紀伊半島Tour24#2
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15:00、下尾井道の駅「おくとろ」発。北山川対岸へ渡る吊り橋の上瀞橋は、一度渡ったことがある。その時は確か動画を撮ったはず。今は動画の代わりにThetaの360°画像が、広い幅の川を吊り橋で渡る空間感覚を記録できる(と思っている)。
対岸に続く道を登り方面へ。しばらく登りが80mぐらい、杉や広葉樹の薄暗くも静かで涼しい森に続いた。木漏れ日がまぶしい丘の背中をひょいと乗り越えると、向こう側の斜面は日なたの光の中。そろそろ赤みが混ざった光で、木漏れ日の緑がますます明るく鮮やかだ。
森が開けて小森の集落が現れた。多少静かな気はするものの、畑には人がいる。石垣や並木が小綺麗に整えられ、所々で豊かに茂る桜の木立や並木。風景に費やされた人の手の優しさがあちこちに感じられる集落だ。
河岸近くまで降りる集落の周回道路を下ると、ダムへ向かう細道の入口に小森トンネル建設中の現場があった。
小森へ行こうと思ったのは今回が初めてじゃない。しかし下尾井で地形図を眺める度、さっき登ってきたたかだか80mの丘越えが果てしなく億劫に感じられ、その度に先行きを口実に通過していたのだ。そういうときには、どうせ北山川の川岸近くまで降りるんだからトンネルで行けると、住んでいらっしゃる方も便利なんだけどなあ、とも思っていた。今、正にその道を作っている。というよりトンネルはもう貫通していて、あとは道の体裁を整え、橋を作るだけなのだ。
さっき北山川の対岸を通った小森ダムへはここから2〜300m。しかし、何となく小森を訪れるだけで十分満足できていた。この満足に浸りたい気がしたのか、ダムへ向かうのは、この際止めておく。或いはたかだか2〜300mの道が日陰になっているというそれだけのことで、ちょっと億劫に感じていたかもしれない。
15:15、小森発。
再び集落へ周回道路を登り、さっきの道に戻り、丘を越えて吊り橋まで戻って来きたらちょうど15時半。
長年の課題だった小森訪問を終え、充実した気分になっていた。もう今日はこのまま不動バイパスへ向かって何の不満も無い。
国道169対岸の林道で杉の森をしばらく進み、森が開けて育生町大井から新大沼橋で再び国道169へ。天気予報通り、空には薄い雲が拡がり始め、厳しかった陽差しを和らげてくれていた。
北山川沿いに国道169をもう5km。のんびりしているとは言えやはり拡幅済国道、風景は今日の林道や細道の数々に比べて多少気が急くように感じられた。
しかしこの期に及んで国道169には未拡幅区間が現れた。確か七色ダム周辺にも、以前は未拡幅区間はあったと思う。やはりまだまだ侮れない道だ。
記 2024/6/1