養老牛温泉→弟子屈
→望岳台
→阿寒湖畔
→足寄峠
→足寄
→上士幌 174.0km
虹別
養老牛温泉
弟子屈
阿寒湖
足寄峠
足寄
萩ヶ丘
起きた時は霧だったはずが、7時あたりから青空が所々見えるようになっていた。
7:20、養老牛温泉発。養老牛温泉から道道へ出るころには太陽が出ており、早速出発したばかりだが、ウインドブレーカーを脱いだ。
まだ牧草地の奥のカラマツの防雪林のむこうは霧がかかっている。太陽が出ているのでそういう風景をさわやかな気分で眺めることができる。
道東を出る前にやることがある。ジャズ・ギタリスト、パット・メセニーの「トラヴェルズ」をディスクマンで聴きながら道道を走った。ジャズといっても、この曲はカントリー風のバラッドで、演奏の雰囲気がこのあたりの風景に最高に合っていると自分では思っている。
牧場・牧草地の中を走り、国道243号線に合流する。合流してすぐ、弟子屈までのサミットがある。自転車を止め、振り向くと地平線が広がっている。
道東を出て、これから十勝へ向かうのだ。またいつか中標津来るぞ。
9:10、弟子屈着。セブンイレブンで食料を補給する。雨が今にも降り出しそうな濃い灰色の雲が頭上に被さっている。阿寒方面の空はなんとなく明るい。というよりも、明らかに太陽が当たっているような場所も見える。が、山には当然のように雲がかかっている。今ここで輪行すれば、列車とバスで今日の宿の上士幌には結構早い時間につくことができる。昨日の天気予報では、今日の午後は降水確率50%だった。ということは、かなりの確率で降るということだ。標高が高いと、更に雨の確率は高い。走るかやめるか?
ちょっと悩んだが、一かばちかでやはり走ることにした。9:40、弟子屈発。土砂降りに顔を歪めながら必死に坂を登る自分の姿が頭をよぎる。が、出発する。
阿寒湖畔まで弟子屈から40km以上ある。おまけに最高で800m位まで登るのだ。阿寒湖の水面が400mちょっと、反対側の足寄峠の頂上が600mちょっと。距離が長いため、登りも下りもだらだらしたものになる。弟子屈を出てちょっとして、向こうからやってきたチャリダーを大声で止めて(ごめんなさい)、阿寒が雨かどうか聞いてみたが、どうもくもりらしい。しかし、峠付近のガスは激しいものがあるとのこと。
いけるかもしれない。ちょっと安心して先を急ぐ。
道路は弟子屈郊外の原野から阿寒の裾野を走るようになり、周囲は森となる。坂はどんどん急になり、標高が上がってゆく。途中まではガスというよりむしろ晴れてきていたのだが、山の中で突然上のほうから白いガスが吹き出すように広がってきた。雄阿寒岳・雌阿寒岳が一望できる望岳台も、パンケトー(湖の名前です)・阿寒湖が一望できる望湖台も霧の中だった。霧の中、いつまでもだらだらした、時には急な坂が続く。こういう長距離のいやらしい坂はけっこうこたえる。
峠の頂上の望湖台付近から阿寒湖畔までの下りはかなり長いものだった。400m弱くらい下るので、ある意味それは当然のことなのだが。交通量は意外と多いが、山の中の森林まっただ中、雄大な山並みに広がってゆく大森林の風景は見事だ。意外と閉鎖的な風景で、マリモ一発で引っ張るにはちょっと無理も出てきたような阿寒湖よりも、むしろこちらの雄大な景色のほうが見物だと個人的には思う。
13:30、阿寒湖畔発。次は足寄峠超えだ。阿寒湖畔付近では晴れていたのに、ガスがまた立ち込める。だらだら8kmか10kmか登ってサミットに達すると、おもむろに下り始める。峠の頂上からだけでも足寄まで40km。ひたすらだらだらと下りである。山の中の樹海は、いつしか谷間の田園風景となっている。更に下ると谷がどんどん広がってゆく。道路脇で農産物や牛乳を売っている農家が多い。そのころにはもうガスも晴れ、時々太陽が顔を出すまでになっていた。具合よく追い風の下り道でスピードを上げる。しかし、ペース上げすぎによる疲労には注意しなければならない。
今日はとにかくチャリダーがいない。阿寒湖畔で数人見かけて以来、一人も見ていない。
16:30足寄着。セイコーマートを見つけ、駆け込む。
これから上士幌まで標高差200m以上、また登ることになる。
足寄、足寄湖、芽登と標高を上げながら走る。のみならず、足寄郊外で結構(200mくらいか)登ってまた降りる。この時間の登って下っては精神的につらい。足寄の郊外の坂を登りきって田園風景の中をしばらく走り、坂を降りるとやがて山間部の風景となり、足寄湖が現れる。「道の駅 足寄湖 手作りチーズ工場」なんてのがあるが、今日はそんなところに寄ってはいられない。もう17:30を過ぎていた。人造湖である足寄湖の両岸の山が次第に寄ってきて、水力発電所が見えるようになり、「川」一歩手前まで狭くなってきた湖面の上を国道は橋で渡って行く。風景は結構いい感じだが、何しろ急いでいる。もうすっかり山間部の風景だが、少し走ったところで谷が開けて、山間の町といった風情の芽登の町がある。時間的にも明るさも夕方だった。行く手の方向は何だかどんよりと曇っている。
芽登からだらだらした坂が続き、また標高を上げる。
木立の中の坂を登りきると、いきなり十勝平野の風景が目の前に広がっていた。
十勝の風景は、中標津周辺の牧草地の風景と酷似している。違いを挙げれば、防雪林が面的な物ではなく線状になっていること、土地の起伏がもう少し緩いこと、人工密度がこちらのほうがはるかに高い(それでも民家はまばらである)こと、そして遠くの山がより大きなことである。足寄も一応というか、エリア的には十勝なのだが、谷間の街のため、風景はもう少し小ぢんまりとしている。
谷の坂を登るといきなり十勝が出現するというのは、実は春に本別の少し南で体験している。これは多分このあたりの谷の特徴だろう。しかし、狭く閉鎖的な感じの直前の谷から風景がいきなり拡がるので、ちょっとびっくりする。
どんよりした雲が広がっていて、変に暗いが、北側・東側は雲が切れて薄いオレンジ色の空が見える。明日は晴れた空の下で思いっきり十勝を爆走したい。
18:30上士幌着。今日の宿は民宿「かぶとむし」だ。いきなり、通り雨が降り出した。逃げるように宿にたどり着いた。
記 1998.8/14
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Last Update 2003.2/4