吉野→(県道15他)喜蔵院→(林道吉野大峰線)
(以上#1-1)
→(林道洞川高原線)洞川→(県道21)川合
(以上#1-2)
→(国道309)行者還トンネル
(以上#1-3)
→(国道309)天ヶ瀬
(以上#1-4)
→(国道169)池原ダム→(国道425)坂本ダム
(以上#1-5)
→(国道425)尾鷲
(以上#1-6)
→(県道778・国道311)九鬼→(県道574)九鬼港
146km
どこかコンビニで何か目新しい物を食べながら、九鬼港の今日の宿へ到着予定を連絡するのと、明日の宿の串本「みさきロッジYH」へ確認の電話を入れたい。というわけで町中に1軒ぐらいあるだろうと思って、喧噪の国道42の反対側のサークルKを見送ったのが運の尽き、結局その後港方面経由→県道778では、コンビニに出会うことはなかった。
仕方無いので尾鷲の町中で各宿へ電話をこなして、県道778へ。
もう今日はのんびり行ける。尾鷲湾に沿って続く大曽根浦、行野浦の漁村で、とりあえず道ばたに見かけた自販機の脇で手持ちのパンをまとめて消費。
懸案の水も、大曽根浦の少し先の市営テニスコートで補給することができた。何もコンビニで全部済ませなくても、分割でやればいいだけなのだ。
それにしても晴れた日の夕方の漁村は雰囲気がいい。何だか漁港も海面も静かで、夕方の赤い光の中で軒の低い町並みを子供達が遊んでいたりおばさんが歩いていたりして、景色に親しみやすい表情、生活感が感じられるのだ。
緑の山も近くや遠くで次第に青い影に埋もれつつあった。
大曽根浦からは海岸から立ち上がる岸壁上の、ジャングルみたいな森の中へぐいぐい登り始める。ここも取付だけめちゃくちゃな激坂だが、すぐに斜度は安定する。
杉主体で時々明るい広葉樹の新緑が現れるのは普通の森だが、その広葉樹はどことなく葉が小さく丸く、木の姿が全体的に小振りで細かくて、「南の海岸」を感じさせる。
それと、岩肌にシダが群生しているのが、また何ともトロピカルだ。
時々木々が切れて景色が開けると、太平洋が夕方の空の中に拡がった。
西側に山を背負うこの道、日没時刻はまだだが辺りはすっかり夕方の影の中である。目の前の夕日に照らされた海は明るく、それだけに広々と静かに感じられて、狭い密林の空間感覚とは対照的だ。
標高300mを越える辺りから斜度は更に緩くなった。楽にすいすい走れはするが、そう自動的に速度が上がる感覚は無く、まだわずかに登りは続いているのだ。
と同時に、今日の坂道続きの行程で、自分の視覚がすっかり坂に麻痺してしまったことにも気づく。
山の中の分岐から道が突如下り始めるのは記憶通り。そのまま一気に高度を下げて、山中で国道311に合流、更に一気に下り続ける。
思えば尾鷲からの行程はかなり緩急のある登りだった。九鬼側からでなくて良かった、とつくづく思った。
九鬼港はイメージ通り、尾鷲沿岸の典型的な小漁港である。静かな湾に張り付いた家並みや湾内に並んだ漁船が、次第に薄暗く、青いシルエットの中に埋没し始めていた。
そんな景色をを眺めながら、どんなにゆっくりてれてれ流しても、どんなにしょっちゅう立ち止まっても、そして宿が九鬼港の一番奥だとは言え、もういかんせん終着点がすぐそこに見えている。
18:35、九鬼港「宮崎旅館」着。事前に余裕を見たつもりの行程で助かったが、凄い道ばかりの1日だった。
記 2009/5/6