私の好きな道 #8
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森進一の歌があまりにも有名なため、襟裳岬というとどうしても何か俗っぽい体験をしなくてはならないような印象があります。しかし、実際の襟裳岬周辺は、「何も無い春です」の歌詞通りに広々と荒涼とどこか物寂しく、北海道の海岸の景色を目一杯楽しめる場所です。
この襟裳岬へは、日高側からは様似・えりも経由、十勝側からは広尾・庶野経由でアプローチすることになります。
様似からの道は岩場の漁村を辿る海岸の道。えりもから先は台地と海岸の激しいアップダウンが連続します。岩場や小さな湾に断続する小さな漁村、空き地一杯に干されている大きな昆布が、独特の風景になっています。
一方、広尾から庶野へは、約50km以上に渡って荒々しく切り立った巨大な岩場が続きます。道はこの岩場に張り付いたり、覆道やトンネルで抜けたりして、ほぼ平坦に海岸沿いに進みます。ちょうど日高山脈の奥地がそのまま海に落ち込むような険しい地形と厳しい気候のため、全通までには想像を絶する難工事となり、「黄金を敷き詰めたように費用の掛かった道」ということで、この区間は黄金道路という俗称で呼ばれています。
海岸から見上げる切り立った岩山、その岩山に張り付く木々の迫力は、他に類を見ません。度重なる崩落のためか、近年はどんどん覆道区間が増え、そのうち全区間覆道とトンネルになっちゃうんじゃないかと思うほどですが、その前にぜひ一度見ておくべき景色です。
庶野から襟裳岬への百人浜は、一転して砂浜へ続く輝く緑の灌木帯。開ける牧草地、その奥に聳える日高山脈の南端部、青々と打ち寄せる太平洋。晴れた日は濃い青空をバックに、素晴らしい景色を楽しむことができます。
注意すべきは、風の強い道であること。今まで何回か訪れた記憶では、襟裳岬方向から風が吹き、岬で折り返すと今までの向かい風が追い風に変わるパターンが多かったような印象があります。でも、絶対サンプル数が少ないので、あまり確かな情報ではないですね。
コンビニは広尾とえりもの間にはありません。襟裳岬、そして庶野でも軽食程度の補給は可能ですが、まとまった距離のある区間でもあり、行程計画と絡めて補給を行って下さい。
全区間海岸沿いだけあって、漁村が断続しますが、特に夏には昆布干しの風景が目立ちます。最盛期には、早朝から漁村総出で、運動会のように昆布を拡げる光景があちこちで見られます。
この風景を見たら、きっと美味しい日高昆布の味が、更に美味しくなっていることでしょう。
記 2006.1/24
走行記録
2008/8/5-1・2
2004/8/8-1・2
2003/8/16-1・2
1998/5/2(バス移動のみ)
1996/8/14