北海道Tour20#2-2 2020/8/7(金)
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道端の風景にはどこも見覚えがある。しかし記憶の風景は、やはり青空とともある。今日は雲が低く、どこまで行っても未だに雨は止まない。のみならず、時々雨粒は大きくなったりしていた。
標識の地名が中春別から別海に変わった辺りから、風が目に見えて明らかに生ぬるくなり始めた。
やがて道は向きを頻繁に変え始め、やや大きな波の起伏を越えてゆくようになった。周りの風景はすっかり牧草地まっただ中で、時々森を挟みつつも道端の牧場農家も目立つ。
森が多かった標津辺りに比べると、こういう構成が別海平地の特徴だなと毎回思わせられる。
その頃から風向きが追い風から向かい風に変わり始めた。やはりオホーツク高気圧と台風崩れの温帯低気圧がぶつかっていて、この辺りは直接のぶつかりから弾かれた風が吹いているのかもしれない、などと妄想する。
もう2時間以上も南下を続けていて、いい加減そろそろ次のエリアが待ち遠しかった。7:50、内陸方面に向かい始めたコースがやっと、しかし唐突に道道8に突き当たった。
道道8をクランク状に経由して、次は新酪農免農道へ。中標津・標津・別海のオホーツク海沿岸低地から、中標津と厚床を結ぶ道道8の西、つまり別海内陸側の丘陵に入ったのである。この段階で距離は53km。
道道8から新酪農免農道へ入った途端、急に雨粒が大きくなった。というより雨が強くなってきた、かもしれない。ただ空は意外に明るいようにも見え、あまり深刻に強まるような気配が感じられないのも相変わらずである。向かい風はいよいよ強くなっていた。木々が風に煽られている程である。でもこの風向きだと、この先道道813で奥別寒辺牛から折り返すときの北上方向で追い風に変わるだろう。それまで我慢だ。
牧草地の丘から丘へ、大きな波を乗りこえて新酪農道は続いてゆく。これまでに比べて地形の彫りが深くなり、一直線の道の先に谷と登り返しがよく見通せる。農道だけあって、幹線道の道道8や1本西側の道道123より波が大きく頻繁である。一直線の道の波は視覚的な圧縮が利いてうんざりさせられるものの、実際にそこまで行ってみると、登り量も斜度も見た目より厳しくない。実際にはある程度勢いで登ることができるし、登り切ってまた向こうに現れた次の坂に進めばいい、というだけの話だ。
北海道Tour20#2 2020/8/7(金)民宿地平線の根釧台地ベスト202km 北海道野付郡別海町別海にて #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA |
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そういう丘の一つに、新酪展望台という鉄骨の展望台がある。だいぶ前には、ベニヤにペンキで描かれた、とても可愛らしい牛のキャラクター、Momoちゃんが立っていた。今はもうベニヤが風化し、別の看板に変わっている。しかしMomoちゃんはいつの間にか、生協のこんせんブランド乳製品に起用され、忙しい日々を送っているのだ。私も去年東京で再会することができた(最近他人の空似と判明)。
道は南向きの丘と谷の横断から、西向きに変わって丘の上に続くようになった。
頻繁な登り下りが影を潜めた代わりにというか、雨は更に強まった。もう少しの我慢どころか、いつの間にか普通に雨天サイクリングになってしまっているように思えた。
南西の向かい風にもみくちゃ状態で弄ばれ、押し戻されたり流されたりふらふらと進むうち、行く手の森に鉄塔が現れ、続いて小中学校の建物も見え始めた。8:40、雨の中をやっと上風連に到着である。
風で難儀していたにも関わらず、時刻で言えば過去最早の上風連到着だ。この時点で70km、全体の1/3が終了したことになる。上春別引き返しどころか、幸先のいいコース前半終了だ。でもこの強風、今後このペースが続けられる気がしない。油断せず挫けず、着々と脚を進めてゆかねば。
とりあえず上風連には自販機が2箇所もある。このコースで数少ない商店もある。しかしボトルの水はまだまだ一杯あるし、食糧も今のところ全く不自由はしていない。
A-COOPのシャッターは閉まっている。軒下が何だか寂れて人気が全く無い。ここも遂に閉店か、などと思いつつ雨宿りに集会所へ。朝から掃除をしているおばさん(とは言え私より若い)が「どうぞ入ってお休み下さい」などと声を掛けて下さるものの、あまりゆっくりする余裕は無く、おにぎりとクロワッサンを腹に詰め込んで出発するだけだ。それよりA-COOPの現状につい尋ねてみると、営業を続けているとのこと。ひと安心した。営業開始が9時だから、8:50にならないと開かないらしい。そういう8:50のA-COOP開店を、確か以前見かけたように思う。今日はその時刻に上風連を出発できるのが有り難い。
記 2020/10/26
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