紀伊半島Tour18#1
|
|
三瀬谷→宮川貯水池
|
|
名古屋8:05発の南紀1号で9:47、三瀬谷着。私以外に降りた乗客は、大きなリュックを背負った人が10人ぐらい、普通の格好の人が2〜3人。ハイカーの人々は大台ヶ原への登山客と思われる。大台ヶ原か。おれも行ったことはあるよ。行ったことだけは。
タクシー運ちゃんに水の場所やコンビニの場所を聞くが、あまり都合の良い回答は得られない。自販機のあるうちにおとなしく水を買っておく方が良さそうだ。
標高差550mの水呑峠に標高差540mの国道425八幡トンネル、坂本・池原貯水池経由で距離120km。夕食のタイミリミットは19時半頃、やはり18時〜18時半には着きたい。普通に走れば全く不安は無いボリュームだ。ただ、余裕があるという訳ではなく、ちょっとした目論見違いがそのまま全体の狂いに直結する。そして距離と標高差だけじゃないコースの見込み違いは、紀伊半島の細道で当たり前の話だ。わかっているので一応そういう前提で行程を考えてはいる。でも余裕が少ない、そのこと自体がやはりちょっとした緊張に繋がっていた。
コース上の制限とは別に、水呑峠には13年振りの因縁がある。2005年4月29日。紀伊半島Tour05の初日、松阪から三瀬谷まで来ていながら、三瀬谷で撤退させられたのだ。この水呑峠を含む大杉谷全ての山が、前年の台風で入山禁止になっていたためだった。その後13年間、水呑峠の通行止めは1度も解除されなかった。時々水呑峠のその後をぐぐってはいたものの、調べて出てくるのは松阪土木事務所の通行止め情報と、途中で撤退したという訪問の記録ばかり。もともと通行が多いとは思えない道でもあり、てっきりこのまま廃道になると思っていた。
それが昨年末、この道は突如(としか言いようが無い)開通していた。今回私がそれを知ったのは4月上旬。この時点で、今年のGWツーリングは紀伊半島に決まったのだ。だから標高差550mとはいえ、水呑峠に問題無く向かえるというだけで、少々緊張していたのだ。
10:15、三瀬谷発。天気は晴れ時々曇り程度。紀勢本線北側、旧市街というか民家の間の、旧道というか普通っぽい細道を少し経由して県道31へ。
広めの川幅にたぷんたぷん、鮮やかな青緑の水面が特徴的な宮川とその谷間は、ゆったり大きく曲がりくねりつつ、瀬越えのような大したアップダウンも無く、比較的平坦なまま上流方面へ続く。切り立った山に囲まれて平地は狭いものの、全体的に谷間の空間にせせこましさは無く、大らかで開放的だ。集落は県道沿いやもう少し上の斜面、そして対岸にも点在しながら断続している。
今風に広めの道は、しばらくごく普通に対向1車線づつ。ところどころで道幅は多少狭くなってごく普通の県道っぽくなったり、更に狭くなって対面通行となった。拡幅工事が継続して少しづつ進行中ながら、あまり絶賛拡幅進行中という雰囲気でもない、緩めの県道である。
ルートラボのプロフィールマップでは、確か三瀬谷から宮川ダムの手前まで100mぐらいしか登らず、そこからダムまで一気に80mぐらい高度を上げ、ダム外周で平坦区間が続いてから最後に水呑峠へ向けて一気に登るということだった。今日の時間配分は、何しろまず宮川ダムの手前に辿り着いてからだという理解をしていた。このため、暑くもなく向かい風でもない、淡々と平坦な谷間の行程なのに、何となく気が急く気分になっていた。
県道13は江馬で道幅4〜5m程度に細くなり、民家の低い軒が道に迫って続く、旧街道然とした表情の道となった。途端に気持ちが落ちついてきた。うん、ツーリングの道はこうじゃないとね。
11:00、天ヶ瀬着。まずは最初の45分、希望想定通りだ。三瀬谷から上流側に11km。標高はほとんど上がっていないのに、雲が厚くなり始めていた。でも今すぐ何かが落ちてくるような気はしない。問題無いだろう。
天ヶ瀬からは立ち上がる山の斜面が急になり、渓谷全体が急に山深くなった。道幅は相変わらず狭くなったり広くなったりで、途切れがちの集落の中の方がむしろ狭い箇所が多い。
道路標識はいつの間にか、逆立ちおむすびの国道マークに変わっていた。地図を見ると、さっき天ヶ瀬で国道422が山中から合流していたのだ。そう言えば、なんかそんな分岐信号があったような気がする。道がぐっと田舎っぽく静かになったので、そちらに気を取られていた。
その国道422は、渓谷がいよいよ狭く山深い雰囲気を帯び始めた古ヶ野で、どこかの山中へ分岐していった。後で調べるとこの道も420番台細道国道ファミリーのメンバーのようだった。こちらの道は名前が県道53に変わり、宮川ダムまでの登り区間へ突入。
ぐっと道幅が狭くなって木々が路上に梢を伸ばし、森の中の道となる。確か宮川ダム外周は標高300m。とりあえず登りは80mだったはず。
11:50、宮川ダム着。想定ペースには乗れたままだ。このまま行程を順調に進めていきたい。
記 2018/5/20