九鬼港→(県道574)九鬼→(国道311他)賀田
(以下#4-2)
→(国道311他)二木島
(以下#4-3)
→(国道311他)大泊→(国道42)南有馬
(以下#4-4)
→(国道311)松の平→(県道52)札立峠
(以下#4-5)
→(県道52)育生町長井→(県道40他)新大沼橋
(以下#4-6)
→(国道169)七色ダム→(県道34・40他)上瀞橋
(以下#4-7)
→(国道169)小松
(以下#4-8)
→(市道他)小松
(以下#4-9)
→(国道169)竹筒
(以下#4-10)
→(国道169)日足→(県道44)小口
134km
RIDE WITH GPS
4時に目は覚めたものの、まだ暗いし朝食は6時の予定だ。隣の釣り客は、既にもぬけの殻だった。釣り人という人々は、ツーリストなどよりはるかに物好きでマニアックだとつくづく思う。山奥の谷底や海岸の岸壁で、どうやって辿り着いたのかわからないような場所に、静かに釣り人を垂れている方を時々見かけるし。今朝の私はといえば、2度寝という大変贅沢な行為が全く問題無く可能なのがありがたい。
次に起きたのは5時。まだしばらく朝食まで時間がある。荷造りの後は玄関先に出て軽トラが往来する九鬼港を眺め回してみたり、部屋からひっそりした裏通りを見下ろしてみた。九鬼神社にも行こうと思えば行けないことは無いものの、朝食の後にすることにした。今日は行程上の絶景ポイント対策で、130kmと余裕がある。いや、毎回余裕を見たつもりで最後は余裕が無くなるのが紀伊半島の常だ。それでも九鬼神社お参りぐらいはいいだろう。
上空はまだ曇っているが、今日の天気予報は晴れ。山間に雲が溜まっているのだろう。順当にこの後7時過ぎぐらいから晴れ始めるパターンだと思われる。ならばそれまでにこちらも着々と時を進めよう。
6時の朝食には伊勢海老汁が付いた。6:30、はりまや旅館発。
はりまや旅館は九鬼港の一番奥にある。その九鬼港の一番奥で、もう一度九鬼港の海を見渡してみた。港でも山間でも、風景の中にさりげなく溶け込んでいる宿に泊まれることは、とても嬉しいことだ。湾を囲む山々は、新緑が大変明るく瑞々しい。海も青色というより濃い緑色であり、豊かな海であることを想像させてくれる。
空は未だ曇りだが、少しづつ明るくなっているようにも思われる。この後どんどん晴れるのだろう。
折角の九鬼水軍で有名な九鬼港なので、九鬼神社にお参りしてゆくことにした。本当は九鬼水軍縁の見所や遺構が、この九鬼港には山ほどあるのだろう。しかし私には出発前の神社お参りぐらいが精一杯である。それに前回2009年の訪問から6年を経た今、何回かのお正月東京初詣シリーズにより、私はすっかり神社好きになっている。
それでは今日の行程を開始。九鬼港に沿ってJR九鬼駅へ。 ▼動画52秒 九鬼港→九鬼へ
いかにも昭和30年代の国鉄構造物然として、そこはかとなくシンプルな九鬼駅の脇を過ぎ、国道311に合流して、すぐに登りへ。
熊野灘に面して複雑に入り組んだ海岸線は、海岸から切り立つ岩山で構成されている。この岩山が陸路交通を阻んでいて、入り江奥の漁港を結んでいる国鉄紀勢本線のこの辺りが開通したのは昭和40年代なのだ。この辺りの紀勢本線のコンクリート橋も、それっぽい駅舎も、そしてこれから熊野市街まで延々と続く海岸アップダウンも、そのことを嫌という程理解させてくれる。
道はと言えば昔から険しい岩山を越えてはいたようで、国道311にはところどころで熊野古道が合流し、再び分岐して山の中へ入ってゆく。
現在の国道311も部分的にトンネルや橋梁で拡幅されているが、現在の所しばらく拡幅は途絶えているようだ。今回九鬼から三木浦までは、通ったことが無い旧道らしい細道に足を向けてみた。まだ6時台だし。
道端の茂みはやや鬱蒼としているものの路面自体は大変小綺麗で、まだ十分実用になっている道だと思った。この九鬼・三木浦間については。途中新道のトンネルを見下ろす区間もあり、適度に静かで落ち着く回り道である。
半島を回り込んだ道は新道と合流。湖のように静かな内海と三木浦を見下ろしながら、湾奥の三木里へ急降下してゆく。
この先大泊で国道42に合流するまで、旧道があったり無かったりはするものの、しばらくこのパターンの繰り返しである。
三木里は、やや目立つ護岸擁壁のコンクリートに実用感が漂う、比較的小さな漁村だ。
しかし小さな漁村と外周を取り巻く新緑の山々、そして青い海はこよなく美しい。特に低く軒を連ねた漁村の家々が何とも静かな落ち着きのある佇まいで、所々に見かける飾り気の無い民宿には一度泊まってみたいと思わされた。きっと美味しい地魚が食べられることだろう。
湾を回り込み、国道331は少し高度を上げ始める。今回ってきた三木浦の、軒が低い民家が並ぶ漁村の眺めが何とも愛おしい。
次は古江へ。半島越えというより湾内海岸線の凸部で道が波打ち際からやや高度を上げる、という程度の登りであり、湾内位置も先へ進み、さっき上を通った三木浦なども対岸に見下ろせるようになる。
相変わらず熊野古道が付かず離れずで並行しているようで、山の中から現れて再び山の中へ戻ってゆく。
古江へ向かう途中から、そろそろ晴れ始めていた。天気予報だと1日晴れのはず、これから楽しみにしていた新鹿を訪れるにあたって、大変に都合がいい。
古江で道は海岸沿いに降りて、湾奥の賀田までそのまましばらく海岸際を通り抜けてゆく。
道の表情は落ち着いているが、やや大きな漁村だけあり、静かな海面に並んだ船やコンクリート造の冷蔵倉庫に、賑わいを感じさせる。
記 2016/6/12