私の好きな道 #12
国道275 #1 幌加内町

赤は当該区間

美深側峠区間は単調
時々大森林の展望が 足が停まる
美深峠

 日本一のそばの産地、幌加内町は南北方向の距離は約50km以上、日本で一番細長い町でもあります。その幌加内町を縦断するのが国道275。北側の美深峠は美深へ、南側の幌加内峠は石狩沼田へ降りるため、便宜上美深から石狩沼田まで一つのコースとして捉えることができます。

 この幌加内町の国道275は、地形や風景の特徴から、大まかに添牛内で北と南に分けられると思います。
 北側は美深から美深峠を越え、これもまた日本最大の人造湖、朱鞠内湖岸の丘陵地帯から朱鞠内を経由、狭い谷間を添牛内まで。
 途中の美深峠は幅の広い道の直登です。時々見渡せる谷間の大森林はとても素晴らしい眺めなので、長い直登を単調に感じ始めたら、なるべくきょろきょろしながら登るといいでしょう。また、下りでは一気に通過してしまわないように注意して下さい。

 朱鞠内湖畔では、幹の細い白樺の森の中に、起伏の緩いアップダウンがしつこく続きます。非常に悲惨な強制労働による工事で堰き止められた湖水は、かつては荒涼とした立ち枯れの風景が有名でしたが、現在はその面影はありません。湖の向こうには羽幌山脈の西側とその手前の大樹海が遠くに見えます。冬のワカサギ釣りは有名で、朱鞠内の集落でもワカサギの佃煮を入手できます。

 この美深峠と朱鞠内湖に挟まれて、牧草地と母子里の集落が拡がります。そう広くない盆地に緩やかな丘や牧舎が点在するこの母子里では、毎年冬に低温体験イベント(?)が行われるようです。また、一説によるとこの母子里は美人の里とも言われ、幌加内町内のミスコンテストでは毎年この母子里の女の子がミス幌加内の座をさらっていったとか。

 一方、南側は添牛内から幌加内、幌加内峠から妹背牛へ、一転して盆地に拡がるソバ畑と白樺林の道。夏には拡がる畑に一杯、ソバの花が満開になります。盆地全体がソバの花の緑を帯びた白い色に染められ、夢見るように静かな美しい風景を見ることができます。
 限りなく丘に近い幌加内峠以外は基本的に下り基調、途中には道の駅や温泉施設、幌加内市街地などもあり、ぜひ名物の蕎麦や名産の果物、そしてソフトクリームなどを味わっておきたいところです。ちなみに幌加内産そば粉で作られるソバの色は白っぽく、少し硬めで歯切れがいいのが特徴とのこと。

 宿は朱鞠内から少し道道を北に進んだ湖畔に、幌加内そばの花があります。去年まではYHとして営業していましたが、今年から一般の宿として営業開始とのこと。食事が美味しく、設備も素晴らしいいつも清潔な宿です。

 かつてこの湖畔には、伝説の旅人宿「しゅまりの宿」がありました。北海道の標準型民家を改造した建物には北海道の旅の気分がどこの宿より一杯でした。
 初めて私がこのしゅまりの宿を訪れたのは1985年8月、2回目の北海道旅行の時でした。今は無き深名線は、その当時すでに朝、午後、夕方遅くという1日3本体勢。その午後の列車で、名寄から約30分間行く手も知れぬ森の名雨トンネル越えの後、突如開けた緑の盆地、北母子里の風景に完全にノックアウト。その後20分あやしい朱鞠内湖畔の森が続いた後の無人駅にちらっと見えた宿の張り紙に、反射的に列車を飛び降りて駆け込んだのが「しゅまりの宿」だったのでした。
 しゅまりの宿は1989年に営業を止めてしまいましたが、母子里や湖畔で1日ずつ牧場バイトも体験することができた、思い出深い宿です。

記 2006.2/1

走行記録
2007/8/19-12  2005/8/15  2005/8/14  2004/8/14  2004/8/13(バス移動のみ)  2003/8/10  2002/8/17  2001/8/18  1999/8/12  1994/8/19  1993/8/9(母子里訪問のみ)

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Last Update 2008/2/6
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