過ぎていく程度に人も見かけない。しばし脚を停めても、遠望する新鹿の砂浜と海岸の家並みに対して、こちらの私的名所、いや、単なる道端には日向で日差しが暑くなり始めている以外に何も無い。しかし、なかなか狙って見ることができるものではないこの風景。取り付く島は無くて、決して自分の物でもないのに、また来て良かった、今年も紀伊半島に来れて良かったという気持ちで一杯になる。
9:50、新鹿着。
昨日紀勢本線から眺めた「日本で一番美しい海水浴場」の看板を思い出した。砂浜があれだけ美しいと、そのキャッチフレーズも納得だ。
町並みもここまでの漁村と違い、落ち着いた生活感の中に宿の看板をよく見かける。
10時を前に、今日もすっかり暑くなり始めていた。海岸沿いの公園広場で少し休憩とする。
町外れからまたもや半島越えの登りへ。もうこの後は、熊野市手前の大泊まで湾に降りることは無い。
流石に新鹿、熊野市から近いためか、国道311の道幅が甫母町とか三木里辺りよりはやや裁けているせいもあるのか、車が心なしか新鹿手前までより増え始めている。
波田須では、道が湾沿いの集落の上方を回り込む。海を見下ろすと、相変わらず真っ青な熊野灘と荒々しく切り立った岸壁が続いているが、ここまでの道と決定的に違うのは、こちらの道側にもちょっとした集落が続くことだ。
新鹿から大泊はやや細目の片側1車線国道。今回は少しだけ上手に新道に切り替わっている場所もみられた。そういえば前回、2000年代後半だったか、どこかで工事が始まっていたような気もする。ここまで細道の国道311を虫食いのように拡幅区間が作られ、しかしそのどこももう作られて20年ぐらいは経つような構造物ばかりだったが、あながち拡幅が全く途絶えている、というわけでもないのかもしれない。
しかしまだ多くの区間は以前のまま残っている。特にトンネルの大吹峠はボトルネックになるため、まだ当分交通量は変わらないかもしれない。
道が回り込んで湾内が見え始め、下り始める。もういよいよ国道311の海岸区間も時間の問題、湾奥の国道42に続く車の列が見え始めてきた。ここまでの静かな道が大変名残惜しい。
▼動画1分44秒 大泊到着
熊野市すぐ手前の大泊は、風景もやはりそれなりに裁けた雰囲気だ。国道42に合流すると、すぐに熊野市との間に小山が立ちはだかる。たとえ短いトンネルでも国道42は避けたいが、幸い国道脇には歩行者自転車専用トンネルがある。このトンネル、何と一応熊野古道でもあるようだ(と地形図には書いてあった)。
トンネルを抜けると、10:40、木本町に到着。軒が低い昔ながらの町中へ、着陸するように下ってゆく。この町の駅の名前は熊野市で、町全体としてもそちらの方が通りはいい。古い地図を見ると、やや大きな文字で町の上に木本町と書いてある。この辺りにその地名が残っているだろう。
朝6時台に九鬼港を出て、もうお昼前に差し掛かろうという時間だ。一応これでも見込み通りである。風景眺めすぎで遅くなったものの、改めて今日の絶景連続を前にすると、かなり余裕を見込んだ計画で良かったとつくづく思う。
もう悪あがきせずに、そのまま市街地の反対側までしばし息を止めるように国道42へ。路上はGWの人出で渋滞しているものの、自転車なら熊野市街の通過にはこれが一番手っ取り早い。それに獅子岩と浜辺の鯉幟も見ることができる。
記 2016/6/12