紀伊半島Tour24#6
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地蔵峠の向こう側もやはり狭い谷間へ下ってゆき、谷底では渓谷沿いの森にしばし下りが続く。
この道を今まで避けていたのは、この先日置川の谷間が拡がる県道217の平瀬付近で、合流してきた国道371に何台か車が続いて通っていたために、交通量の多い拡幅新道だと思い込んだためだ。今日国道371を通り、この区間のこの道にはそういう事は全く無く、ほぼ交通量極小の細道国道であることがよくわかった。
大内川で森が切れて集落に入っても、民家、田圃の間、渓谷を細道が抜けてゆく。
その先でも森の中に細道が続いていった。平瀬では確か拡幅済みの新道だったので、どこかで道が拡がるだろうと思っていた。
しかしいつまで経っても道は細道のままだし車は殆ど来ない。
結局平瀬の合流点手前でやっと、記憶どおりというより記憶の範囲で一番狭いぐらいに道の表情が変わっただけだった。国道371地蔵峠区間、思いがけずいい道だった。
12:30、平瀬着。この辺りとしては比較的まとまった山間の平地に田圃、畑が拡がり、商店は無いものの郵便局がある。山間に拡がる、のんびりと静かな里である。
ここでやっと日置川に合流できた。今日はこのまま日置川沿いに海岸の日置まで下ってゆく。日置川はこの4日間、最大の目的地のひとつである。日置川の谷間は何度か部分的に通ったことがある。その度に、のんびり静かな谷間と川そのものの清らかな表情にずっと魅かれていた。今回海辺のかんぽの宿を投入し、日置川を今日の終着地とすることにより、やっと本格的に下流部まで下ることができるのだ。
平瀬から先、やや幅広の日置川から切り立つ谷間の道が続いた。川原からやや高い場所に道は通っていて、森の合間のところどころの平地に畑や集落が現れた。
平瀬で拡がった谷間は、少し下ると切り立つ渓谷となり、平瀬で広い道だった県道217も山間の細道に変わった。
全体的に下流に向かっているはずではあっても、山腹に続く次々現れる登り下りは斜度が厳しい。
狭い谷間の急斜面で地形図では等高線がややうやむや気味に読みにくく、都合の良い解釈と通常より厳しめの実際の道の狭間で、なかなか脚を進めた気分にならない道である。こういう印象は、初めて通った2002年から変わらない。
そして合川までの後半、日置川はダム湖に変わった。
13:10、合川着。標高160m。ここで国道371は支流の前ノ川の谷間へと再び登ってゆく。そして途中で山道区間となり、その山道区間は舗装道路として林道木守平井線が代わりに通っている。もう林道木守平井線を国道指定すればいいじゃんと以前から思っているが、大人の事情があるのかもしれないとも思う。いち訪問者の妄想とは別に、日置川沿いの海岸への道は県道37となる。
国道371は細道のまま、合川でダム湖に掛かる三川大橋を対岸へ渡ってゆく。三川大橋の「大型車は1台しか通れません」という看板が、初訪問時から印象的だ。同じく細道の県道37が、ダム堤体脇から合川へ下ってきて合流している。対向車をどこかでやり過ごしてまとめてやって来た車が、やはりまとめて合川大橋を渡ってゆくのがまた象徴的だ。
あてにはしていなかったものの、交差点には数軒の民家以外何も無い。ここで何も無ければ、多分今日終着の日置まで、めぼしい商店は多分無い。しかし補給食の備蓄は未だ十分だし、この先もう、河岸の登り下り以外に峠的登りは無い(実はちょっとだけあった)。このまま脚を進めて何も問題は無い。もうひたすらのんびり、日置川の風景を味わって、海岸へ向かえばいい。日置川の風景に魅かれてからずっとこういう訪問をしたかった。
そういうチャンスを前に、天気は絶好調の晴天である。
記 2024/6/8