北海道Tour22#8
2022/8/17(水) 仁宇布→中川-2

仁宇布→西尾峠 (以上#8-1)
→歌登
(以下#8-3) →中頓別
(以下#8-4) →知駒峠
(以下#8-5) →問寒別
(以下#8-6) →中川
  132km

A地点からC経由でB地点へ 赤は本日の経路
PENTAX K-1 MarkII HD PENTAX-D FA15-30mm1:2.8ED SDM WR

 フーレップ川の谷間に降り、谷底をひたすら下ってゆく。

 RICOH GRV GR18.3mm1:2.8

 路面の端には濡れた跡がある。朝露的なものかもしれない。でも昨夜ここで雨が降っていたとしても、驚くようなことではない。雪が降っていたとしてもあまり驚かないだろう。それほど天気が不安定なこの山奥で、この深い森を青空とともに眺めることができている。今日、訪問できていることには感謝しかない。

 ただ、明るい陽差しに照らされた大森林に朗らかな表情が感じられても、圧迫感すら感じられる山深さが減っている訳ではない。下りに任せてそそくさと、なるべく速やかに通り過ぎようとしても、行く手には谷間と森が次から次へひたすら延々と現れ続ける。そして時々、道端に熊のかなり新しい糞が落ちていたりもする。茂みから狐がこちらを眺めていたり、路上にふらふら歩いている奴がこちらが近づいてもなかなか茂みに逃げ込まない。今年のトレンドとしては、鹿どもの人間に対する間合いがかなり近くなったと思う。路上の森林化が年々進んでいるのかもしれない等と考えていると、ますます熊がひょいっと現れそうで怖くなる。

 ひたすら森だけだった谷間の道に、音標へ続くダート道道880の分岐が現れた。ゲートは一応開いているものの、薄暗く鬱蒼とした森の中へ道が登ってゆくというだけの分岐である。

 その先天の川トンネルの手前、待避所に毛が生えたくらいの牽牛休憩所を通過。そして天の川トンネルを抜けると、織姫駐車場に閉鎖中のWCと休憩場のあずまやがある。

 

 少し先の道北スーパー林道分岐近くでは、炭焼き小屋のような森林管理小屋(なのかどうかは実は知らない)があり、森の茂みに埋もれそうな大曲の廃墟群を過ぎ、牧草地が現れる。

 こうして仁宇布、西尾峠から続いていた道以外完全に無人の森は、やっと少しづつ人の営みへ推移してゆくのであった。この間、陽差しは高く昇りつつあり、道は日なたの部分が増え始め、どんどん暑くなり始めていた。

 RICOH GRV GR18.3mm1:2.8

 大曲の牧草地から森の中へ下ると、谷間が拡がって辺りの広葉樹林が低くなり、周囲が突如開けて牧草地になった。久々の人里、上徳志別である。

A地点からC経由でB地点へ 赤は本日の経路

 枝幸の山々に囲まれた盆地に牧草地が広々青々と拡がり、雲が勢いよく流れる青空から、日差しがカンカンに鋭く照りつけている。これだけ晴れるのは何年振りか、もう忘れてしまった。確か少なくとも10年振りぐらいの筈だと思う。晴れの風景はとても素晴らしく、もう一度と思って行程を組み、来る度に雨か曇りだったのだ。しかし、今回津別峠やチミケップ湖で思ったように、ここも晴れだとあまりにあっけらかんと何の不思議も無く、ごくごく普通に目の前に青空の明るい風景がある。

 RICOH GRV GR18.3mm1:2.8
   RICOH GRV GR18.3mm1:2.8

 元キャンプ場の元上徳志別小学校の南で、少し脚を停めることにした。背景に盆地を囲む山を望む牧草地がいい感じの、いつもの場所だ。こんな青空と眩しい陽差しとともにこの風景を眺めることができるチャンスは滅多に無い。

 RICOH GRV GR18.3mm1:2.8
   RICOH GRV GR18.3mm1:2.8

 脚を停めると、かなり暑くなっていることに気が付いた。走っていると気温は低いのに、陽差しがかなり厳しいために、直射日光と照り返しの両面焼きで暑いのである。北海道の晴れの日毎度の現象ではあるものの、まったく適度というものは無いのかと思わされるのも毎度の事。そしてこの先、お昼頃の暑さが思いやられる。晴れても厳しく雨でも厳しい現実に、毎日のように出たとこ勝負でお天道様を伺うしか無いのだ。勤め人の毎日のように。

 乙忠部への道道1023分岐を過ぎると、再び志美宇丹へ緩い登りが始まった。

A地点からC経由でB地点へ 赤は本日の経路

 延々と続く大森林の狭間に位置する二つの集落、上徳志別と志美宇丹。こよなくのんびりと静かな牧草地は、今日の青空の下ますます鮮やかで、夢のような風景だ。淡々と脚は進み、当たり前の様に景色が通り過ぎてゆく。大変勿体無く残念なような気もするものの、いや、これは最高に贅沢な時間なのだと考えるべきなのかもしれない。自転車旅行の実態には制限が多い。しかし、制限と制限の狭間で走っている間には何となく自由な気分を感じられるような気がすることも確かである。気分だけなのかもしれないが、そんな気分になれるだけでもいいじゃないかとも思う。

 暑いので止めどなく妄想しているうちに志美宇丹中央へ。

 今日は拡幅新道開通前に通っていた道道120旧道を経由し、晴れの風景を記憶に留めておくことにした。

 しかし、道端には人気が無くやや高い茂みが続いていた。いかにも熊が出てきそうで、現に数年前に志美宇丹で脇道のど真ん中に巨大なクマの糞(しかもほかほか)を見かけたこともあり、ちょっと怖くなってきた。やはりここは美しいだけじゃない、かなりの山奥なのだ。

 RICOH GRV GR18.3mm1:2.8
 RICOH GRV GR18.3mm1:2.8

 道道120に戻り、志美宇丹峠という名前が付いている盆地北端縁へ一登り、その後は辺渓内へ一下り。

 谷間に平地が現れた後は、歌登へと盆地を更に下ってゆく。歌登までまだあと8km。

 RICOH GRV GR18.3mm1:2.8

 正面のポロヌプリ山が裾から稜線まですっきり見える。時刻は9:30。上徳志別・志美宇丹で時間をかけて牧草地をじっくり眺めたせいか、歌登盆地への到着はやや遅い。

 RICOH GRV GR18.3mm1:2.8

 こういう時は曇りの方が却って順調だな、と思うのも晴れの日ならでは。ちょっと嬉しくもあるのが我ながら可笑しい。

 時間が遅目なので、歌登では珍しくセイコーマートに寄らず、そのまま次の兵知安峠へ向かうことにした。これぞ朝食をしっかり頂いたお陰で、まだ腹は全然減っていないので何の問題も無い。

 ショートカットを狙って、歌登市街手前の分岐で南回りの道へ分岐してみた。しかし、10年(ぐらい?)振りの道であることがわかったという以外に何かめぼしいものは無い。更に、何となく知っている道を通っている気分になっていたら、いつの間にか大回りする羽目になっていた。やはり見込みも無く気分で選んだ道に期待しすぎるものじゃない。まあしかし、青空の下行程にも時間にも問題が無い気楽なツーリングを、急がず焦らず、有り難く楽しむべきなんだろう。

記 2023/2/15

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Last Update 2023/4/16
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