様似→(国道336)えりも
→(道道34)庶野
→(国道336)広尾(以下#2-2)
北海道Tour04 #2-1
|
|
6:00、様似の民宿「藤」発。
宿のある港町から、去年の執着点様似駅のある町中を抜け、岩場の漁村を抜ける国道336へと足を進める。南下する道には、時々山の低い部分からすでに高く昇った太陽がまぶしい。
太陽に照らされた山の緑が鮮やかだ。思ったほど涼しくないのは相変わらずだが、それでもまだ暑いということもなく、朝の海風、岩場に溜まった冷やっとした空気が助かる。
漁村は昆布干しで大忙しのようで、どの家も家族総出でその辺の広場や海岸に昆布を敷き詰めていた。今年は昆布が豊漁なのだろう、きっと。そういえば昨日見た野菜畑も勢いが良かった。
町外れの丘を登って下って、7:15、えりも着。
セイコーマートで休憩にする。店の前には4サイドのエンペラーが停まっていた。寝袋、テントらしい包みなど、私よりもはるかに重装備である。店の中に目を移したところでその主と目が合った。
福岡のサイクリストらしい顔中髭と日焼けで真っ黒のその青年と、店の前で補給しながらお互いの行程を報告し合う。と、その途中で、
「ちょっと待った。この先黄金道路の庶野のすぐ向こうで自転車通行止めがあるそうなんです」
とのこと。何でも自動車だけ通れるが、歩行者と自転車はダメらしい。十勝に出るには、今から幌別まで引き返して、昨日分かれた国道235で大樹へ抜ける必要があるとのこと。彼もその話を人に聞いて、十勝への行程を断念して引き返すところらしかった。
地元の人にも聞いて話を総合すると、どうやら崩落かなんかで通行可能区間の幅が狭く、信号で自動車のみ通行可としているようだ。去年通った黄金道路の切り立った岩、片側通行状況を考えても、それなら納得できる。
いくら何でも、この期に及んで幌別引き返しは無い。一瞬ひるむが、この区間にはJRバスが走っている。襟裳岬で時間の当たりを付けて、庶野かその手前から輪行してしまえばいいのだ。
地元のおじさんが、「漁師さんの軽トラでも来たら、信号待ちの間にちょっと乗せてもらえば良いんだよ。そんなの」と教えてくれたのにも気が楽になった。まあ何とかなるだろう。
7:30、えりも発。
海岸沿いの高台、歌別の漁村でも、あちこちの砂利が敷かれた昆布干し用の空き地で、まるで運動会のように老若男女総出で昆布を干していた。この辺りの昆布干しの風景は何度か話に聞いていたが、昼は昆布干し、夜は盆踊りという、盛り上がりの時期なのかもしれない。
高台を進むうち、えりもを出るときから遠くに見えてはいたが、ある箇所から周囲が霧に包まれはじめ、高台から岬前の何度かのアップダウンの辺りで一気に濃くなった。もはや視界50m程度、道が登っているのか下っているのかしかわからない。下りが緩くなると、霧の中からうっすらと漁村が現れ、それはそれで夢のようなヴィジュアル体験ではある。
8:10、襟裳岬着。少し休憩後、出発。
百人浜の途中で、再び急に霧は晴れ出した。海側に灌木帯と明るい藍色の太平洋、山側に緑の牧草地と日高山脈の外れの山々。強い太陽光線で黄緑も濃い緑も輝くように鮮やかになっている。
岬からわずかに下り基調のこの道からは、緩く起伏する丘と海、庶野の奥の岩場や日高山脈の見通しが素晴らしい。昨年を含め過去2回走ったときはすべて今回とは逆回りで、昨年もここで素晴らしい体験をしたが、反時計周りの今回も、晴れると本当に素晴らしい風景が拡がる道だと思った。
9:30、庶野着。
小さな町をそのまま通過すると、半信半疑だった噂の通行止め箇所が登場。噂通り庶野を出てすぐの所だった。
通行可能区間は、崩落した旧道の内側に掘られていた新しいトンネルに設けられていた。そういえば、去年もこの辺りでは、片側通行の崩落復旧工事が絶えなかった。 通行止め信号待ちの列の中に、いかにも地元っぽいおばさんの運転する2t車を運良く見つけた。お願いしようと思っていると、警備員の方が、ちょうど点検用車が向こうまで行くところだから乗せていってくれるとのこと。
少し待ってから出発した車の中で、今年はじめに旧道にかなり大規模な崩落が起きたこと、応急対策として工事中のトンネルを急遽舗装し、自動車だけは通行可能にしたこと、等を聞いた。トンネルは3.2kmと、この辺りではダントツの長さだった。
その先、約50kmの黄金道路では、晴れたり霧が出たり。晴れると、ほとんど垂直に切り立った、ど迫力の巨大な岸壁が荒々しくたくましい。
海の色はいつの間にかエメラルドグリーンに変わっていた。昨日の民宿「藤」のご主人が、「この辺りは暖流と寒流がぶつかる場所なんですよ」と言っていたのを思い出す。
記 2004.8/21