紋穂内→咲来→咲来峠
(以上#7-1)
→歌登→小頓別→敏音知
(以上#7-2)
→上駒→知駒峠
(以上#7-3)
→中問寒→上問寒
(以上#7-4)
→南幌延→幌延
(以上#7-5)
→オトンルイ→天塩
169km
RIDE WITH GPS
15:20、幌延発。
この時間にして、もう天塩まで30kmも無い。ちょっと楽をしすぎかなと思ったが、それは間違いだった。
今回の北海道で初めての、そしてかなり強烈な晴天の下、夕方の風に揺れるサロベツ原野の草原まっただ中でしばしば脚が停まり、写真を撮ると更に時間が経ち、時間の経過に対して全く進まない行程となってしまったのだ。
日差しは赤くなり始めたものの、澄んだ空から照りつけていて、焼き付けられそうな程に強い。日差しに照りつけられた草の緑は、どちらを向いても鮮やかに輝いていた。空の色も鮮やかで、影は長くなり始め、山影が青く濃く変わり始めていた。
いつの間にか北東方面には、草原の向こうに利尻山が大きく現れていた。思えば利尻とサロベツ原野のため(だけじゃないが)に、道北まで2kg近くある望遠レンズを持ってきたのだ。
開陽台では夢破れた気になったものの、旅程も7日目にしてようやく思いが遂げられたという気になった。
まだ日本海沿岸に達していないのに、この時点で既に、天塩到着はあまり遅くならないようにしよう、という気になってきた。それでも風は強い追い風気味で、走っている間は結構快調だった。
オトンルイでいよいよ日本海海岸、ますます景色が開ける道道106へ。
日本海の海岸に続く1本道が有名な道道106。そしてオトンルイから天塩には、道道106沿いに風力発電の巨大な風車が3.1kmに渡り28基も並ぶオトンルイ風力発電所がある。
視界の彼方へ一直線に続く道と陸地の緑、風車と羽幌方面の山々の淡いシルエット、眩しい日差しに濃紺の日本海。陸地側の柵や電線の具合を見ながら景色がすっきり通る場所で脚を停め、海側の茂みが低くなって日本海と利尻が見える所でまた脚を停めた。道の方向が変わって、風は向かい風気味の横風でややしんどい。でもそれも脚を停めて景色を眺める口実にした。
もうあと20km程度で天塩の宿。オトンルイ発電所の南端から天塩手前の天塩大橋はすぐだったはず。
夕方の天塩川は何日か続いた雨のせいか、満水でたぷんたぷん。天塩大橋の真上でまた脚が停まる。
天塩市街まではすぐだと思っていたら、意外に距離があった。そして市街北側のやや小さいセイコーマートをあてにしていたら、何と空き家になっていた。でも、天塩にセイコーマートは少なくとももう1軒あることは知っていた。確か今日の宿の近くだったはず。
もうすっかり薄暗くなり始めた町を過ぎ、2009年に泊まった西澤旅館の前を過ぎ、今日の宿「天塩温泉夕映」が建つ市街南側へ。スマホで調べると、セイコーマートは国道232沿いだった。日本海沿岸には、天塩から北へ、稚内まで道道106が続き、天塩から南は留萌まで国道232となっている。道道106も国道232も地図上は日本海沿岸に一続きなのだが、やはり国道232は幅が広くなるのを始め、道路を構成する全ても路上の往来も、何かと物々しく、道の雰囲気が明らかにがらっと変わることが、国道232に移って50mも走らないうちによくわかる。やはり国道は基本的に通りたくないと思う。1990年代前半ぐらいまでは、まだまだ国道でものんびりした道が多かったように思う。国道でも喜んで走っていた。そんな感傷に浸っているより、今は早く温泉で汗を流したい。
17:30、「天塩温泉夕映」着。
「天塩町民保養センター」と表示されている新しめの大きな温浴施設棟と、「林業研修センター」と表示されているやや古めの宿泊棟からなる宿泊施設だ。温浴施設棟にフロントがあり、受付の後は宿泊棟まで建物の中を少し歩くことになるのは、毎回この宿でややかったるさを感じさせる点だ。また、私の部屋は片側窓で換気があまりよくない構造で、窓を網戸に変えようとして、かなり大きめのマイマイガ♀が部屋内の窓枠に停まっていることに気が付いた。恐らく夜中まで暑くて、窓を開けっぱなしにしたお客さんがいたのだろう。或いはやや建て付けが悪く隙間がある網戸から潜り込んだのかもしれない。他に吸血昆虫は入ってはいないようではあったものの、到着早々やや閉口した。
しかし、その窓の外、建物裏手間近には日本海が拡がっている。しかも時刻は夕方。刻一刻夕陽が沈み、水平線のオレンジ色が濃くなってゆく。この眺めで、全ては帳消しだ。
こんなもの、狙って訪れれば眺められるというものではない。更に夕食はやはり日本海側に面した食堂で、オレンジ色から次第に藍色、暗闇へ変わってゆく空を眺めながら食べることができた。
明日も天塩〜サロベツは晴れらしい。一方、オホーツク側は一転して終日曇りの予報だ。これだけ日本海側が晴れて気温が上がっているのだから、あまり極端な低温にはならないとも思うが、いやいやいや道北も最北部、雪以外ならどんな天気でもおかしくない。
日本海側が晴れでオホーツク海が曇りなら、どこかにその境があるのだろう。それは宗谷丘陵から小石峠、浜頓別・豊富町界へ続く稜線ではないかと思われる。ならば明日は、北上して宗谷湾まで出てオホーツク海側へ折り返すコースから、どちらかと言えば午前中日本海側での行動に重点を置いたコースに切り替える方がいいのかもしれない。ということはほぼ自動的に、サロベツ原野や内陸の道道121周辺での、未済経路裏道潰しコースということになる。
まあまた写真でも撮ればいいのかもしれない。とにかく1日行動できて、夕方に満足していればそれでいいのである。旅なのだから。
記 2017/12/6
#8へ進む #7-5へ戻る 北海道Tour17夏 indexへ 北海道Tour indexへ 自転車ツーリングの記録へ Topへ