岩尾別→知床大橋
→(道道93号)宇登呂
→(国道334号)以久品
→(道道769号)斜里
→(国道334号)川上
→(道道1115・1034号)清里峠
→(道道150号)養老牛
→(道道505号)養老牛温泉
143km
養老牛温泉
清里峠
緑
清里
斜里
峰浜
宇登呂
知床大橋
岩尾別
北海道Tour00 #6
|
|
YHにしては珍しい洋食バイキング形式の朝食を、例によって速攻で詰め込む。YHの前に置いてあった、TOEIランドナーのオーナーが前に座っていたので、話をさせていただいた。今日は知床峠とのこと。頭上すぐの低い雲がちょっと心配だ。
せっかくなので、朝食後にこっそり自転車を見せていただいた。XT・STIレバー・三ツ星35Aのその茶色のランドナーには、世田谷「ツバサ」のステッカーが張ってあった。荷物はフロントバッグのみ。ああいう旅行スタイルも悪くないと思う。
8:10、サイドバッグをYHに置かせてもらって、岩尾別YH発。まず、1985年の2度目の北海道以来、15年振りの知床大橋へ向かう。
知床大橋まで16km。知床大橋の1km手前には、お湯が渓流になって流れていて、道路からそれを遡って温泉に入るという、「カムイワッカの滝」がある。知床5湖にしても滝にしても、なかなかの観光ポイントなのだが、道路に近い場所からカムイワッカのお湯に手を浸すくらいはやってみようかな、とも思ってはいた。
知床半島北岸の港町宇登呂から岩尾別までは、知床峠の峠道を1度少し登ってから海岸まで降りる。岩尾別から自然観察センターまでは再び200m強程登らなければならない。そこから知床大橋までは、海岸から立ち上がる山の急斜面に11kmダートが続く。
ダート区間では自然保護のためか夏期は通行規制が行われており、ダートの入口にはガードマンがいた。カムイワッカの滝へは自然観察センターからシャトルバスが出ており、多くの観光客はここでオートバイや自家用車からバスに乗り換えて滝へ向かうのだ。更に大橋まで1kmは交通機関が無いので、滝から徒歩で向かうことになる。
自家用車もいつものオートバイもいなくて、時々シャトルバスがやってくるダートは、標高200〜300mくらいの間で何回か大きな緩いアップダウン繰り返しながら、木立の区間や、大きく法面を削った開けた区間、砂利の少ない締まった路面や多少砂利が多めの区間が入れ替わり現れる。ダートとしてはかなり走りやすい部類の道だろう。
海への展望が開けた小さな尾根を回り込むと、谷へ向かって道が下り始め、カムイワッカの滝が現れた。そのまま少し登って下り、9:20、知床大橋到着。小さな鉄骨トラス橋で、橋の上だけアスファルト舗装になっていた。小さな橋に狭い谷だが、欄干の下は100m位は軽くありそうな落差だ。恐怖を感じる。
橋を渡った先の通行禁止ゲートの向こうは、路盤と言うよりも広めの山道のような土が露出した道になっており、熊云々よりも「落石注意」の看板通り、すぐに岩が落ちてきそうだ。
バスの時間ごとに現れてすぐに消える多くの観光客が去ったところで、橋の上にあぐらをかき、YHで作ってもらった山菜おこわの弁当を食べた。知床の海を眺めていると、15年前に見た橋の上からの風景が思い出された。そういえば写真も撮っていたはずだった。
9:50、知床大橋発。やはり面倒臭くてカムイワッカの滝へは、寄れなかった。行きもそうだったが、帰路のダートでは、時間が下って本数も増えたバスの土埃に何度も悩まされた。が、真っ白な土煙のダートというのも、今となっては懐かしい。とぼとぼと山間のダートを逆戻りし、知床5湖からは車も増えて、どこまでも奥深い知床の大森林からようやくこの世に戻ってきた気持ちになる。
10:50、岩尾別YH着。
昨夜、岩尾別YHでの連泊が不可能になった時点でいろいろ今後を考えてみた。道東を去る前にもう1度中標津の牧草地とカラマツの中をどうしても走っておきたい。すると、確実に泊まれるのは、いつもの養老牛温泉の花山荘しかない。
中標津へ向かうには1昨年の知床峠(740m)・昨日通った根北峠(490m)・93年に逆から来たっきりの清里峠(434m)がある。まあどれを通っても構わなくて、時間と気分で決めようと思ってはいた。だが、午後から根室地方は雨という天気予報通り、知床の山々の200m位上の方はもうガスと雲に覆われていた。「男なら知床峠!」と言う声も聞こえるような気もするが、ここは通ったことのない逆方向からの清里峠に決めた。
11:00、岩尾別発。宇登呂で両親へ干物を、自宅へ道北対策の冬用レーパンを送り、小休止。
斜里まではかなり強い向かい風と斗いつつ昨日の道を逆走する。知床大橋から通ったばかりの道の逆走続きで、今一つ気分は盛り上がらない。
この道には本当にチャリダーが多い。前回は女性ソロチャリダーが多かったが、今回は学生らしき5人くらいのグループと何回もすれ違った。大体男女混合で走っている。サイクリング部の合宿かなんかなのだろうか。グループ走行はとても楽しそうだ。こっちも向こうも、自転車同士ですれ違うときは大喜びで挨拶を交わす。ベルを鳴らしたり手を振って声を上げたりの大サービスだ。
海岸から内陸へ少し登ると、斜里岳から続くなだらかな斜面にジャガイモ・テンサイ・トウキビ畑が拡がって、その中をまばらなカラマツが横切る、斜里特有の風景が再び現れた。14:15、斜里着。
休憩後、14:45、斜里を出発。強い向かい風の中を今度は清里方面への道道を進む。国道から道道へ入ったとたんに交通量が少なくなるのはいつも通りだ。見渡す限りの畑の中を、正面の山方面へと進む。正面の山々は、もともと低いのと、山と言うよりなだらかな丘のようにだらだらと続く斜面のために、山の盛り上がりがとても低く見える。その低い山の上の方は、すでに灰色の低い雲に覆われていた。
交通量が少ないにも関わらず、摩周湖方面から斜里方面へのメインルートのせいか、こっちにもチャリダー集団が多い。
気が付くといつの間にかだらだら坂は始まっていた。開けていた視界の広がりが、周囲の丘陵の盛り上がりに遮られるようになると、向かい風が弱まる替わりに気温が低くなってきた。Tシャツの上に防寒のウインドブレーカーを着て牧草地や畑、森の中を進む。
麓部分の最後の集落、緑を過ぎると、周囲はカラマツやヒマラヤスギ、原生林の広葉樹林などになった。が、坂は一向に急にならない。
結局、頂上まで延々と、ほとんど似たようなゆるゆるの登りが続いた。
路面が濡れたかと思うと、周囲があっという間に霧に包まれた。17:35、清里峠着。もう時間は遅かったが、峠でインスタントの塩ラーメンを作って食べた。今年から火器を装備に加えたのだが、全く素晴らしいと思った。
峠の頂上からは裏摩周展望台への道が延びている。93年にはダートだったはずのこの坂道は、広々とした舗装道路に変わっていた。霧の中、この時間なのに車やオートバイが時々登って行く。裏摩周展望台まで3km、標高差は100mちょっと。今こっちへ向かったら、宿は何時になるのだろうか、とシミュレーションを始めている自分に気づく。だめだだめだ、どうせ一面霧の中だ。
頂上付近のスノーシェッドを抜けると、霧は霧雨になっていた。下り方面は登り以上のだらだら坂で、頂上付近などではしばらくほとんど平坦な道が続いた。もう薄暗い青灰色の霧雨の中、下って少し平坦という繰り返しが、カラマツの大森林の中で延々と続いた。
93年に通ったときは、こんなにだらだらした坂という印象ではなかったのだがと、ちょっと意外。
だいぶ峠を下り、昨日も通った標茶・中標津の一直線道路に出る手前、新たな道道が始まっているのを見つけた。地図で見ると、養老牛温泉へ裏から抜ける道だ。途中には未舗装ダートもあるようだが、迷わず予定を変え、こっちへ進む。
夜が迫る夕闇の中で、未知のダートは意外な程長く感じられた。いくつかある分岐も心配の種で、すっかり路面が真っ暗になったちょうどその時、突然木々の中に養老牛温泉街の明かりが見えたときには本当にうれしかった。やはり危ない橋は渡るものではない。
19:00、花山荘着。少し疲れがたまっている。明日は湯治ではないが、ちょっと休息日にして、いつもの道道をゆっくり走りたい。
記 2000.8/16
#7に進む #5に戻る 北海道Tour00indexに戻る 北海道Tour indexに戻る Topに戻る
Last Update 2004.1/2