紀伊半島Tour18#4
2018/4/30 小口→近露-1

小口→畦畑
(以下#4-2) →足郷トンネル→松根
(以下#4-3) →小屋野→平井
(以下#4-4) →古座川町・田辺市境
(以下#4-5) →木守→合川
(以下#4-6) →平瀬→近露
105km RIDE WITH GPS

切り立つ岸壁の和田川渓谷 RICOH GR GR18.3mm1:2.8

 天気予報は1日曇り。夜が明けても周囲の山や谷間に霧が掛かっていて、空は薄暗い。雨が降るということは無いようだし、明後 日はまた晴れだ。この季節で5日間雨が降らないのは快調と言っていい。天気の中期的展開に不安は無い。しかし今この場所では、明るくなってきても近くの山裾にはまだ霧が掛かっている。曇りは曇りでも、晴れに近い薄曇りという訳でもなさそうな気もする。
 今日は和田川松根スーパー林道こと県道229、その後は国道371の北側未開通区間林道木守平井線、同じく国道371の山間に残っている未済区間18kmを経由し、合川ダムから中辺路の近露へ。国道371の18km以外は、全て過去に訪問した既済区間ではある。
 もう一つ候補として検討したのは、和田川松根スーパー林道まで同じで、国道371は南へ。宮の平から紀伊半島南部山中、県道224・39、コカシ峠、県道36・38・県道225と山の中を経由して日置川沿いに合川ダムへ、後は前のパターンと同じ。こちらには未済経路は全く無い。どちらにも含まれる和田川松根スーパー林道の優先順位は、私の中で非常に高いということになる。次に行きたいのは、林道木守平井線。黙ってそちらに向かえばいいだけなのだが、山間の天気がやや心配だった。まあしかし、何を深く考えてみても、実際には現地で行けるか行けないかを判断する、それだけだろう。

 

 自転車に荷物を積んでから朝食へ。「新宮市小口自然の家」は熊野古道を徒歩で訪れるお客さんが多いため、6:00から朝食可能なのが大変有り難い。外人さん、中高年団体の方々など、ほとんどのお客さんが6時から既に出動態勢の格好で朝食に望んでいる。大変活気のある宿だ。
 朝食中、宿の管理人さんから、「自衛隊が造った道は畦畑を通る」ということを教えていただいた。畦畑というのは和田川松根スーパー林道途中の集落であり、それならその道こそ和田川松根スーパー林道で間違い無い。いい予備知識を教えていただくことができた。
 お弁当は「ようきてくれたの〜」の文字と写真入りパッケージが微笑ましい。おにぎりは大型が3つ、アルミ泊入りの薬味も付いている。熊野古道徒歩訪問仕様なのでボリュームたっぷり、もちろん大変美味しく、自転車ツーリストにも有り難い。

 外へ出ると、さすがにもう霧は晴れていた。しかし雲は相変わらず空を覆っていて、あまり爽やかに晴れているという感じではない。8時ぐらいから明るくなってくるパターンを期待しつつ、7:05、「新宮市小口自然の家」発。

露骨に元小学校の小口自然の家 RICOH GRU GR18.3mm1:2.8

 小口の集落を旧道らしき道でぐるっと回り、自然の家の裏手から県道229へ。

小口自然の家から畦畑経由で足郷トンネルへ 赤は本日の経路

 自然の家を過ぎるとキャンプ場が登場。そうそう、初回の2002年は行程詰め込みすぎの結果、小口到着が18時で、キャンプ場がやっと現れて凄く安心したんだっけ。

 岩山が切り立って狭く深い和田川の渓谷は、10km以上にわたり殆ど高度を上げずに、ひたすら細かく曲がりくねって山間の奥へ続く。

まずは和田川渓谷へ RICOH GRU GR18.3mm1:2.8

 石ころの一見平和そうな川原には時々大きな岩がごろごろ転がっている。今は静かでも、一旦荒れると手が付けられなさそうな渓谷を想像させられる。

紀伊半島Tour18#4 2018/4/30(月)小口→近露 県道229和田川松根スーパー林道 小口→畦畑 和田川渓谷1 #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA
屈曲する谷底の和田川  RICOH GRU GR18.3mm1:2.8 パノラマ合成

 谷底がいつまでも高度を上げないのに、道だけはひたすら20m前後登ったり下ったりしつつ、律儀にくねくね岩肌に貼り付いて続く。

紀伊半島Tour18#4 2018/4/30(月)小口→近露 県道229和田川松根スーパー林道 小口→畦畑 和田川渓谷2 #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA
 

 細かく鋭い岩が絶えず散らばっているやや荒れ気味の細道には、路肩が渓谷に落ち込んでいるのに、ガードレールがある場所は極めて少ない。

岸壁迫る谷底の道 RICOH GRU GR18.3mm1:2.8

 転落するのが怖いので、例によって速度を下げて慎重に進んでゆく。

畦畑から和田川松根スーパー林道経由で足郷トンネルへ 赤は本日の経路

 谷の奥では短いトンネルが断続し始めた。道幅なりにトンネル断面はかなり小さく、その多くが素掘りっぽいコンクリート吹付補強である。

山肌が切り立つ谷底  RICOH GRU GR18.3mm1:2.8 パノラマ合成

 こういうのは今回山奥系細道で毎度の風景なのだが、今日は特に岩の露出度と山の切り立ち度と広葉樹の密林などに、山深い表情が際立っている。まるで水墨画のような風景だ。或いはインディ・ジョーンズか何かの映画にでもに出てきそうでもある。

紀伊半島Tour18#4 2018/4/30(月)小口→近露 県道229和田川松根スーパー林道 小口→畦畑 和田川渓谷3 #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA

 こんなに山深い表情の道だったかな等と思うものの、前回も岩肌の上から細かい落石が落ちてくるのに驚きながらそろそろと通ったことを思い出した。

岩に睨まれている気になってくる RICOH GRU GR18.3mm1:2.8

 過去2回の訪問ではこの風景を、小口で別れてもう少し南を通る、県道44の雰囲気と似ていると思っていた。しかし今改めてこの道を眺めると、県道44の小口川に比べてこちらは谷間が曲がりくねって、岸壁の岩山が切り立っている。切り立ちすぎて木が生えずに岩が露出していることが、風景全体の特徴になっている程だ。山は険しいのに、谷底の幅は意外にもこちらの方が広い。道の位置が川から少し高く、切り立った岸壁に貼り付いて微妙に登ったり下ったりしているため、渓谷空間の大きさ、深さがより際だって感じられる。

アップダウンが絶えない RICOH GRU GR18.3mm1:2.8

 また、県道44は比較的すぐ登りが始まり、登り途中に鎌塚の集落が現れたり、一度下って隠里みたいな滝本の集落を経由し、登り返した先の小麦にまた民家がある。こちらは足郷トンネルを峠とする登り下りにおいて、向こう側の松根までの間民家があるのは畝里だけ。そこに人が住んでいるかどうかわからない。
 考える程、県道44と県道229は、似ているどころか全く異なる個性を持った道なのだった。似ているのは山深いということ、鬱蒼とした広葉樹林と透明度の高い青みがかった川面ぐらいのものだ。あと、猿の多さも似ているかもしれない。

紀伊半島Tour18#4 2018/4/30(月)小口→近露 県道229和田川松根スーパー林道 小口→畦畑 和田川渓谷4 #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA
 

 あちらは確か5度目で、こちらは3度目。過去2回の訪問は、予定詰め込み気味のやや慌ただしい行程だった。今回は朝一で全体の距離が抑え気味、この道を楽しむ時間と気持ちの余裕がある。そう考えると、遅さ故に余裕を持たざるを得ない私の旅もそう悪くないのではないか。もしかすると、これが50台のツーリングというものかもしれない。

 雲の隙間から日差しが辺りを照らし始めた。このまま更に日差しが出て、薄曇りぐらいで推移してくれると有り難い。

 9:25、畦畑通過。空き家のような木こり小屋のような家屋が森の中に建っていて、地形図ではその辺りに畦畑と書いてある。かつてはもっと人が住んでいたのかもしれない。

 森の中を少し先へ進むと、林道ホイホイ坂線への分岐がある。空間的に多少開けているこの場所の方が道標としては覚えやすいので、いつもこちらを場所の目安にしている。

  これがっ!林道ホイホイ坂線だっ!一体誰に向けた看板なのか、さすが人気(笑)の林道

 「林道ホイホイ坂線」とは大変魅力的な道の名前だと以前から思っていて、いつか林道ホイホイ坂線を訪れる自分を想像することもある(「行きたい」ということではない)。林道ホイホイ坂線の向こう側始点は大塔林道であり、曲がりくねった谷間の、山の低いところをひょいと乗り越えるショートカット山道にホイホイ坂という名前が付いている。林道ホイホイ坂線の出口がホイホイ坂の近くなので、林道の名前がそうなったようだ。だからホイホイ坂そのものに興味があるなら、むしろ大塔林道からその道を徒歩か担ぎで越えるのが手っ取り早いと思われる(現状がどうなのかは不明)。
 林道ホイホイ坂線そのものは、ダートが15km最高標高800m(つまり最低限600m登る必要がある)と手応えたっぷりすぎる。しかもこちら側の入口には、あまり穏当そうではない鬱蒼とした雰囲気がぷんぷん漂っている。というわけで、この山間の道に実際に訪れる機会は、多分私には来ないかもしれない。

記 2018/6/9

#4-2へ進む    #3-6へ戻る    紀伊半島Tour18 indexへ    自転車ツーリングの記録へ    Topへ

Last Update 2020/3/16
ご意見などございましたら、E-Mailにてお寄せ下さい。
Copyright(c) 2002-18 Daisuke Takachi All rights reserved.