紀伊半島Tour18#2
2018/4/28 上池原→湯ノ又-6

引牛越から三ツ又沢出合経由で湯ノ又へ 赤は本日の経路

上池原→寺垣内 (以上#2-1)
→白谷トンネル (以上#2-2)
→小川 (以上#2-3)
→滝→蕨尾 (以上#2-4)
→牛廻越
(以上#2-5)
→三ツ又沢出合→湯ノ又 97km RIDE WITH GPS

谷間が広くて山は緩やかな丹生川の谷 RICOH GRU GR18.3mm1:2.8

 峠の龍神村側を下り始めると、意外にすぐ丹生川の渓谷に降りてしまう。裏を返せば、高い場所まで谷底が高度を上げているということだろう。

 相細い道幅、荒れ気味の路面は相変わらずなので、こちらもあまり調子に乗らず、速度を抑え気味にそろそろ下ってゆく。というより今までゆっくりのんびりなので、下りもあまり急がなずのんびり下りたくなっているのだ。

和歌山県境登場 というよりここまで奈良県であることにびっくり RICOH GRU GR18.3mm1:2.8

 ほぼ空き家数軒だけが残る河俣を通過した後で、おもむろに和歌山県田辺市の看板が登場。そうそう、引牛越は峠が県境ではなく、ここまで奈良県吉野郡十津川村なのだった。改めて十津川村がここまで続くという、凄まじいまでの十津川村の広さに驚かされる。東西だけじゃなくて、南北にも十津川村は大きいのだ、確か。さすが日本一の面積の村である。そういえば和歌山県南部も、何処へ行っても田辺市と新宮市ばかりになった。今は田辺市のここは、以前は龍神村だったな。

 RICOH GRU GR18.3mm1:2.8
 RICOH GRU GR18.3mm1:2.8

 丹生川沿いには緩い下りだけが淡々と続き、あまりアップダウンは無い。自転車が脚を進めるのに、こういう断面形状の道は大変効率が良い。

表情穏やかな丹生川 RICOH GRU GR18.3mm1:2.8

 道幅、路面、細かいカーブに岩肌に森、極小の交通量。道そのものは終始ここまでと全く変わらない。

 午後になっても相変わらず空は晴れまくっていたが、15時を過ぎるとさすがに谷間が翳り、ひんやりした心地よさを感じられるようになってきた。

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道も穏当に続く RICOH GRU GR18.3mm1:2.8

 下りに身を任せている分、ひたすら風と緑の湿気、そして壬生川の瀬音にカジカや鳥の声が感じられる。

道沿いには集落が続く RICOH GRU GR18.3mm1:2.8

 十津川側より谷間の深さ自体は浅いのだが、加庄口、友、東平、加財、峰、森と森の狭間に小集落の間隔がやや短い。全体として谷間の営みが感じられ、それが景色の変化となり、時間の経過をより早く感じさせてくれていた。

日差しが赤くなってきた RICOH GRU GR18.3mm1:2.8
 
紀伊半島Tour18#2 2018/4/28 上池原→湯ノ又 三ツ又出会 #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA

 16:05、三ツ又沢出合着。何だか雰囲気たっぷりの細い橋が現れた。その向こうで、こちらよりやや幅の広い道が分岐している。ここは龍神温泉への、鋭角三角形の短辺のようなショートカット道の分岐だ。実はその手前から「龍神温泉」の標識が出ていたので、通過してしまいそうな分岐を見落とさずに済んだ。
 ショートカットのこちらは龍神温泉まで12km、登りは標高差200m程度で三ツ又林道は未済経路だ。このまま県道735を終点の龍神村西まで下ると、距離は20km以上、国道371の拡幅済み新道をまた100m以上登り返す必要があり、更に全部既済経路である。全く問題無く、ショートカットの三ツ又林道へ向かうことにした。

加庄口から三ツ又沢出合経由で湯ノ又へ 赤は本日の経路
 

 三ツ又沢はかなり狭い谷間だ。まるっきり森の中だったり、岩が切り立って渓谷らしかったり、景色はそこそこ変化があるものの、屈曲して狭い谷間空間はやや閉鎖的な印象が勝つ。

 斜度は標高差200m未満ぐらいの途中まで淡々、後半の古溝手前から緩くなる。

 最後までずっとこれだといいのにと思っていると、古溝から三ツ又トンネルまでのラスト30mは10%を軽く超える、この時間にややしんどい激坂だった。まあ、こんな坂今日は珍しくもないし、地図で何となく覚悟はしていたし。

 三ツ又トンネルからの下りでは谷間の風景に迫力があり、下るとともに山深くなるような気すらした。

 少しどきどきしつつ、しかしやはり順当に地図で読めた距離感覚位の場所で、唐突に五百瀬の集落が登場。

いよいよ日高川の谷間に降りてきた RICOH GRU GR18.3mm1:2.8
 

 渓谷を越える国道371の橋も見えた。もう宿まであと数kmも無い。

 時間があるので、曲がりくねった渓谷を湯ノ又トンネルの新道で通過してゆく国道371を少し離れ、大きく曲がりくねる日高川沿いの旧道へ脚を向けてみた。

 旧道は渓谷沿いへ進んでゆく。舗装面にやや草生す箇所が見られるものの、そんなことは今日通ってきたような細道と全く同じ、今更何の問題でもない。

旧道沿いののんびりした風景 RICOH GRU GR18.3mm1:2.8

 曲がりくねる谷間の先っぽで集落が登場、渓谷の細道は集落の生活道へと表情を変えた。小学校の脇から小橋、萬屋、民家の軒先へ。こんな細道で人の営みに出会えるのが嬉しくて、宿到着間近なのについ自販機休憩をする。鮎友釣りの看板が掛かった萬屋の軒下では、おばさんがおじさんを散髪していた。

萬屋の脇で休憩 RICOH GRU GR18.3mm1:2.8

 もう風景全体が赤くなり始めている。夕方こんな状況で宿まであと60kmだとつらいのだが、今日はもうあと2kmぐらいのはず。

池峰から十津川温泉経由で湯ノ又へ 赤は本日の経路
 

 湯ノ又で国道371から分岐、岩の切り通しに面した狭い旧道へ。16:55、湯ノ又「民宿龍神」着。

 宿の存在自体は2002年の計画時点で知っていたし、国道371の新道を何度か通る度、日高川の対岸に写真通りの佇まいを確認していた。旧道沿いの宿に自転車を停めて荷物を降ろしていると、元気そうな少年、続いてそのお姉さんっぽい少女が飛び出てきた。二人とも日焼けで真っ黒な顔に目がくりくりきらきら、大変元気そうだ。野球のユニフォームを着ていて、「お客さんですか」「自転車なんですか」と話しかけてくれるのが嬉しい。

 

 民宿龍神は日高川の岸、崖地の斜面に建っている。1階は龍神街道旧道、階段で降りた地下1階は客間、地下2階はお風呂になっていて、国道371の鉄骨橋を渓谷とともに見上げる高さにある。特に客間とお風呂からは日高川の川原がとても近く、熊野川の瀬音と軽やかなカジカの声を間近に聞くことができる。
 まずは温泉へ。その後の夕食は大変盛りだくさん。猪鍋に鹿肉唐揚げ、他にも田辺のお刺身など、気さくな女将さんが説明してくれた。お米がまた美味しいものの、若い頃のように4杯も5杯も食べられないのが心苦しい。
 部屋に戻ってもまだ明るい。日高川では、カジカが夜中まで軽やかに鳴いていた。春のいい宵だ。何ともステキな宿である。でもすぐ寝てしまった。

記 2018/5/28

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Last Update 2020/3/16
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