北海道Tour24#6
2024/8/10(土)開陽→札友内-1

A地点からC経由でB地点へ 赤は本日の経路

開陽→開陽台→上風連→泉川→弟子屈→札友内 134km (以上#6-1)
(以下#6-2) 区間2 (以上#6-2)
(以下#6-3) 区間3 (以上#6-3)
(以下#6-4) 区間4 (以上#6-4)
(以下#6-5) 区間5  km 
RIDE WITH GPS

ニューサイ写真 RICOH GR GR18.3mm1:2.8

北海道Tour24#6 2024/8/10(土)開陽→札友内-1

赤は本日の経路 濃い灰色は既済経路と航路 ------------------------------------------------------------ --> ■

 夜明けの牧草地に、何と青空が拡がっている。天気予報は午前中曇りのままなのに。もしかしたらこれから曇るのだろう。これだと開陽台に寄れる。とは思うものの、開陽台に着く頃には曇っているかもしれない。それどころか出発して登りの途中であれよあれよという間に雲が押し寄せ、着いてみたら見事に曇っているかもしれない。今までそんなことは何度もあった。だから開陽台に上った後でそんなことが起こっても、もはや悔しくも何ともない。ただただ、また開陽台に来れたことが有り難く嬉しいだけだ。
 とにかく今のところは、開陽台に行くつもりで出発しよう。
 今日は別海町中部に、初めて通る道と、その辺までの南下にもあまり見覚えが無い手頃な道を準備している。そして16時以降弟子屈町で降水確率50%の雨予報なので、早めに鱒やに着く必要がある。という口実により、例によって全体的に手頃なボリュームになっているのだ。
 問題は明日11日。行程の全区間で、終日降水確率が30%。私的基準では平地で30%だと走っちゃえと思うのだが、山中だと走る気がしない。明日行程上にあるのは、とても普通の山中と言えない津別峠とチミケップ湖だ。しかもSCWで見ると、その辺りに雨マークが付いている。
 ということは、今のところ明日は休むしかない。
 そして更にヤバいのはその翌日。下川から美深で日中最高気温が33℃になっている。気温だけで言えば、37℃に見舞われ一発で熱中症になってしまった2007年程じゃあない。しかしあれから、私もだいぶ歳を取っている。実際、近年は気温30℃か何かで、もうくらくらの危機一髪だ。間違いなく、滝上か西興部で熱中症になるだろう。
 事態は着々と2日連続運休に向かって進んでいる。何とか、今日中に予報の気温が下がってくれるといいんだが。

 5:20、民宿地平線発。

 出発直後の開陽台が見える町道19の登り区間で、早くも開陽台が雲に包まれ始めているのが見えた。やはりこうなるのか。でも雨が降ってなければ、開陽台に行くのだ。

 5:50、開陽台着。

 霧の開陽台から眺める下界はやや薄暗い。そして駐車場から展望台のどこにも訪問者は少ない。だがやはり、来れること自体がありがたい。何度来てもそう思う。

 下界や背景の山々をぐるっと見回し、展望台から降りることにした。開陽台に来て感謝できること、そのこと自体に満足できた。先へ進もう。

 6:25、開陽台発。

 俣落から西へ道道150、次の交差点で北へ去ってゆく道道150には向かわず、一直線の道をそのままもう少し西へ、毎度お馴染みの農道に進む。

 次の次でおもむろに南下を開始。この道なら通ったことは無い筈だ。

 一直線の道を開放感漂う牧草地が囲み、格子状防風林が高く聳え、眺めのリズムと人里の親しみやすさを感じさせる。牧草地の高さは路面とほぼ同じ。茂みが低く見える上に、防風フェンスが無い。とても居心地がいい道だ。

 防風フェンスが無いのは、幹線じゃないポジションの道だからなのかもしれない。立ち位置がどうでも、今日のところは自転車ツーリストにとって落ち着ける道だ。こんなステキな道が俣落の南にあったなんて、根釧台地はまだまだ奥深い。

 と思いながらしばらく南下してゆくと、谷越えの登り下りの先で「リサイクルセンターくるっと」の看板と門扉に気が付いた。あれ、これ絶対見たことがあるぞ。というより、明らかに昨日通っている道だ。途中で昨日通った北大西洋コースに合流してしまったのかもしれない。まあ、昨日の道なら望むところだ。

 間もなく道は道道13に突き当たった。まさしくここは当幌だ。昨日通ったとおりどころか、7月にもここに来ている。そして道道13から南、国道272への数kmの道は、130kmコースの何度も通っている道を進むことになっている。未済経路だと思っていた今日のコースが、いつの間にか既済コースまっただ中を驀進しているのである。
 まあいいや、良い道だから。それに10年ぐらい前までは、この辺で南北に道をつなげるのに苦労していたことを思い出した。この辺は事程左様に、ツーリングで使いやすそうな、簡単に南北方向を通過できるような道が少ないのだろう。既済経路を通ってしまうのは仕方が無いことなのだ。


 道道13から先は、まずは工事迂回ルートが登場。工事迂回の一時的な経路だというのに、ここも7月以来の集中訪問であっという間に3度目の訪問になってしまった。

 町道の谷越えから高台の開けた畑、牧草地の展望ポイント、国道272を越えて東へクランク。ここでやっと再び130kmコースと昨日通った北太平洋200kmコースから離れ、未済経路を更に南下してゆく。

 道道362の先で、GPSトラックの道はダートに替わってしまった。やはり未済経路を選んでるだけあり、舗装路だけじゃコースが繋がらない。それにしても中標津から別海へのこの辺り、本当に南北の道がすっきり繋がらない。

 昨日の石川さんドライブでも、この辺でダートが続いていたことを思い出す。一連の石川さんコースのお陰で随分訪問の足がかりができたとはいえ、やはり別海北部から中標津南部は根釧台地の意外な空白地帯だと思う。

 やや高い茂みに囲まれた静かなダートは、鬱蒼とした防風林に沿い牧草地の縁を越え、谷底の森を通り過ぎてゆく。谷は浅く森は明るいものの、熊の糞はごく普通に落ちている。こうなると、静かなというよりもうすっかりブキミなダートだ。

 こういう浅い谷は舗装路でもよく見かける気がする。大体直登で一気に越えてしまうのだが、ダートだと砂利が心配でなかなかそういう訳にもいかない。まあ舗装道路でも熊の糞ぐらい平気で落ちているのだが、やはり結構緊張しながらしずしずと、途中でベル等鳴らしてそそくさと通り過ぎてしまう。何と言ってもまだ8時過ぎ。

 谷底から台地へ登ると辺りは再び牧場に替わった。農家の脇を過ぎ、やっと舗装路面が復活、ひと安心。

 国道243の道道123起点で気が付いた。昨日のドライブでここを眺めたばかりだ。
 ということは。ひょっとして、ここまで昨日通ってる道なんじゃないか。それにしても、国道272で確実に意識して昨日の道を外したから、道道362からのダート入口は昨日は通っていないはず。一体どこから昨日の道に合流したんだろう。昨日もこの辺でダートを走っているし、その辺りの牧草地かもしれない。
 後で地図を確認すると、防風林の縁を越える手前辺りまで未済経路だったのがその辺で昨日の道に合流し、熊が怖かった谷底から再び未済経路に分岐していた。そう言やあさっきの怖い谷、何だか見たような雰囲気の谷だとは思っていた。

 道道123は上風連へ南下してゆく。10年以上前、この道道123は浜中方面・別海・中標津を結ぶ根釧台地の私的幹線道路だった。上風連から先道道813への分岐までは、202kmコースの一部にもなっている。
 既知とは言え、この区間は久しぶりだ。通ってみてやっと、風景や地形の起承転結を思い出すぐらいの久しぶりだ。
 丘陵の牧草地に時々カーブして続く直線基調の道。南下するにつれ少しづつ丘陵アップダウンの波は大きくなり、別海町まっただ中に進みつつあることを感じさせる。長くなってきた丘の一登りは、この道を通るとき毎回暑さに悩まされたことを思い出させる。そんなことが思い出されるのは、今日も陽が出始め、登りで速度が落ちた途端に路面の暑さがてきめんに感じられ始めたからだ。暑くなると途端にゴマフアブも襲いかかってきやがるので、最近虫除けに重宝している北見のハッカ油を直撃してやる。

 見覚えのある交差点に建つ民家は、最初は商店だった。その時は確か養老牛温泉を朝出発し、暑さに干上がりそうにふらふらになって、やっとこの辺まで辿り着いたのだ。飲み物を買ったとき「暑いね」と声を掛けてくれたお婆さんは、その後お店に出るのがやっとになり、更に商店は閉まったのだった。今は商店は営業していないものの、再びどなたかが住んでいらっしゃるようでひと安心。

 今日は上風連まで下らずに、途中のY字分岐で今日のメインイベント、この道は202kmコースの1本内側を通る訪れたことが全く無い農道へ向かうGPSトラックを描いている。その分岐がいよいよGPS画面に現れても、実際の分岐がなかなか現れない。


 丘へ登るカーブの先、唐突に分岐が現れた。その道はこの辺の道としては細道の記号で地図に描かれていたので、ダートだと入り込むかどうかはちょっと要検討だな、と思っていた。しかし、実際の道は当面は問題無さそうな雰囲気の舗装路面のようだ。

 農道は台地に乗り上げ、一直線道路ばかりの根釧台地には珍しい一直線じゃない線形で、上風連・中西別の狭間、あまり把握できていない空白地帯に続いてゆく。一直線じゃないというのは1/5万地形図上での描かれ方であり、実際には連続カーブじゃなくて一直線の道が牧草地まっただ中でかくっと曲がり、また一直線が続くという感じ。やはり根釧台地らしい道だ。台地上は比較的平らであるものの、時々浅い谷を越えてゆく。いかにも彫りの深い別海中部から真っ平らの北西部に続くエリアである。そんな平原に牧草地、防風林が入れ替わり現れ、牧場も意外に多い。穏当で開けた景色ののんびりした道だ。

 この農道、両端が牧草地まっただ中の、あまり経由地や目的地とするような場所じゃない。それに地図上では、無駄にくねくねしているようにも見える。サイクリングの場合は、今日みたいな彷徨い系ツーリング以外には使いにくいような道なのだ。このため、私としては今回の事前計画時に初めて意識したぐらいの大規模未済経路となっている。

 まだ9時過ぎ。道はあまり太くならず裁けた表情にもならず、不思議なぐらいに淡々と、西へ進んでいった。辺りの浅い谷は進むにつれ地形が安定し、奥行きが知れない森と茂みに囲まれた牧草地は、次第に飄々とした表情に替わっていった。そして行き先の看板は、いつの間にか中西別から西春別へ変わっていた。

 終始のんびりした気分で順当に脚は進み、10時台へと時間は過ぎていった。辺りが明るくなったと思ったら空が切れ、青空が現れ始めた。路上の気温が急に上がり始め、頼むからあまり暑くならないでほしいと思う。弱い風が風が少し吹いてくれて助かっている。この天気でこの暑さだから、もっと暑くて風が吹き荒れた昨日は、やはり出かけなくて良かったと思えた。お天気読み間違いでも何でも。

 中西別の南西で、農道は唐突に直線道路の農道に突き当たって終了した。その直線道路へ道を乗り換え、台地上を西北へ北上してゆく。

 この道は根釧台地直交グリッドの道であり、風景も見慣れた中西別〜中春別の真っ平らの牧草地が延々と続いてゆく。

 小さい交差点に建つ小さな家屋の福島会館という名前には見覚えがある。

 国道272が大きく向きを変えつつ交差する辺りから、道は農免農道から道道362に替わっていたようだ。一直線の道なのだ、こういうことはあまり意識しない。そして道道362が牧草地まっただ中で南西に90°向きを変えると共に、GPSトラックも道道362の通りに向きを変え、近年よく通る西春別宮園町へと向かってゆくのであった。こうなると、もうお馴染みの風景が次々現れて過ぎてゆく。途中には、RC造の立派な建物なのに自販機すらない、何度か見知った農業施設が現れた。なるほど、ここに繋がってるのか。

 脚を停めると干上がりそうにじりじり暑い。毎度の根釧台地まっただ中に戻っていた。

 行く手に突如現れた国道243との交差点、西春別宮園町で日陰へ避難。既知の自販機で缶コーヒーを飲む。国道っぽい表情の国道に時々やって来る車を眺めながら、時々やって来るゴマフアブを追い払い、地図など確認しておく。
 時刻は11:15。毎年お馴染みの時間である。札友内には順当な時間に着くだろう。もうすっかり、近年の開陽→札友内の日毎度のパターンに戻ってきている。ああ、今日も暑い。おれは弱い。思えば今日は、というより民宿地平線連泊後の北海道3日目は、202kmと津別チミケップの狭間で一見地味な行程の日だったのが、近年の雨運休増加により穏当で味わい深いツーリング気分の日になっていることに気が付いた。
 妄想は止めどないものの、今の現実としては先に進む必要がある。食料も水も取り急ぎ不安は無い。11:25、西春別宮園町発。


 泉川までは、なるべく既知の道を避けた、という趣旨のGPSトラックが組んである。

 まずは光進に向かう。牧草地の台地上を南西に進んでいた道は、光進の手前で北西に向きを90°変えた。このまま道なりに泉川北側の道道13まで、北上が続いてゆく。道は牧草地まっただ中を防風林に挟まれた状態で、やや狭い幅で続いてゆくのが特徴的だ。防風林が終わると、周囲は牧草地まっただ中ながら、泉川南部の谷越えに移行してゆく。時々緩く曲がりつつも道は直線基調であり、穏やかながら寂しい印象的な表情がきりっとした印象だ。

 谷越えがあるのと、全体的に泉川へと高度を上げてゆくので、所々思うように進めない箇所はある。でも、何となくどこにいるのかわかりにくいことが、却って旅している気分にさせてくれる。余裕ある行程のせいかもしれない。なかなか雰囲気が強い、良い道だ。

 空に雲が増えてきていると思っていたら雲はあっという間に増え、行き先地名の看板に泉川の文字が現れた辺りで、空は完全に雲に覆われてしまっていた。

 そして泉川北部の牧草地グリッド地帯では、どす黒くなった雲が押し寄せ、時々水滴が感じられ始めるようになった。

 道道13手前の牧草地グリッドで、最北部で道道13に合流するのにクランク横断してより北東側に移動するので、7月に見つけたばかりの自販機前を経由して水を補給しておく。

 道道13にはグリッド区間の一番北東、標茶町界手前のピークで合流。7月の202kmコースと同じパターンだ。

 牧草地の真ん中、小高い交差点。自分がいる場所と根釧台地の縁であることを思うと、何だか立ち尽くしてしまいそうに印象的で象徴的な風景に思えてくる。出入りのポイントが限られ、南側から北側の根釧台地縁まで登り量がどの道も似たり寄ったりのこの辺り。これまでいつもイメージが無いまま一何となく直線気味に通過するだけだった。そのため、どこもよく似た牧草地と防風林の風景が続くという思い込みしか無かった。今後、今日の経路は憶えておこう、と思った。★ 一方、空はますます暗くなって、やや本降り気味の雨まで降り始めている。これが曇り降水確率30%の実態だ。牧草地まっただ中の小高く印象的な場所だけあり、辺りを見回しても雨宿りの場所なんか無いし、記憶にもこの先そういう場所のネタは無い。もう雨具を着てそのまま走ってしまうことにした。

 萩野の農道の丘から国道243へ。国道243のNHK通信施設の脇から根釧台地の展望が拡がるこの丘、北側の農道を好んで通るようになって以来、こちらからは久しぶりに通る気がする。道は空いているとは言え国道243。やはり通り過ぎる車は風圧も音圧も高い。そして丘の上へと駆け上がる直登が視覚的にしんどい。実際には登ってみれば面倒というほどの丘じゃないことは判っているし、これから雨の中熊が心配な程静かな農道へ回り道する気にもならない。丘の上でも、車を停めて写真を撮っているドライバーを横目に一気に通過してしまう。おれは根釧台地でステキな地平線をもう一杯眺めているのだ。


 あとは毎度の経路で弟子屈を目指す。

 国道243で弟子屈峠を越え、仁多スノーシェッドの向こうで農免農道へ。

 仁多から先は去年通った北側を迂回する道へ向かうつもりだったが、何となくいつの間にか毎回通る道に行ってしまっていた。

 と思っていると、降りてきたのは弟子屈駅裏手ではなく福住の正面。やはり北側の迂回農道なのだった。流石はGPSトラック通りの経路。まあここはほぼ下るだけだし早く福住に行けたのでいいか。
 14:20、福住着。14時台ともなると、待たずに蕎麦を戴くことができる。大盛天ぷら蕎麦が美味しい。

 14:45、福住発。いつものセイコーマートに寄り、美羅尾の道道717へ。

 もう空はどんより薄暗い。雨へ雨へと天気はどんどん突き進んでいる。

 15:25、鱒や着。お風呂に入れていただき、一寝入りした後には、雨が降り始めていた。

 駄目押しで明日の天気予報を確認しておく。全域で降水確率30%、朝とあまり変わらない。SCWではやはり、津別峠の下りとチミケップ湖〜北見で雨が降ることになっている。
 これだけだと際どい予報とも思えるものの、やはり現地でこの予報が悪化する可能性を考える必要がある。現に2年前、北見〜置戸でゲリラ豪雨を掠めてしまった。あの時も、ずっと晴れな筈だったのだ。そういう可能性を考えないわけにはいかない。
 ということは、明日は運休だ。早々に朝食をお願いしておく。今日のところは近年珍しく、ビールを呑んでしまうことにする。

記 2024/12/7

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