中国地方Tour22#3
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引き続き国道261でもう一越えだ。
瑞穂の町外れが何となくずるずるっと谷間に続くうち、やはり均等に次第にじりじり高度を上げ、いつの間にか位置が進んでいるありがたい道だ。交通量さえ少なければ大分楽しいのに、とも思う。
地形図では、島根県と広島県の県境に中三坂隧道という3〜400mのトンネルが描かれている。しかし実際には、新道と共に地形図より長いトンネルができていたことは今日大変有り難い。
トンネルを抜けると、広島県北広島町の看板が立っていた。遂に広島県に入ったのだ、となかなか嬉しい。路面も乾き始めている。
大朝の盆地手前でGPSトラックに従って町道らしき細道へ。
確かここは国道が小さい丘を越えているので細道経由にした区間だ。すぐ国道261に戻る短い細道区間ではあっても、周囲は十分に長閑で車は皆無。一気にツーリングの気分が戻って来た。確か今日はこういう区間をちょこちょこ入れている。実際にも狙い通りに国道の気分転換になっている。
細道は谷の隙間から盆地に出て、新庄で再び国道261に合流。ちょうど狙い定めたように、浜田自動車道大朝ICの真ん前だ。そのためか、まだまだ広島から遠い山間の盆地なのに、かなり車が多い。ICから吐き出されるように車が国道261にどんどん合流していてがくっと来る。
そんな国道261でGPSトラックがあらぬ方向へ向かっている。と思ったら、ここはしばし千代田まで、国道261のひと登りを迂回して、細道の県道311へ向かう区間なのだった。
下市の交差点でつい道を間違えてしまった程の細道は、集落の生活道然とした表情のまま民家、学校脇、田圃から森へと進んでゆく。自分で選んだ道ながら、細道となればこれが県道か目を疑うほど細道なのが我ながら面白い。
農村から抜けて谷間が多少狭くなり、辺りが田圃や畑から川原の茂みっぽい森に替わると、道幅がふたたび拡がった。拡幅しやすいところで拡幅してるんだろう。
谷間の川は、なかなかゆったりとした雰囲気を漂わせている。川幅はそう広くないものの余裕たっぷりの優しい表情で、ほぼ平坦に近く緩い下り基調の道に沿ったり、時々拡がる田圃の向こうに離れたり。看板を見て驚いた。何と江の川なのである。朝に通った、あの江の川の上流なのだ。江の川って一体どういう経路なのかと思って後で地図を見ると、三次からこちらに戻るように遡っている、上流部分なのだった。
川戸から県道311は国道433に合流し、この辺りから青空が現れ、陽が差し始めた。
国道433は県道311の細道区間より更に細い道である。同じ国道なのに、ついさっきまでの国道261の喧噪が嘘のようだ。そして、こよなく美しい江の川の渓谷を更に下ってゆく。
昨日もそうだったように、こういう田舎道ではカジカや鳥の声が響き渡っている。明るい光の中、カワトンボがひらひら、サナエトンボやシオカラトンボがすいすいやって来るのもステキだ。さっきまで輪行に切り替えようかと思っていたのに、今日もやっとこの時間になって、5月のツーリングまっただ中になってきた。
上漆原から先も谷間の川は江の川なのだが、谷間が急に拡がって、周囲の風景はやや開けた平地の農村となる。一方、国道433は江の川を離れて山中に向かってゆき、道は県道69となった。
急に風景が変わっても、こちらは何が起こったのかあまり把握せず地図も見直さず、気楽にやや受動的に行程の進行に身を任せてゆく。
山に挟まれた農村風景の中をてれてれ脚を進めてゆくのがいい気分だ。贅沢な連休である。
記 2022/5/26