紀伊半島Tour24#5
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14:00、道の駅護摩壇山スカイタワー発。
さっき眺めた稜線までの登り返しの後、おもむろに山腹区間の下りが始まった。
この下りが凄い。基本的には安定した道と急な下りが森の中に続くのだが、落ちついた幅の道でガードレールの中ではあっても、ところどころで道の外が落ち込んで森が切れ、空と谷が開ける。
すぐ外の上下と奥に拡がる大空間への高所恐怖で腰の後ろが少しざわつくような感覚を覚え、見上げる山の上に、さっき下ってきた道が見えてここを登る計画は今後避けようと思う。その大空間も廻りも切り立つ急斜面も、盛々と生い茂る新緑の森に埋め尽くされている。
怖ろしさと感嘆が自分の中でぶつかって混乱しそうだ。そして怖いのは確かなので、一刻も早く下りきってしまいたい。
やっと谷間に降りると、上の方から見通した通りに、進んでも進んでも濃厚な森が延々と続く。相変わらずここも斜度は急だ。
下りに任せて勢いよく何処までも下ってゆくと、時々小さな登り返しが現れた。プロフィールマップの800m下りで、これぐらいは見落とすのだろうと他人事の様に思う。
下ると共に、谷底の渓流はごつごつ大きな岩がごろごろ転がる渓谷へ、次第に拡がっていった。水は紀伊半島の他の川同様こよなく清らかで透明度が凄い。釣り人も多い。なかなか素敵な川だ。
名前を地形図で見ると、日高川。2018年最終日に1日かけてのんびり下った川の上流部なのだ。なるほど、上流部でこれだけキレイ川なら、あの日高川が美しかったわけだ。
標高400m台になってもなかなか宿は現れなかったものの、そのうち川を渡るのに谷底まで下って登り返しなどという箇所まで現れるに至り、やっと宿の看板が現れた。
15:40、龍神寺尾「季楽里龍神」着。護摩壇山スカイタワーでは想定範囲最早とか思っていたものの、着いてみるとそこそこ順当な時間にはなるものだ。
サイクリング中の宿としてはやや高め(私的基準)の温泉宿だ。しかし高いと言っても明日のかんぽの宿ほどじゃない。それにフロントには「サイクリストに優しい宿」との札が掲げられている。軒下に一晩自転車を置かせていただくようお願いすると、何と連休には使わない会議室に自転車を入れてくださった。これは確かに優しい。
日帰り温浴施設としても営業している温泉は日高川の渓谷に面していて、お風呂に入りながらカジカの声がよく聞こえる。いい温泉だ。
風呂も洗濯も無事終了し、夕食はバイキング。品物豊富でその全てがとても美味しい。またもやいい宿だと思った。まあ明日の宿だけじゃなくここも宿泊料金が高いんだが。もうこのご時世、宿が高いのは仕方ないのかもしれない。
記 2024/6/8