根釧台地縁の標高が比較的高い緩斜面を、道道13は虹別へ下ってゆく。広々とした開放感は、202kmコースでも随一のものだ。202kmコースで随一なら、北海道でも随一と言っていいだろう。
道道13に合流するまで、周囲は広々とはしていても、ちょっとどこにいるのかよくわかりにくいような比較的漠々とした雰囲気が漂っていた。台地上や谷間にイレギュラーな線形の道が続き、周囲は牧草地に防風林に茂みが次々入れ替わり現れていたからだ。
それがここでは、一面に拡がる牧草地に広めの道が行く手に下ってゆく。裏摩周や西別岳が俄然近づき、時々地平線かと思うような遠景が展望される。風景が明快な開放感を伴うこと、そしていよいよ根釧台地も北側山裾区間に戻ってきたことが実感できることが、この道を印象付けてくれる。
国道243の少し手前で町道を経由しておく。ちょっと登り下りがあるものの、国道243を迂回するという以上に、牧場から丘の畑を越えてゆく完結した纏まりが感じられる区間だ。
14:45、萩野着。国道243を渡って道道895へ。いよいよ北側山裾の1本道。
道沿いの防風林と、左側に俄然近づいてきた裏摩周の山々が、いよいよ202kmコースも終盤だという気にさせてくれる。ここまで来れば、開陽までもうあと30kmぐらい。
上虹別から西別岳登山口、標茶・中標津町界。道はほとんどずっと一直線だ。
空はやや薄曇り。根釧台地の中でも風景が大好きなこの道で、改まって脚を停めるという気分でもなく、やや受動的に風景の中に身を置くことができている。少し幸せというか、しかしそういう普通の幸せを噛みしめ、てれてれ通り過ぎてゆく。
15:20、養老牛ながかわ商店着。もうすっかり普通のペースに乗れている、というより走ってみたらかなり好調な行程かもしれない。解けた気分の安心感とともに、そろそろ疲れも感じ始めている。この段階で出発から179km。ちょっとぐらい疲れても、文句は言われないだろう。
交差点など眺め自販機で休憩していると、道の彼方に展が現れ、近づいて車になり、信号で停まってから去って行った。この道は初めて来た1986年に比べて大分車が増えたと、最近よく思う。
15:30、養老牛ながかわ商店発。いよいよ開陽台までの最終局面、あと20kmちょっとで17時まで残り1時間半。
養老牛から旭新養老牛へは、北側に迫る西別岳の手前に牧草地が続く。整った形の山々を背にした草原に、空間と風景の拡がりが感じられ、北海道でも私的銘道の一つになっている。初訪問の1986年以来、晴れやら雨やらの思い出も多い。
今日は空に雲が多い。山裾や牧草地、俣落や開陽方面へ続く遠景は霞んでいる。私的名所の数々であまり脚を停める気にならないのが、行程の進行上は好都合だ。ここで天気がいいと、脚が停まりすぎて全然前に進めないらだ。
かなり高くなっていたカラマツの防風林は、一部の区画で全部伐採されていた。少し驚いたものの、どこの防風林でもよく見かける、新陳代謝のようなものだ。次にまたここに植樹された森が高くなるのは、30年後ぐらいかもしれない。その頃私はもう北海道には来れないだろうな、と、そういう森に出会ったときにいつも思う。でもいいのだ。今その時その時を、その場所で精一杯幸せに過ごすことができれば。だから精一杯幸せに過ごすようにしよう。と最近は思うようになった。
北進から俣落へ、道道150には根釧台地随一の坂がある。豪快な下りのこの区間は、1度は通っておきたい道だとは思うものの、下り以降の風景はやや穏当ではあり、1度通れば十分だとも思う。202kmコースの時だけじゃなく、私は開陽・俣落・北進間を、いつも少し下手の町道を経由することにしている。私としては長年の試行錯誤でこういう経路になっているのだが、根釧台地マスターの石川さんにとっては「ああ、そっちですか」ぐらいの感じではないかとも思う。
思い出一杯の楽しい道が、そろそろ疲れ始めている202kmコースの終盤を、とてもドラマチックに私に見せてくれる。
記 2024/10/17
#2-8へ進む
#2-6へ戻る
#0へ
北海道Tour24 indexへ
自転車ツーリングの記録へ
Topへ