紀伊半島Tour24#2
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橋を渡ってトンネルを抜け、国道311はまたもや登り始めた。そして途中で1車線の細道となった。ここは2002年の初訪問時からもう何度か、通るたびにしつこい一登りにうんざりさせられている。なんでこんな所でわざわざ登って下るの、という。
まあこの道を通る限りは毎度の話。きりきりっと急な坂で丘を一つ越え、国道169新道に竹箸で合流。前回は国道169を降りてきたから、今回登りでしんどいのは順当な流れと言えばそれまでではある。
谷底の玉置口にもひと分岐ある。集落も何も無い急斜面の、数えるのが面倒なつづら折れで単純に100mぐらい登った最後は行き止まりという、かなりものすごい道だ。もともとGPSトラックは引いていないし、そちらには行かないことにしておく。以前まだ新道が影も形も無い頃、国道169の旧道から一度間違って踏み込みかけたような気がしないでもないし、そんなのは思い込みかもしれない。何しろ初めて通った2003年は、この辺は泡を喰っていたし、その先の蟻越峠区間で散々しんどい思いをさせられたのだ。等と思いながら、橋の上から玉置口の谷底と印象的な白い鉄骨トラス橋を眺め、脚を進めるとする。
瀞峡トンネル入口の、2003年以来向かおうと思っていた国道169旧道は通行止めになっていた。無理に突入しても、延々登った後に盛大な崩落やら何やらに遭遇するのは目に見えている。もう粛々と、瀞峡トンネルへ向かってしまうことにした。大義名分としてはこちらから登るのは初めてだし、実際2km以上の長い国道トンネルではあっても緩めの登り斜度は大変有り難い。そして今日みたいに暑い日には、トンネルの冷やっとした空気が更に有り難い。
多分旧道はこのまま廃道になるのかもしれない。それなら次回以降の訪問は、こちらになってしまうんだろうなとも思う。
瀞峡トンネルを抜けると、すぐにこちらの新道から見上げる位置に国道169旧道が並行する、瀞峡区間まっただ中の風景が現れる。この国道169の、象徴的な場所だと思う。
13:30、田戸分岐着。ここで寄り道2本目、瀞峡まっただ中北山川の河岸近くまで降りてゆく道へ。以前は谷底へ一目散に下ってゆく道を国道169の旧道からも新道からも眺めるだけ、「あんなところはちょっと下れないね」等と思って通過していた。今回は余裕がある分を、そういう道への訪問に費やそうと思っている。まあ、玉置口は通過してしまったので、ローラー作戦というほどでもない。決め決めの計画でもない。あくまでのんびり、あまり考えずに時間が許す範囲の話だ。
手持ちの平成6年腰部修正1/5万地形図「十津川」には、この谷に田戸という小さな集落が描かれている。そして以前NHKの朝のニュースで、瀞峡ホテルとして宿泊営業されていた建物を引き継がれた方が、瀞峡ホテルをカフェとして営業されていることが紹介されていた。以前からこの田戸を、是非とも一目眺めてみたいと思っていた。
谷間へ降りてゆくと、ボリューム・斜度とも地図で眺めたのと上から眺めて想像したぐらいのボリュームの谷下りの後、カーブの先に木造廃屋と何故か郵便局、そしてバス折り返し場所が現れた。元瀞峡ホテルの建物はそのバス停の、瀞峡に降りてゆく斜面に貼り付くように建っていた。
ここに立ち寄って軽食か飲み物か何かを頂いて、木漏れ日の瀞峡を眺める自分を想像していなかったわけじゃない。でも、今日も14時近い。そこまでの余裕は無さそうだ。そしてそういう理由だけじゃなく、先にどんどん進みたい気分になっている。
帰りには下った分が丸々登り返しになって、再び国道169へ。14:00、田戸分岐発。
何度かの訪問で印象的な東野トンネル、他いくつかのトンネルと橋で、本来は切り立つ複雑な地形の谷間をばんばん直線気味に通過してゆく。
地形図に描かれた急峻で屈曲する谷間の印象とは全く違い、ほんとにあっという間に小松分岐に到着。
いつもの小松に降りてゆく道が分岐する広場状の場所に、工事現場の仮囲いが立っている。その向こうには、谷間の空中に構台がかなりできあがっているのであった。その先、山肌に穿たれたトンネルはもう貫通している。小森を抜けて北山村の中心部に向かう新道区間が、来年の開通に向けて着々と絶賛工事進捗中なのだ。
小松には2度降りたことがあるし、小松で工事現場を眺めることができたので、引き続き粛々と先へ進んでゆく。次は瀞峡を望む私的撮影場所の再訪だ。
急に細道に変わった国道169はこちらからだと登り基調だ。
楽しみにしていた私的撮影場所は、ところがその場所ではガードレール外の斜面に2018年以来6年間で成長した木が生い茂り、瀞峡は全く見えなくなっていたのだった。
その後小森ダムまで道は一登り。いつの間にかスパルタンに斜度を上げているタイプの、ちょっと国道離れした厳しい細道だ。
細道区間は下尾井手前で続いたが、新道の橋を造っている工事現場が現れた後、道幅が拡がって森が切れ、集落と道の駅が現れた。
14:40、下尾井着。ここには道の駅「おくとろ」その他公営観光施設がある。道の駅で補給食ぐらいは問題無く購入できることは知っているし、、今日は補給食を十分準備して行程に臨んでいる。とりあえず有り難く立ち寄り飲みものを仕入れ、表のベンチで昨日早朝地元駅のコンビニで仕入れた最後のバームクーヘンを食べてしまう。まだ熊野市で買った食料もあり、ネタ的には全く不自由していない。
のんびり行程を進めているうち、それなりに時間は過ぎているのは瀞峡の山深さ故かもしれない。ここで少し休んで出発は15時頃。小森へ訪問してから、その後不動バイパス経由で七色ダムへ脚を向けると宿到着は17時を過ぎるだろう。明日は曇り後雨予報、午前中しか走らないだろうから、17時を過ぎても全然構わない。むしろ今日もっと走っておくべきかもしれない。まあでも、熊野灘の絶景、風伝峠・丸山千枚田・木津呂・瀞峡ホテル・ツーリング的絶景と細道廻りに十分満足だ。そろそろ空に雲がうっすら拡がり始めているし、小森の後はもう宿に向かおう。
記 2024/6/1