紀伊半島Tour24#2
2024/4/28(日)二木島→下北山-3

二木島→新鹿 (以上#2-1)
→熊野市
(以上#2-2)
→丸山
(以下#2-4) →板屋
(以下#2-5) →小川口
(以下#2-6) →下尾井
(以下#2-7) →小森
→下北山
 106km

A地点からC経由でB地点へ 赤は本日の経路
ニューサイ写真 RICOH GRV GR18.3mm1:2.8

 8:55、ローソン発。駅前を経由し、裏道から再び海岸沿いの国道42へ。

 かつて泊まった熊野市青年の家YHの建物を一目眺めようと思っていた。事前に旧道っぽい細道に目を付けてはいたものの、建物はあっけなく国道と細道の分岐に建っていた。

 

 旧道細道は車が来なくて好都合ではあるものの、凄い晴れの今日は、むしろ国道沿いの海岸が見ものだ。少し獅子岩前の海岸を眺めてから、おもむろ内陸へ向かう。

 GPSトラックは集落の生活道から田圃の裏道、農村の細い道へくねくね突っ込んでゆき、おもむろに再び国道311に合流。

 丘陵地をいくつか横断するアップダウンを、てれてれだらだらとのんびり進んでゆく。過去の訪問では、一見短く見える距離を甘く見て適切な時間を取らず、この辺りで坂を強引に登ろうとして疲れてしまった記憶がある。こういうしんどい区間は、面倒でも無理しないことが心安らかなツーリングにつながる。脚が無いという話ではあるものの、無理さえしなければ、山間に向かって波状に続く一つ一つの丘は、どうせ大したボリュームではない。

 そういう丘を一越えして谷閧ノ下ると畑や田圃が現れる。里が現れる度に次第に谷が狭くなって長閑な雰囲気濃度は濃くなり、丘は少しづつ高くなって周囲にも高い山が現れ始める。

 途中、熊野自然の家の分岐看板が現れた。2015年に通った札立峠と深い森の道を思い出す。

 RICOH GRV GR18.3mm1:2.8

 アップダウンが続いて交通量は皆無という程でもないこの道を避けようとすると、もう少し海側に少し回り道する道はある。国道311よりはのんびりしていそうなので、いつかはそっち方面も行ってみてもいいかなとは思うものの、いつになるかはわからない。まあパターンとしては、瀞峡・丸山千枚田方面と熊野灘の狭間で、必要性と時間の余裕に応じて行けるか行けないかが決まるんだろう。

 内陸はやはり暑い。まあ夏よりはましで、まだ耐えられる。自販機で脚を停めポロシャツを脱ぎつつ、GWはこんな暑さがすっかり普通になってしまったと思う。

  A地点からC経由でB地点へ 赤は本日の経路

 周囲の山々が俄然切り立ってきて、斜面地集落の尾呂志を過ぎ、トンネルの入口でおもむろに杉の森へと分岐する旧道で風伝峠へ。過去に国道311を通った時は、主に行程に無理があったため、たかだか100m登り返すこの旧道を避けたことが多かった。今日は可能な限り脚を向けてみるつもりでいたのだ。

 

 取付で乗り上げるようにほんの少し高度を上げ、その後は斜度が落ちついた。濃く深い杉の森は、梢が高く開放的な雰囲気だ。

 RICOH GRV GR18.3mm1:2.8

 しかし森の上手から、野良犬なのか猿なのか声がするのはやや不気味だった。距離は100mか或いは200mか、猪か熊じゃあなさそうではある。ある程度から向こうは勝手が全く伺えないことに気が付き、改めてその深さを思い知らされるような森だ。

 RICOH GRV GR18.3mm1:2.8

 峠手前の茶屋っぽい建物は閉まってはいたものの、ピークできゅっと道幅が狭くなる峠部分も杉の森の中。旧道であることと往年の佇まいが想像される。

   RICOH GRV GR18.3mm1:2.8

 風伝峠を越え、道は山腹の森を下ってゆく。

 登り返しが始まって峰を越え、時々頭上が開けたりする辺りから、道幅はますます細く、舗装路面の轍を除いて草や苔が生えたり落ち葉が溜まってたり、細かい落石が現れ始め、路上空間がますます狭く小さく道の雰囲気は変わり始めた。

 県道40へ合流、更にぐいぐい登ってゆく。地形図ではそういう風に読めるし2002年の記憶でもそんな感じだったので驚きはしないものの、やはりそうなのか、と粛々とギヤを目一杯落とす。

 この先丸山千枚田までも、やはり距離は長くないが拡幅済みの道幅にしちゃ斜度は厳しめだ。風伝峠からこの辺まで距離はそんなに無い。しかし、道が細くてそろそろ進んできたのでそれなりに時間は過ぎているし、道の展開がころころ変わったためか十分に峠を越えたという気分になっている。さすがは風伝峠。それとともに、改めて行程が紀伊半島のペースであることを感じさせられる。

 RICOH GRV GR18.3mm1:2.8

 県道40に合流してから、すれ違ったり追い抜いてゆく車が妙に増え始めていた。丸山千枚田を訪れる人だ。森が切れて現れた展望台では、森が切れて千枚田を見下ろす眺めが拡がった。切り立つような急斜面に弧を描いて、目の前から上下に空間が拡がっている。谷底へ駆け下りるように層をなして下ってゆく棚田。その垂直方向への規模は、2002年に訪れて、そしてその後も地図で眺めていた以上だ。

 明るい草の緑は、ここまで通ってきた杉の森の濃い緑、広葉樹の森と違う緑であり、空を映す水面、陽差しとともに目に浸みる。気を付けないと転げ落ちてしまいそうな気になってしまうほどの急斜面。腰の後ろが痒くなりそうな高所恐怖が、これから自分がその中へ下ってゆくわくわく感と、他の場所ではあまり見かけない地形の空間感覚と一緒に自分の中でぶつかりあっている。

記 2024/6/1

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Last Update 2024/6/15
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