5時過ぎになってやっと空が明るくなってきた。今日も雲一つない晴れだ。部屋からは、正面の玉之浦漁港に、釣り人がいそいそと移動したり集散したりしているのが見えた。漁船は停泊している船が多いものの、時々エンジン音を鳴らして静かな湾に波を残し、どこかへ向かって行く船もあった。港の賑わいに誘われて外に出てみると、やや肌寒い。昨日と同じく、7時頃には行動可能な気温まで上がるのかもしれない。
今日は福江島南西部の玉之浦から北西部の三井楽へ向かう、1日福江島のコースである。今回、1日船又は飛行機に乗らない予定の日というのは意外に少ない。そのうち3日目は雨の短縮行程、4日目は終日運休になってしまった。行程もいよいよ後半まっただ中という日の朝を、晴天の静かな漁港で迎えることができている。
朝食を納豆と卵と干物でたっぷりいただいた後、7:30「民宿たまのうら」発。
まずは昨日行かなかった島山島へ行っておく。玉之浦半島と島山島の間の海は岸の形が入り組んでいて、狭いところが何カ所かあるため、海に面した淡水湖のようですらある。また、島山島の集落向小浦の住所は、福江島側と同じ五島市玉之浦であり、別の島というより海に面した淡水湖の両端であるようにも見える。しかし一応というか、福江島から別の島に訪問しておく意義は大きい。しかしこれで断崖を100m下るとかなら、躊躇無く省略するかもしれないんだが。
などと朝の風とは無関係に妄想葛藤しながらぐるっと集落の北岸を回りこみ、玉之浦大橋へ。玉之浦大橋の手前には岸辺の丘に登っていく神社があった。小さい神社とは言え鳥居は堂々たるものであり、この土地に住み続けてきた人々にとって、生業の漁業にも、唐への航路の経由地としても、海の神様をお迎えする場所は大切なもの立ったことが伺える。
玉之浦の南にも井持浦教会がある。五島列島と言えば教会やキリシタンが有名だ。しかし現地では、こういう厳しい地形や海に向き合ってきた人々の教会と神社が、隣り合って共存してきたこともとても大切で特徴があることのように、この数日間で思えてきている。
島山島の集落は、玉之浦大橋を渡った岸辺のほんの2〜300mの範囲にしか無い。
内側に向かう南へ一応行ってみて玉之浦港の賑わいを対岸から眺めてから、東シナ海を望む北岸へ。
こちらは民家が途絶えた先が防波堤で停まっていて、玉之浦半島と島山島に挟まれた狭い隙間から、沖へ続く東シナ海が見える。二つの岬の間の東シナ海の明るさには果てしない奥行が感じられ、先人はあんな所に船で見えない陸地を目指して行ったのだ、ということを考えさせられる。この海を眺めると、遣唐使という言葉の感じ方も大分変わると思う。考えることが多いのは、やはり人の営みが場所や地形に現れているからかもしれない。
玉之浦大橋を再び引き返し、この際玉之浦側の集落先端部にも訪問しておく。まだ朝で時間いっぱいなので、心にゆとりがあるのだ。
7:55「民宿たまのうら」前通過。
昨日通った県道50を井持浦、玉之浦トンネル、淡々と昨日国道384から分岐した大宝へ。
大宝の漁港にも立ち寄ってもいいかなと思っていたものの、やはり面倒で、ついそのまま昨日の反時計回りを継続して国道384の富江方面へ向かう。
記 2019/6/16
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