国道275沿いの、わかさぎ佃煮が買えるお店や郵便局を市街そのまま通過し、トンネルを抜けて下ってゆく。
今日は谷間に余計な風が吹いていない。暑いものの、のんびりゆっくり悪くない行程になっている。
しばらく雨竜川の狭い谷底に、いかにも熊が姿を隠していそうなあやしい河岸の茂みと林が続く。何となく息苦しさを感じながら、気分に負けないように心がけて通り過ぎてゆく。
やがて谷底が拡がり牧草地が現れると、添牛内手前の北星だ。ステキな地名は、昔住んでいた住人の希望が込められているのかもしれない。などと、拡がる牧草地を眺めて思う。
9:40、添牛内着。引き続きなかなかいいペースだ。この分だと大村には15時台に着いちゃうかもしれない、と思う。まだ調子に乗っていい時間じゃないものの、大村16時台、いや、16時半までに着ければ上出来だ。今のところはまだ捕らぬ狸の皮算用をせず、引き続き着々と脚を進めてゆくべきだろう。
空は青空ベース、雲が斑で拡がるというぐらいに雲は減っている。気温も、時間と場所なりに更に上がっているようだ。ポロを脱ぎ、こちらに来て良かったと思う。この先お昼頃の気温は心配ではあるものの、ここまで来た感じではこの先道路状況で撤退ということは無いだろう。それならお昼頃の江丹別峠さえ越えちゃえば、どうにでもなる、かもしれない。
添牛内の国道239分岐の少し先に、私的定点撮影ポイントがある。ここで久しぶりに写真を撮っておく。
羽幌山脈の裏側が右手に迫り、道端の白樺が道内でも随一の規模で続くこの場所は、私にとって国道275の中でも印象深い場所だ。2019年秋、昨年秋の訪問では、この道を逆方向から通っている。当然脚を停めて写真を撮ったのだが、秋の夕方と夏の朝では光線の向きもニュアンスも全然違う。それに今日は逆方向、朱鞠内方面からの訪問なので、ここに来るまでの気分が違う。いろいろと印象は全然違いつつも、今日この場所を、青空の下改めて訪れることができ、大変感慨深い。ツーリングを続けていればまた訪れる機会がある。自分を取り巻く状況には感謝しか無い。
国道275は、直線が続いて時々かくっと緩く曲がる北海道の田舎らしい線形で、しばらく緩い下り基調のまま南下してゆく。
羽幌の山々の裏側と白樺の森に脚を停め停めのんびり進むにつれ、山々は次第に遠くなり、森の合間に草地の拡がりが現れ断続し、連続しはじめた。羽幌山地から離れて政和に下ってゆく自分の位置を意識し、道北の旅が終わりつつあるんだなと、少しさみしくもある。しかし仁宇布から旭川に自走する感覚を実感しつつ、今日も旅まっただ中にいることが、何だか無性に嬉しくもある。
添牛内から段丘を下る場所に、政和の盆地を見下ろす広場がある。ここで少し脚を停めておかねば。
10年ぐらい前には、ここに仮設の出店が出ていたことがあった。今回はお盆時期だというのに、昨年秋と同じく砂利敷の真ん中にあずまやが建っているだけで、何も出店は無い。
とにかく暑くなりつつある。天気が順当に進んでいることを感じつつ、いちツーリストとしては、この場所が再び静かになったことはやはり嬉しい。広場の縁から政和の盆地を眺めると、夏の緑と満開のソバの花が盆地一杯に拡がって、夢見るように静かだ。それは去年秋に眺めた風景とは違う、命が溢れるような静かさであるように感じられる。時期としては1か月も違ってないというのに。北海道はこれから3週間ぐらいで、急激に気温が下がってゆくのだろう。
などと考える間にも、草むらの中でカンタンの声が鳴り響いている。
ソバ畑、白樺の森、更に遠く離れてゆく山々を眺め、政和の盆地を下ってゆく。
政和には確か蕎麦屋があったはずとは思うものの、どこだかは具体的に憶えてないし、やはり今日はまだここでは立ち寄るわけには行かない。
10:30、道の駅ほろかない着。それにしても暑い暑い。ソフトを2本食べてやっと頭が冷えてきた。いくら調子が良いと言っても、さすがに幌加内10時台は無理っぽい。そこまで調子に乗っちゃいかん。
そしてこの後江丹別峠に向け、あまり出力を上げないようにしないと、江丹別峠で干上がってしまう、江丹別峠手前の、熊牛辺りでの干上がるような暑さを思い出す。それにしてもたかだか300mぐらいのあんな登りで毎回難儀するのは、やはり暑いからだろうと思う。まあ所詮は300m、毎回引き返したり撤退したりするほどじゃないしね。
政和の盆地から幌加内の盆地の間7、8kmは谷間が狭くなり、道は山裾と雨竜川に挟まれるように続く。
基本的には下り基調なのだが、川岸を越えるみたいな短い登りが時々現れる。これだけ憶えていると少し億劫ではあるものの、車は多くないし木陰は多いしそもそも距離が短い。今日は意外にすぐだね、みたいな気分と共に通り過ぎることができた。
雨煙内で盆地の田圃が一気に拡がってからが、すぐだと思っているともう一息ぐらいに長い。
上幌加内では風が強く、毎回ここで悩まされる。しかも今日は照り返しと盆地特有の暑さが一気に襲いかかってきた。
風の中に舞う赤トンボに囲まれ、遠くに見えてきた町営の蕎麦工場を眺め、着々と進むのがじれったく気が遠くなるような感覚すらある。
11:15、幌加内着。暑くはあるがまだまだ行ける。脚を停めるに至らない。気が急いて焦ってるんじゃなく、身体を落ちつかせずに江丹別峠を越えてしまいたいように思えた。
記 2025/2/1
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