弟子屈→(国道243号)虹別
→(道道885・505・150・975号)北標津
→(国道244号)斜里
→(国道334号)宇登呂
→(道道93号)岩尾別
160km

岩尾別

宇登呂

越川

峰浜

斜里

根北峠

北標津

開陽

北進

養老牛

虹別

弟子屈

北海道Tour00 #5
2000.8/14 弟子屈→岩尾別


 今日も朝から空は晴れ渡っている。
 8:30、弟子屈の町外れの台地に建つ、とほ宿「鱒や」を出発。弟子屈の町へ下る途中のセイコーマートで早くも補給する。今日はこの先、斜里までまともな補給ポイントが無い。
 国道が合流する地点の少し先のセイコーマートには、次から次へと車がやってくる。客はみんなキャンプの客みたいで、食料やらビールをやたらと買い込んでいた。客がやたら多いのと、1人の買い込み量が多いので、レジの順番が回ってくるのに10分くらいかかってしまった。

 河岸段丘の谷にある弟子屈をかすめて、国道243は反対側の段丘に駆け上がる。しばらく登りが続き高度が上がると、丘の上にひろがる牧草地や西別岳が見えるようになった。緑の牧草地の丘に一直線に植えられた背の高いカラマツの防風林は、まさしく道東のこのエリア特有の風景だ。また道東にやってきたのだ、と胸が熱くなる。

 弟子屈郊外から続く牧草地から標茶町との境の丘に登り、カラマツの森林を経て虹別までの最高地点を過ぎると、丘の東端に到着する。ここからは前方に標茶町・中標津町・別海町の牧草地帯・カラマツの防風林が地平線まで拡がっているのを眺めることができる。このエリアに入る時も出る時も、最高に気分の盛り上がるこの場所を通るのが好きだ。目の前の緑の大平原へ、一直線に続く道路の行く手に、これから向かう開陽方面の道道が分岐しているのが見える。
 思えば、何度も今までここを通ってはいるが、今日のように晴れているのは2・3回しかなかったはずだ。

 当然、分岐では道道方面へ進む。
 向かって左側の山の麓、根釧台地の一番山寄りに、ほぼ等高線に合わせて区切られたグリッドの方向に、道路は延々と進んで行く。等高線を丸めているので、基本的に時々小さなアップダウンはあるが、ほぼ全体的には標茶町・中標津町から標津町へ向かって標高を下げてゆく。
 町道・農道・道道で仕切られた、青みの強い草色に輝く牧草地には、道に沿って、あるいはグリッドの区画一杯に、カラマツの背の高い防風林が一直線に空にエッジを切っている。所々、わずかにピークになる部分では、裾野の下方面へ伸びる牧草地や、カラマツの森の重なる風景が、地平線へ消えて行くのを望むことができる場所もある。
 一昨年去年も通った、開陽を経由して東へ一直線に向かうこの道路の風景を、自分はつくづく好きなのだと思う。86年の初めての北海道自転車ツーリングの時から最初の頃は、ルートが取りやすいのでここを走っていたのだが、ここ数年はこの道路の風景が目的でここへ来るような計画を立てている。この風景の中を走ると、強力に道東を、いや、北海道を、北海道へ来れた喜びを感じるのだ。

 一直線の道道は、時々カーブして、または農道のグリッドに沿って少しずつ南へ位置を変える。養老牛・開陽・上武佐と通過し、13:10、斜里への国道244号に合流。次は根北峠で斜里を目指す。90年に通って以来の道だ。
 海は見えないが、かなり海岸に近い場所まで来ており、国道の両脇の木々がカラマツからダケカンバなどの低めのごつごつした広葉樹林に変わっていた。道が直線で均等な勾配なので坂であることがわかりにくい、という程度の緩やかな登りをゆっくりと進む。
 濃い青空には太陽がぎらぎら激しい勢いで照りつけている。思えば武佐では何となく水を補給し忘れた。気持ち的に一杯一杯になり、そろそろ自分の感覚が薄れてきているようだった。
 いけない。先の方に見えた牧場農家で、水を補給させていただいた。結局それは峠まで最後の農家だった。

 なだらかに海岸部に向かって拡がる裾野から、峠へ続く谷間に入っても、登ってからちょっと下ったりのアップダウンが多い。それでも少しずつ標高は上がっているようで、やがて周囲の山腹が横に眺められるようになってきた。
 2年前に通った知床峠の1本西側のこの峠道は、スケールは小さいものの山腹の森の雰囲気などはなんと無く知床峠に似ている。樹海も見えた。

 14:20、峠を通過。450mくらいの決して高くない峠だが、斜里までは延々と25km以上も下りが続く。例によって山腹のトラバースから谷間の森の道になり、麓の農村部へと、次第に周囲は変わっていった。農村部分では周囲はテンサイ・ジャガイモなどの畑が多く、すっきりと立ち上がる斜里岳のシルエットとそのなだらかな裾野の風景、ちょっと薄い色の空とともに、斜里へ降りてきたことが実感された。斜里岳の裾野には、例によって見渡す限りの農地に、カラマツのグリッドが遠くの樹海へと続いていた。
 概略毎日こんな風景だが、一向に飽きることがない。
 越川の、頭上で切れるコンクリートアーチ橋、国鉄根北線の遺構は相変わらず残っていた。足下には鎖の柵が整備されており、自治体としても保存するつもりなのだろう。
 15:10、斜里着。ちょっと休憩を入れた。

 夕方だと言うのに、ウトロまで海沿いの国道334号には、何故かひっきりなしに車が走っていた。せっかくの夕方の海岸線をもう少し落ち着いて走りたかったが、そういう気分になってやってくる人が多いのだろう。今までマイナーな道ばかり走っていたからか、すれ違うチャリダーも急に増えた。ソロチャリダーにはMTB(しかも前サス付)が多いが、学生サイクリング部だからか、グループ中にはランドナーも健在だった。

 18:15、岩尾別YH着。一昨年の断念以来、懸案の訪問だ。海岸の岸壁の谷間の、比較的小さなYHである。羅臼岳登山のベースキャンプにもなっているらしく、連泊して登山する、と言うのが決まりのパターンのようだった。一緒に登山に行ったらしい連泊客のグループ中で、何故か仕切り出す奴がいるのもいつものユースらしいと言えばそれらしい。
 ほぼ10日前、予約時に一杯だった明日の宿泊予約は、やはり直前でも不可能だった。明日以降の予定を組み直さねば。

 懸案の夜空は雲が多少出ており、星もあまり見ることができなかった。まあ、谷間には何故か妙に生暖かく強い風が吹いており、早々に建物へ退散した。

記 2000.8/15

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Last Update 2004.1/2
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