開陽→俵橋
(以上#2-1)
(以下#2-2)
→上風連
(以上#2-2)
(以下#2-3)
→奥別寒辺牛
(以上#2-3)
(以下#2-4)
→中西別
(以上#2-4)
(以下#2-5)
→虹別
(以上#2-5)
(以下#2-6)
→俣落
(以上#2-6)
(以下#2-7)
→開陽台→開陽
198km
RYDE WITH GPS
タイトル行程 |
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4時。雨はもう止んでいた。窓を開けると、軽めの風が吹いているようだ。202kmコースに出発できるぞ。
豚丼、カット野菜パック、菓子パンを粛々と腹に入れてゆく。年々早朝の朝食が腹に入らなくなっていて、豚丼を口に入れてから飲み込むのに一苦労する。そんな感覚を去年ぐらいから感じ始めている。おれも55歳、もうだいぶ歳だよ。3年振りの202kmコース、以前のように行けるのかどうか心配だ。
4時半から窓の外は次第に明るくなってきた。その一方、5時頃から屋根に当たる雨と軒から地面に落ちる水滴の音が外に聞こえ始めた。再び雨が降り始めている。でも、あまり深刻にしつこそうではない。このまま出発してしまえば、武佐辺りで雨は止むだろう、という雰囲気が漂っているように思えた。そういう気持ちを信じて出発するべきだろう。雨が強くなったりペースが上がらなかったら、早めに断念して中春別辺りで引き返してしまえ。
雨具を着込んでフロントバッグを取付け、自転車を表に出すともう5:20。開陽「民宿地平線」発。
■町道北19ではやはり雲はかなり低い。途中から、顔に水滴が感じられる位の霧雨以上雨未満、水滴が入り込みやすいGR3が心配になるぐらいの弱い雨が降り始めた。雨以外にも概略北西向きの横風もなかなか強い。ただ、走るのがつらいという程ではない。今のところは。
町道北19から武佐への下りが始まり、山裾からどんどん離れても、期待に反して雨が弱まることは無かった。
ずっと路面はじとじと、木陰の下では風で水滴がパラパラ落ちてきた。しかし下っている間はずっと脚を停めて30km/h以上が楽に出ていた。さっきの横風が追い風気味になっている。早めに出発できてペースも悪くない。まずは上々の出発であると言えないことはない。
5:50、川北着。このコース上で数少ない貴重な商店がある場所だ。出発したばかりとか雨宿りする場所は無いとか、そんなことは構わずに是非とも自販機に立ち寄ってコーヒーを飲んでから、再び出発とする。商店の脇に、各戸の名前が書かれた新聞置きが設けられていた。近く(でもない)の古多糠にもそんなものを見かけたことを思い出す。
町道北19からの下りは川北で一段落する。標高160mから110mぐらい下ってきて、もう標高36m。
中標津町内ではあるものの、エリアとしては海岸の標津へ続く低地に入りつつある。
北海道Tour20#2 2020/8/7(金)民宿地平線の根釧台地ベスト202km 北海道標津郡中標津町俵橋にて #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA
草地、畑、防風林と川沿いの森を、直線基調の道が時々曲がったり直角にクランクして南下してゆく。
雨はしとしとだったりふわっと霧雨だったり、或いは止みそうに弱まったりしながら続いていた。雲はずっと低く空は暗い。天気予報では9時台から雨は上がることになっている。上手くいけばもう少し早まるかもしれない。雨具の中が蒸れちゃうような長い坂は無いんだから、もう少し辛抱すればいいというだけだ。
紙一重でどっちにでも転ぶような天気予報が良い方に転ぶと思えるのは、横風が微妙な向きで風はほんの少し追い風気味になっていて、自分の走りが何となく軽いからだろう。あまり安心しすぎてはいけないのかもしれないとは思っても、やはり気分は悪くない。この風向き、オホーツク海の冷たい空気が温帯低気圧の暖かい空気に勝っているのかもしれない。
相変わらず雨の中、道は北から南にどんどん下ってゆく。牧草地と茂みと森が続き、時々道は曲がったり、区画を区切る農道と交差したり、交差する道がたまに道道だったり。道道だと標識や道路名称やらが表示されていて、そこに旧標津線の駅名や既知のオホーツク沿岸の地名が現れ、自分の居場所が想像できるのだった。というぐらいに、周囲は牧草地と畑と茂みと森が延々と続く。延々と続くのは、根釧台地全域に共通する大きな特徴だ。
北海道Tour20#2 2020/8/7(金)民宿地平線の根釧台地ベスト202km 北海道標津郡中標津町俵橋にて #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA
標識の地名が中標津から標津に、そして中春別に変わるまで大分かかった。まだこれが別海に変わり、更に別海の南まで行かないと、次の展開は無いのである。長い区間である。そしてずっと雨は止んだり降ったりなので、なかなか雨具を脱ぐことができない。出発前に純正撥水剤に浸け直したサイクルレインジャケットは、早くもたっぷりびしょ濡れになってしまっている。思えばこいつも確か2013年に導入してから早8年目。いい加減北海道から帰ったら、新品に買える方が良いかもしれない(10月現在、結局まだ替えてない)。下のレインパンツ(?)は大丈夫である。こっちはまだまだ使えるね。
道端の風景にはどこも見覚えがある。しかし記憶の風景は、やはり青空とともある。今日は雲が低く、どこまで行っても未だに雨は止まない。のみならず、時々雨粒は大きくなったりしていた。
標識の地名が中春別から別海に変わった辺りから、風が目に見えて明らかに生ぬるくなり始めた。やがて道は向きを頻繁に変え始め、やや大きな波の起伏を越えてゆくようになった。周りの風景はすっかり牧草地まっただ中で、時々森を挟みつつも道端の牧場農家も目立つ。森が多かった標津辺りに比べると、こういう構成が別海平地の特徴だなと毎回思わせられる。
もう2時間以上も南下を続けていて、いい加減そろそろ次のエリアが待ち遠しかった。7:50、内陸方面に向かい始めたコースがやっと、しかし唐突に道道11に突き当たった。
道道11をクランク状に経由して、次は新酪農免農道へ。中標津・標津・別海のオホーツク海沿岸低地から、中標津と厚床を結ぶ道道11の西、つまり別海内陸側の丘陵に入ったのである。この段階で距離は53km。
道道11を越えた途端、急に雨粒が大きくなった。というより雨が強くなってきた、かもしれない。ただ空は意外に明るいようにも見え、あまり深刻に強まるような気配が感じられないのも相変わらずである。向かい風はいよいよ強くなっていた。木々が風に煽られている程である。でもこの風向きだと、この先道道813で奥別寒辺牛から折り返すときの北上方向で追い風に変わるだろう。それまで我慢だ。
牧草地の丘から丘へ、大きな波を乗りこえて新酪農道は続いてゆく。これまでに比べて地形の彫りが深くなり、一直線の道の先に谷と登り返しがよく見通せる。農道だけあって、幹線道の道道11や1本西側の道道123より波が大きく頻繁である。一直線の道の波は視覚的な圧縮が利いてうんざりさせられるものの、実際にそこまで行ってみると、登り量も斜度も見た目より厳しくない。実際にはある程度勢いで登ることができるし、登り切ってまた向こうに現れた次の坂に進めばいい、というだけの話だ。
北海道Tour20#2 2020/8/7(金)民宿地平線の根釧台地ベスト202km 北海道野付郡別海町別海にて #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA
そういう丘の一つに、新酪展望台という鉄骨の展望台がある。だいぶ前には、ベニヤにペンキで描かれた、とても可愛らしい牛のキャラクター、Momoちゃんが立っていた。今はもうベニヤが風化し、別の看板に変わっている。しかしMomoちゃんはいつの間にか、生協のこんせんブランド乳製品に起用され、忙しい日々を送っているのだ。私も去年東京で再会することができた(最近他人の空似と判明)。
道は南向きの丘と谷の横断から、西向きに変わって丘の上に続くようになった。頻繁な登り下りが影を潜めた代わりにというか、雨は更に強まった。もう少しの我慢どころか、いつの間にか普通に雨天サイクリングになってしまっているように思えた。
南西の向かい風にもみくちゃ状態で弄ばれ、押し戻されたり流されたりふらふらと進むうち、行く手の森に鉄塔が現れ、続いて小中学校の建物も見え始めた。8:40、雨の中をやっと上風連に到着である。
風で難儀していたにも関わらず、時刻で言えば過去最早の上風連到着だ。この時点で70km、全体の1/3が終了したことになる。上春別引き返しどころか、幸先のいいコース前半終了だ。でもこの強風、今後このペースが続けられる気がしない。油断せず挫けず、着々と脚を進めてゆかねば。
とりあえず上風連には自販機が2箇所もある。このコースで数少ない商店もある。しかしボトルの水はまだまだ一杯あるし、食糧も今のところ全く不自由はしていない。
A-COOPのシャッターは閉まっている。軒下が何だか寂れて人気が全く無い。ここも遂に閉店か、などと思いつつ雨宿りに集会所へ。朝から掃除をしているおばさん(とは言え私より若い)が「どうぞ入ってお休み下さい」などと声を掛けて下さるものの、あまりゆっくりする余裕は無く、おにぎりとクロワッサンを腹に詰め込んで出発するだけだ。それよりA-COOPの現状につい尋ねてみると、営業を続けているとのこと。ひと安心した。営業開始が9時だから、8:50にならないと開かないらしい。そういう8:50のA-COOP開店を、確か以前見かけたように思う。今日はその時刻に上風連を出発できるのが有り難い。
8:50、上風連発。見覚えがある、というより別海内陸地域で私的に一番わかりやすい目印となっている、道道123・930・農免農道の交差点を南へ。
北海道Tour20#2 2020/8/7(金)民宿地平線の根釧台地ベスト202km 北海道野付郡別海町上風連にて #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA
相変わらず霧っぽいものの、10分雨宿りしている間に雨がいつの間にか止み、空は何となく全体的に明るくなり始めていた。それより、コースが南向きに変わった途端、吹き荒れている南西の風が向かい風となって襲いかかってきた。もう身体が削り取られるようにスゴイ向かい風だ。回りの草や木も、上半身を大きく振って煽られている。
それでも脚を動かさねば。ほわんと明るくなり始めた霧っぽい空を眺めてのろのろと先へ向かううち、それなりに位置は進んで、向かい風での進行距離感覚にも慣れてきた頃、道道123・813分岐点を通過。道道813に進んで道の向きが真西に変わると、風はやや横風気味の向かい風に変わった、いや、変わって下さった。道はこれからしばらく真西向きが続いた後、東円朱別の先から南西向きに変わるので、今度は真正面気味になるんだろうと思う。しかし、何とか向かい風に耐えきって奥別寒辺牛まで行けば、202kmコースは奥別寒辺牛で折り返しなので、風向きも正反対に変わる。そして東円でピストン区間が終わった後も道は北向きなので、今の風向きなら凄まじい追い風に変わるはずだ。問題はその時まで今の風向きが続いてるかどうか。更にこの向かい風の中、自分は別寒辺牛まで辿り着けるのかということだ。まあ、いざとなったらピストン区間を省略すれば、ピストンの分2倍下方修正できる。上風連早着だけで充分じゃん、緩めに行きましょう。
東円朱別で道道928交差点、202kmコース北上区間への分岐を見送り、奥別寒辺牛までのピストン区間が開始となる。少し先でそれまで続いた防風林が丘の上で開けた。道が向きを変えてゆくのとともに牧草地の中へ下ってゆく開放感、地形の変化が纏まり良く、道道813で一番印象的に残る風景となっている。
しかし今日は向かい風で、下っていても脚を停めると速度は10km/h台前半で落ちつく始末だ。それでもこの辺りでやっと道が乾き始めたのが、有り難く嬉しい。まだ向かい風は吹き荒れているものの、少しづつ良い傾向が現れている。
道の向きが南西に変わり、辺りは再び牧草地と防風林が断続する丘陵となる。高知まで9km、一直線のアップダウン区間である。身体が削り取られるような向かい風が大変につらい。下り区間で全然速度が上がらないのが自虐的に可笑しいほどだ。
北海道Tour20#2 2020/8/7(金)民宿地平線の根釧台地ベスト202km 北海道野付郡別海町上風連にて #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA
丘と谷間、牧草地と防風林がひたすら繰り返され、東円朱別浄水場、JA西円朱別売店、西円朱別のトライベツ分岐が次々通り過ぎてゆく。一直線の道にアップダウン、行く手の登り斜度が下り部分との角度差により増幅され、更に距離の圧縮効果により、登り区間はまるで壁のように見通せる。これが視覚的になかなか堪える。しかし、この辺の坂は実際は見え方ほど斜度も長さも無いことも、もう経験的にわかっている。
トライベツ分岐から先、一直線区間が終わるまでが意外に長い。やっと一直線区間が終わっても、風が吹き荒れる谷間を渡り、再び丘陵部の高知に乗り上げるまでがまたじれったく長く、身体が重くてなかなか進まない。高知小学校のコンクリート建築物が何だか懐かしいような、やっとここまで来たように思われ、何だか一服したいような気にもなるものの、ここまで来たらもう一気に奥別寒辺牛まで行ってしまえ。ここまでただそれだけの気持ちで何とか前に進み続けてきたのだから。
しかし高知の手前で一度水滴がぱらぱらっと舞い始めた後、雨が完全に止み、路側帯の隅まで乾いてしまったのは嬉しかった。
高知の外れ、一直線の先に青い標識が見え始めた。やっと奥別寒辺牛に着いた。道が谷間にするするっと下り始めたところで、糸魚沢への道が分岐している。そこが折り返し地点である。
北海道Tour20#2 2020/8/7(金)民宿地平線の根釧台地ベスト202km 北海道厚岸郡浜中町奥別寒辺牛にて #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA
10:10、別寒辺牛着。距離は95km、全体の半分弱。やっと雨が完全に止んだ。そして向かい風に随分難儀させられたものの、時刻は未だ10時過ぎ。出発時刻そのものが過去最早ではあったものの、ここへの到着時刻も過去最早である。これはひょっとすると意外な程好調な行程ではないのか。
などと思いながらクロワッサンを2つ腹に入れておく。そしてやっと雨具を脱ぎ、小さく畳んで丸めて専用袋の中へしまうことができた。気が付くと意外に気温が上がっていて、雨具の中がびしょ濡れの汗だくだった。濡れた体に急に強い風が当たってくしゃみなどするものの、この後は風が身体をすぐ乾かしてくれるだろう。
10:20、奥別寒辺牛発。
走り始めると、ものすごい追い風アシストで軽い軽い。ここまでの向かい風で想像していたはずなのに、その想像を遙かに超える追い風で、丘の上の高知から平地に下ってからも30km/hを下らない。さっきえっちらおっちら越えてきた、西円朱別一直線区間のアップダウンもすいすいで、登りで常に20km/h台をキープできるのには恐れ入った。自分の走りが自分じゃない。これは楽ちん楽ちん。まるで嘘か冗談のように、アップダウンをどんどん通過し、あっという間に西円朱別へ戻って来た。まあ、あれだけキツい向かい風だったからな。
西円朱別では珍しいことに、犬の散歩中のママチャリを追い抜いた。どこかの牧場の方だろうな。追い抜いてすぐに10:40、西円のJA売店に到着。往路に1時間近くかかった奥別寒辺牛から西円JA売店まで、何と20分しか掛かっていない。もはや笑うしか無い。
北海道Tour20#2 2020/8/7(金)民宿地平線の根釧台地ベスト202km 北海道厚岸郡浜中町西円朱別 JA浜中町西円取扱所にて #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA
さっき往路で休まなかった時、帰りはここに立ち寄ろうと決めていた。ただ奥別寒辺牛で休んだばかりだし、とりあえず何か飲みたいとか食べたいとかの用事があるわけじゃない。快調な脚取りから身を移すような気がして自転車から降りるのももどかしく、この際店に入らず自転車に跨がったまま自販機でコーヒーをぐいっと一飲みする。
向かい風が続いた奥別寒辺牛でさえ過去最早だったのに、折り返しで追い風に替わり、もう疑うこと無く過去最早ペースで202kmコースを辿れている。出発の時間自体が早いので速いペースかどうかは別にして、旅程が好調であることは間違いない、というより時刻だけなら絶好調であると言っていい。
このままあと少し、北上区間で追い風が続く間は快調ペースが続くだろう。問題はその後。矢臼別から先コースは北西向きが長く続く。その間横風に替わった風が追い風気味か向かい風気味かで、行程はまるっきり替わってしまう。というよりどこかで向かい風になるのは避けられないだろうな。
まあしかし、そんなこと悩んでたって始まらないのである。少なくとも雨の不安は完全に消えたようだし、出発5時間ちょっとで100kmを越えている。ここまで好調なら、余程のことが無い限りもう大したことにはならないだろう。18時までに民宿地平線に帰ってこれる、と思っていればいいのだ。
JA東円朱別売店の先で一直線区間が終わると、そのすぐ先が北上区間への分岐である。
11:05、東円朱別から道道928へ。奥別寒辺牛ピストン区間が終了、ここで108km。202kmコースも半分を越えた。
■コースが真北向きに替わり風向きも少々横風気味に変わったものの、相変わらずかなりの追い風基調である。牧草地の中の1本道、次第に波が大きくなる別海内陸の丘陵地帯。時々横風に煽られる感覚があり、そうでなくても森と牧草地の草が風に揺れている。
追い風気味であっても風の強さがよくわかるし、向かい風に変わったときのことを想像させられる。というより、そういう事態はあまり考えたくないので、できれば見て見ぬ振りをしたい。今の風向きとこの先矢臼別から始まる北西向き区間を考えると、向かい風気味にはなっても完全な向かい風になる区間はあまり無さそうなのが救いだ。ただ、それは風向きが北東のまま続くことが前提の話だ。要するに進んでみるしかないのである。
北上区間の後半は、矢臼別演習場の外側を回り込んでゆく。この辺、石川さんの202kmコースではやや曖昧に描かれているような気がする。以前からコース作者の石川さんは「いろいろ通ってみて下さい」と仰っていたから、今回は過去経由した回数が少ない内側回経路を選んでみた。
丘の上に乗り上げてから、道は唐突に左側の農道へ分岐する。ここからいよいよ標茶町萩野の国道243交差点まで50km弱の北西向き区間だ。起伏をまともにぶったぎってきた北上区間に比べ、丘の上に道が続くこの区間では、大きなアップダウンが無くなる。
しかし、やはり予想通りにかなり強い横風が向かい風気味でぶち当たってきて、笑っちゃう程一気にペースが落ちるのであった。こういうのは予想通りじゃない方が良かったんだけどな。
12時を過ぎたら、少し休んでもいいと思っていた。そしてその場所にはイメージがあった。12:05、見覚えのある牧草地と防風林に面した農道で停まり、自転車を降りて昼食とする。
出発から7時間弱経過したこの段階で、130kmを少し越えたところである。大変快調だ。いいぞ。残りはあと1/3。もう確実に、到着時刻の心配無く今回は走りきれるだろう。
北海道Tour20#2 2020/8/7(金)民宿地平線の根釧台地ベスト202km 北海道野付郡別海町中西別にて #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA
道は別海町の台地上に続いてゆく。視界のアクセントという程度の起伏以外、行く手に露骨なアップダウンは無い。本来は202kmコース中の比較的安定したパートであり、晴れていると知床山脈の山影まで開けた見晴らしが楽しいはずの道である。今日は未だ雲は低く、あまり見通しは利かない。ただ、雲の中が時々明るくなって、うっすら陽差しが現れ始めていた。こうなると気温は低いのに、陽差しが出ただけで路上は照り返しだけで一気に暑くなり、つらい程だ。晴れたら晴れたでつらい根釧台地の厳しさをやっと思い出す。
矢臼別演習場外周部の森から離れ、コースは更に北西へ。道の角度が微妙に変わる度、横風は向かい風気味になったり追い風気味になったりした。進むにつれ道の方向は次第に北向き側となり、横風の追い風成分が増え、広々と平坦な地形の単調な印象を助けてくれていた。しかしいかんせん横風なので、基本的には身体が重い。
出発後150km経過の段階で、時刻は13:15。何と終着の民宿地平線までもうあと50kmだ。まあ、そういう距離感覚ではあるし、実は出発後8時間も経っている。でもこの分だと、16時前には俣落に着いてしまうかもしれない。時刻だけ言えば、事前の心配など吹き飛ぶ過去最早絶好調ペースである。
西春別宮園町辺りの営みっぽい遠景が見える頃には、次第に曇り空が明るくなり始めていた。
西春別を過ぎ、根釧台地西縁に近づくと、コースは南西向きの道道830をクランク状に経由。まともに正面からの強風が向かい風になり、これはヤバいと覚悟した。今日のコースの中でも印象に残る、厳しい区間だった。しかし、南西向き区間は意外にも数百mだけで、再び北西向きの道に分岐したので助かった。
泉川から道道11までは、2バージョンある202kmコース手描き地図のどちらも、どこの道を経由するのか確定しづらく、以前の3回では比較的外側を経由したので、今回は一番地図通りみたいな気がする1〜2本内側寄りの道を経由してみた。
道道11の手前では、去年札友内への行程で通った、カラマツの防風林が印象的な道を経由した。去年は雨だったので、今回の晴れつつある空の下で眺める景色はそれなりに新鮮だし、202kmでこの経路を辿ることそのものに大義名分がある。コース全体の距離は、202kmより短くなるかもしれない。でも202kmも4回目。こういう回もあっていいし、次回は気に入った道を通ればいいのである。
北海道Tour20#2 2020/8/7(金)民宿地平線の根釧台地ベスト202km 北海道野付郡別海町泉川にて #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA
道道11に合流、スノーシェッドを抜けて根釧台地の縁を越えたその最高地点で、少し休憩することにした。 しばらく休憩していなかったので、そろそろ休憩しようと思っていた。自転車から降り、防風フェンスの脇でクロワッサンを食べる。確か8個持ってきたはずなのに、食べた後はもう残り2個になっていた。ここで14:00、出発から156km。
道道11は北東向き、追い風に飛ばされて下り区間はものすごい勢いで一気に終了。
北海道Tour20#2 2020/8/7(金)民宿地平線の根釧台地ベスト202km 北海道野付郡別海町泉川にて #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA
北西向きの農道へ曲がると、再び向かい風と登りで一気に脚が重くなった。しかし牧場を3つ通過して標高220mまで登り、折り返すように道は北東向きに変わり、やっと北西向き区間が終了。そのまま虹別の道道885交差点へ下ってゆく。
待ちに待った、ほぼ開陽までの追い風区間が遂に始まった。202kmも最後のパートである。
北海道Tour20#2 2020/8/7(金)民宿地平線の根釧台地ベスト202km 北海道川上郡標茶町萩野にて #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA
雲が切れて青空も目立ち、もうすっかり陽差しが現れていて、辺りの牧草地や森が明るく鮮やかだ。
14:30、虹別通過、この段階で距離は167km。
道道885では期待した以上の追い風が吹き、というより吹き荒れる風が全部追い風になった。我ながら風のように走りが軽い。そしてもう開陽台まで、谷越え以外に登りはほとんど無い。
しかし、道道885からペースは一気に遅くなった。虹別から養老牛までの道道885、養老牛から俣落までの道道150は、晴れると風景が絶好調なのだ。
北海道Tour20#2 2020/8/7(金)民宿地平線の根釧台地ベスト202km 北海道川上郡標茶町中虹別にて #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA
中虹別から先、特に西別岳登山口を過ぎてからは、西別岳の青い山影、午後の斜光線に輝くような牧草地、そして南側に時々眺める彼方の地平線、ほぼ1ブロック毎に脚が停まっていた。
14:55、養老牛ながかわ商店着。ここで179km。
北海道Tour20#2 2020/8/7(金)民宿地平線の根釧台地ベスト202km 北海道標津郡中標津養老牛 ながかわ商店前にて #theta360 - Spherical Image - RICOH THETAさっきまでの虹別の絶好調ペースは、一気に平年並みに戻りつつあった。この分だと俣落は16時、開陽台に立ち寄って民宿地平線終着は17時というのがいい線だろう。まあでも、夏のこの道で晴れるなんて、ここ数年無いチャンスなのだ。この風景を眺めにこの道に訪れているのだから、ここでペースとか小さいことにこだわっちゃいけない。
養老牛の交差点から道道885から道道150に番号が変わった道を、引き続き俣落へ。旭新養老牛から北進へは、やはりほぼ1ブロック毎に脚を停めてゆくことになった。いや、むしろこの辺が私的にこの道のハイライトなのだ。
北海道Tour20#2 2020/8/7(金)民宿地平線の根釧台地ベスト202km 北海道標津郡中標津養老牛にて #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA
北海道Tour20#2 2020/8/7(金)民宿地平線の根釧台地ベスト202km 北海道標津郡中標津養老牛にて #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA
北海道Tour20#2 2020/8/7(金)民宿地平線の根釧台地ベスト202km 北海道標津郡中標津北進にて #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA
知床山脈裾野の牧草地は広々と明るく鮮やかで、空の中で山影は青く大きく、空の中にはちぎれた低い雲が比較的速い速度で飛んで行く。良いアングルで停まると、途端に日が翳ったりする。でも、立ち停まって陽差しを待ち続けたりはせず、その先の区画へ。陽差しが出てきたところで、この道はその場所の素晴らしい風景を見せてくれるのだ。
北進の最高地点、通称北進台から道道150を一旦離れ、最近よく北進・俣落間で経由する農道へ。俣落まで202kmコースを外れるものの、いいのだ。石川さんもよく「いろいろな道を見つけて下さい」と仰っている。俣落まで道道150を進むと根釧台地随一の豪快な下りがあるが、その後がやや単調だ。こちらは牧草地、牧場の中の親しみやすい風景が続き、私的にはこちらの方が好きだ。まあでもそれも、今日1日じゅう眺めてきた風景に近いかもしれない。
北海道Tour20#2 2020/8/7(金)民宿地平線の根釧台地ベスト202km 北海道標津郡中標津北進にて #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA
俣落通過はやはり16:00だった。快調ペースからは外れたものの、これなら開陽台に立ち寄ってもいつもの17時着。何の問題も無い。腹も減ってるし、開陽台の売店で最後に何か食べちゃえ。
北海道Tour20#2 2020/8/7(金)民宿地平線の根釧台地ベスト202km 北海道標津郡中標津町開陽 開陽台入口にて #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA
俣落から牧草地を1ブロック登り返し、開陽台の裾へ。16:05、開陽台下着。
北海道Tour20#2 2020/8/7(金)民宿地平線の根釧台地ベスト202km 北海道標津郡中標津町開陽にて #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA
開陽台まで10%強のあと一登り。ここは当然のようにもう押してゆく。もう200km近く走ってきたのだ。
北海道Tour20#2 2020/8/7(金)民宿地平線の根釧台地ベスト202km 北海道標津郡中標津町開陽にて #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA■
16:20、開陽台着。
北海道Tour20#2 2020/8/7(金)民宿地平線の根釧台地ベスト202km 北海道標津郡中標津町開陽 開陽台にて #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA
まずは閉店前、いや、ラストオーダー前に何か食べねば。ローストビーフドッグを立て続けに2本注文すると、汗だくの私を見ておじさんが牛乳を2杯もサービスしてくれた。
北海道Tour20#2 2020/8/7(金)民宿地平線の根釧台地ベスト202km 北海道標津郡中標津町開陽 開陽台にて 南側展望 #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA
北海道Tour20#2 2020/8/7(金)民宿地平線の根釧台地ベスト202km 北海道標津郡中標津町開陽 開陽台にて 東側展望 #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA
展望台へ登ると、空の雲はやや増え始めていて陽差しが隠れているためか根釧台地全体が薄暗く、それなのに空が明るく眩しく、地平線の防風林や北方領土、遠くまで視界がクリアだ。
北海道Tour20#2 2020/8/7(金)民宿地平線の根釧台地ベスト202km 北海道標津郡中標津町開陽 開陽台にて 北側展望 #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA
北海道Tour20#2 2020/8/7(金)民宿地平線の根釧台地ベスト202km 北海道標津郡中標津町開陽 開陽台にて 西側展望 #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA
これはこれで今日の根釧台地、上々のご褒美である。
北海道Tour20#2 2020/8/7(金)民宿地平線の根釧台地ベスト202km 北海道標津郡中標津町開陽 開陽台にて #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA
16:50、開陽台発、民宿地平線は17:05着。
北海道Tour20#2 2020/8/7(金)民宿地平線の根釧台地ベスト202km 北海道標津郡中標津町開陽 開陽台出口下にて #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA
距離はメーター読みで203km、GPSトラックで198km。案の上、泉川でちょっと内側を通ったからだろうな。しかしそんなことどうでもいい。楽しかった、それしかない今年の根釧台地202kmコースだった。
早速町営温泉へ連れてっていただいた後、目出度く夕食となった。
明日の天気は今日午後に引き続き午前中晴れで、16時以降は中標津も標茶も弟子屈も雨だ。明日の宿鱒やのチェックインは15時以降だから、まあいつものパターンで、15時頃到着を見込んだ緩めの根釧台地コースにしておくことになるのだろう。
記 2020/10/26
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