かなやま湖畔→(道道465)金山
→(国道237・38)富良野
38km
北海道Tour04 #7
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4:30に起き、準備を終えて外へ出ると、早朝という以上にどんより薄暗い。低い雲も近くにいくつか見える。案の定、保養センターの前で自転車に荷物を付けている間に、何回か水滴がぱらぱらっと落ちてきては止んだ。
早朝の天気予報では、今日はほとんど全道で雨とのこと。今日の行程はあまり期待しない方がいいかもしれない。
5:55、かなやま湖発。湖の見え隠れする道道465を走り始めると、すぐに雨になった。景色が楽しい麓郷からベベルイを抜け、上富良野へ抜けるコースを目論んでいたが、この時点で却下になった。交通量は圧倒的に多いが、安全策の国道38号で、とりあえず富良野まで降りて様子を見よう。
雨は決して強くはなく、山部辺りではすっかり上がった。が、コンビニ休憩する間にまたぱらぱらっと降ってきた。どうやらゆっくり進む雨雲に追いかけられているようだ。案の定、再び出発すると、間もなく雨は上がった。
一方、金山、山部、布部と次第に自動車は増え、道の表情は次第に埃っぽくなってきた。空も道も灰色で、大型自動車が高速で通り過ぎて行く。
7:50、富良野着。
空は多少明るくなってきた。これから向かう予定の北方面の空も、特に目立って暗いというわけではない。ただ、今後晴れるという確証も無い。天気予報をチェックすると、昨夜より多少向上して、曇り後雨に変わっている。一方明日は晴れなので、この段階で行程打ち切りはなくなり、とりあえず今夜の朱鞠内が決定。
列車とバスで朱鞠内へ向かう場合の時刻を検討していると、すぐに時間が経つ。しばらく悩んだあげく、悩むぐらいなら出発しようと思って走り始めたが、やはり北方面の雲は厚い。その雲に、何とも嫌なニュアンスが漂っている。
この間30分ぐらい。散々悩んで、結局輪行で深川から幌加内へ向かうことにした。幌加内で降っていなかったら、その時また走り始めよう。
10:00、富良野発。気動車の中でうとうとしたり、今にも雨の降って来そうなどす黒い空を眺めたり、ぼんやりと張りのない時間が続いた。雨は時々降るぐらいだったが、こんなにデンジャラスな空の下、列車を降りて走り始める余地も無い、と思った。
結局その後、滝川から深川へ向かう途中と、バスで深川の平野部から幌加内の山に入った途端、雨が降ってきた。更に幌加内の盆地に入ってから、雨は大雨になった。
13:00、幌加内着。まだ大雨は続いていた。
このままバスで朱鞠内へ向かっても、今日宿泊予定の朱鞠内到着は14時過ぎだ。そのままYHで過ごすのも芸が無い。暇な旅行者に話しかけらて相手にさせられるのがオチだ。そこで、以前から念願だった蕎麦をここで食べて行くことにした。
バスを降りると、急に外に雨がぱらつき始めた。そこで、去年来て印象が良かったバス乗り場の1階に併設されている、「ほろほろ亭」に入ることにした。
細い蕎麦は、腰があって切れが良く、素晴らしい味わいである。昔から和風ツーリングと蕎麦密接な関係にあるが、私は本来蕎麦はそんなに好きな方ではない。それが、ここのお店の蕎麦が美味しいのである。ツーリング中で胃が大きくなっていることもあるためか、一気に盛り蕎麦2皿を平らげた。
外は依然として大雨である。バスを降りてからYHまでは徒歩1、2分だと言うが、その間が心配である。
富良野では悩みに悩んだ輪行を決め、列車に乗ってからもしばらく悩み続けたが、とりあえず朝の判断は見事に正解だったようだった。何故なら、この時間でこの大雨だと、旭川から先、少なくとも江丹別峠から先がどう考えても大雨だからである。富良野から旭川まで走ってしまったら、幌加内・朱鞠内方面に向かうには、列車か何かで深川に戻るか名寄まで行くかしないといけないのだ。しかも、富良野8時発だと旭川着は多分昼前だろう。それから輪行開始だと、かなり時間の余裕が無くなることになるのだ。
屋根の下、窓の外は雨。至って平和ではあるが、至って退屈な時間が過ぎ、15:50、幌加内発。結局その先も雨は弱まることは無かった。
16:45、朱鞠内蕎麦の花YH着。朱鞠内は1989年に旅人宿「しゅまりの宿」が閉館するまで、北海道でもよく訪れた場所だった。
1985年の夏、深名線湖畔駅に見えた張り紙で反射的に列車を降り、5分ぐらい歩いて着いた「しゅまりの宿」。北海道の標準型木造家屋を改造した小さな2階建ての宿には、それまで使っていた駅(当時は駅寝と呼ばれていた)やYHとは全く違う、コアな北海道旅行の世界があった。その衝撃、影響は、「しゅまりの宿」が閉館してしまった今でも、私の中で続いている。だから2001年、懐かしいこの場所で懐かしい「しゅまりの宿」の建物に入れたときは、とても嬉しかった。
その思い出の朱鞠内に去年からできた宿には、以前から大きな期待を持っていた。果たしてその期待以上のYHである。
きれいで広々とした館内、ふかふかの大きめベッド。特筆すべきは夕食の蕎麦づくし。これが質、量とも私の過去YHの中でダントツトップである。宿の食事とかコストパフォーマンスという尺度ではなく、普通の外食として美味しく、普通に大満足。ここに泊まる方は、ぜひ腹を減らして夕食に望まれたい。
窓も大きく、ダイニングロビーから懐かしい湖畔駅周辺の風景を見渡すことができた。夕方から夜になり、その風景は雨の中で紺色に染まっていった。
記 2004.9/3