中国地方Tour22#2
2022/4/30(土) 東城→三瓶温泉-2

東城→小奴可 (以上#2-1)
→小峠
(以下#2-3) →上阿井町
(以下#2-4) →吉田
(以下#2-5) →志津見
(以下#2-6) →三瓶温泉

118km   RideWithGPS

小奴可から道後山経由で油木へ 赤は本日の経路
ニューサイ写真 RICOH GRV GR18.3mm1:2.8

 

 盆地の小奴可から谷へと、国道314は芸備線と共に緩々っと登ってゆく。国道特有の埃っぽい表情と単調であまり面白くない路上空間は、周囲の長閑で魅力的な農村風景や森と分離独立しているので、何となく次の展開を待ちながら淡々と脚を進めてゆくだけの行程になってしまっている。車がそう多くないのが多少救いかもしれない。
 さっきまでの県道12は素晴らしかったな。

 等と思っていたら、登りピークを越えるのと、ピークに建つ瀬戸内海側・日本海側分水嶺の看板を眺めるのにかまけて、芸備線道後山駅への分岐をつい見落としてしまっていた。少し戻ってGPSトラックに従い分岐を入り込むと、予定コースは杉の葉が溜まったあやしそうな道だ。知ってないと絶対入り込まない道である。しかし実はこの細道、林道ではなく県道414なのだ。
 今のところ行程は絶好調と行かないまでも、特に進行上の問題は無い。ならば芸備線もう一つの撮影地だった思い出の地としての、道後山駅には行っとこう。

道後山から故鳥原経由で小峠へ 赤は本日の経路

 意外にも国道分岐から進むと共に、路上の杉の枝が無くなり、路面は良好な舗装となった。道幅は相変わらず県道であることが疑われるように細い。

 農家が何軒か並ぶ集落を通り抜け、9:20、道後山着。標高628m。
 道後山も小奴可と同じく、1984年に鉄道の撮影で半日以上訪問している。当時から無人だった道後山駅が位置する谷間の山深さと、オアシスのような駅前商店に強烈な印象が残っている。

 RICOH GRV GR18.3mm1:2.8

 2022年の自転車ツーリング的にも、猫の額のような山間の拡がりに、どこからか芸備線が現れ山中へと消えてゆくのが不思議だし、その間に道後山駅があって列車が停まってゆくのが不思議である。

   RICOH GRV GR18.3mm1:2.8

 駅舎はまあ残っている、という位に存在はしている。38年後の再会、私も似たようなものかもしれない。
 1984年の撮影場所はどこだったか、確か道後山駅から2〜30分歩いて山に登った場所だったと思う。撮影場所も訪れておくべきかもしれないが、今日の行程の場合はまだ気を許すわけにはいかず、やや気が急いている。道後山の場合、何故か駅の方が撮影場所より印象に残っていることもあり、こんなもんで訪問の目的は十二分に達せられたと思った。

 森の中へと続く細道をGPSトラックの示す通りに進んでゆくと、その撮影場所に登って行く道と分岐し、こちらの県道414はおもむろに下り始めた。道後山から標高550mの保賀谷まで60m高度を下げるのだ。
 その後写真判定により、1984年の訪問時にはこの分岐で今回通った県道414へ進み、その後谷を挟んで反対の山に登っていたらしいことが判明した。写真に何と芸備線をくぐっている県道414が写っていた。

 芸備線はこの区間、シャトルループの線形で距離を稼ぎ高度を下げてゆく。県道414は、一旦芸備線をショートカットしてぐいっと下り、再び芸備線に近づいてゆく。芸備線、なかなかの山岳路線である。

 そして県道414も県道ながら、芸備線アンダークロスの橋の高さはとても低い。相変わらず、道の空間感覚は林道そのものである。

 保賀谷では、3つの狭い谷が合流して1つの谷が南の備後落合へ下っている。ここから芸備線は、国道183が通る谷間と共に、備後落合へ下ってゆく。
 私は別の谷からやってきた国道183を横断し、180m程登って稜線を越えて木次線沿いの油木へ下る細道へ向かうことにした。鋭角二等辺三角形で稜線を丸ごと迂回する芸備線・木次線沿い国道183・314を、稜線越えでショートカットするのだ。
 備後落合は中国山地を横断する芸備線を東西に分ける駅であり、中国山地を南北に貫く木次線との乗換駅でもある。1982年も1984年も、芸備線は備後落合で15分以上停車し、山中のどこからか突然合流してやはり山中に消えてゆく木次線との乗り換え便宜を図っていた。そして道と民家数軒しか無い谷底に建つ備後落合駅には、おでん・鶏肉が入った蕎麦・うどんのお店があり、稲荷寿司の駅弁も売っていたのである。
 その後2008年の出張帰路自主立寄り時には、思い出に浸れるような物が2008年の現実として順当に何も残っていないことを確認済みだ。
 それに備後落合へは迂回となるのに、備後落合への下り量と合流点の油木まで登り返しが多いため、こちらの方が登り量が60m程度多いだけで距離は10km近くも少ない筈だ。そしてさっきの国道314の普通に国道っぽい表情を思い出すと、こちらの道の方が絶対好ましそうだ。

 保賀谷から登り返し、小鳥原から急斜面に拡がる集落の細道へ、GPSトラック通りに脚を進めてゆく。

 広葉樹林に入って路面に落ち葉が溜まった細道は途中まで林道だと思っていたが、標識を見ると実は県道444なのである。この細道が、自転車ツーリングには大変好ましい。明るい広葉樹林の道は意外にも斜度7%とそう厳しくなく、私でも淡々と落ちついて登ってゆける。

 そして途中では森林大伐採の怪我の功名?で、落差の大きな山間、中国山地がボリュームたっぷり迫力満点だ。

 RICOH GRV GR18.3mm1:2.8
   RICOH GRV GR18.3mm1:2.8 パノラマ合成

 道幅と斜度を除けば、山梨県の信州峠付近に何となく似ていなくもない、高原っぽい雰囲気でもある。

 RICOH GRV GR18.3mm1:2.8

 名無しの峠部分はかなりなだらかな、稜線のピークというより背中という風情の変曲点だ。いつの間にか天気は晴れに推移し始めていた。

 森の中を下って谷底の集落へ、160m下った油木で木次線の谷間に合流。

 RICOH GRV GR18.3mm1:2.8

 意外にも国道314はかなり車が少なく、さっきの小奴可付近より風景のスケールが大きいような気がする。まあでも、ここまで県道444経由で正解だった。

油木から小峠経由で杭元へ 赤は本日の経路
 RICOH GRV GR18.3mm1:2.8

 併走する木次線に25‰の勾配標識が立っている。油木で標高580m、この先約6km、峠部分の広島・島根県境は730m。芸備線と共になかなかの山岳路線だ。中国山地としても高めの場所、という以上に高原っぽい風景なのは、今朝からずっと共通している。

 RICOH GRV GR18.3mm1:2.8

 標高730mの県境を越えると、突如周囲は森から開けた畑に変わった。そして県境を越えると、というより大して下っていない。周囲がスキー場に変わるとともに10:40、三井野原着。北海道内陸や清里辺りのような高原っぽさが感じられる。

 

 こういう展開は、1982年の木次線初乗車時の印象通りである。木次線のこの先、三井野原・出雲坂根間、特に出雲坂根の3回スイッチバックは1982年の鉄道研究部合宿メニューだった。出雲坂根が標高570mぐらい。スイッチバック手前のシャトルループと合わせ技で三井野原から何と160mも下ってしまうのだ。確かその時まだ国道は開通していなかった。そしてその後開通した国道183は、木次線に対抗したのかのように2回転近くのループ区間を備えている。「おろちループ」と名前を付けたのみならず、道の駅まで作ってしまった、ということを考えていて、改めて木次線も驚きの山岳路線であることがよくわかった。
 コース計画時には、ここから木次線沿いに奥出雲町まで下ってしまうことも考えていた。かなり大回りになってしまうものの、松本清張ネタと駅蕎麦が有名な亀嵩駅に興味を引かれていたのだ。しかし今日はここまで快調に登り2ヶ所をこなせている。あとひとつ標高差80m程度の小峠という名前の小さな峠を越えれば、登りは総量の半分以上をこなしたことになるし、予定2経路のうち距離が短く道が静かそうな方の経路で脚を先に進めることができる。そしてここまで、国道よりその手の細道の方がことごとく好ましく、標高差80m程度の登りは問題になっていない。そもそも、大回りなら蕎麦に立ち寄ったりしないかもしれない。

 というわけで、小峠へ向かうことにした。小峠のみならず、三瓶山麓までの内陸側コースがここで決定したことになる。

 シーズンオフのためか休業中のドライブイン前で缶コーヒーだけ飲んで、木次線の踏切を渡り、少し北海道内陸のような雰囲気が漂うスキー場の細道へ。

 RICOH GRV GR18.3mm1:2.8

 スキー場から山裾側、田圃と森の境界に林道小峠線起点の看板が立っていた。林道は明るい広葉樹林に少し山腹を巻き、峠へ向かい始めると付近は杉に変わった。

 10:55、小峠着。道端で最後の山桜が迎えてくれていたのが何だか嬉しい。

記 2022/5/19

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Last Update 2022/8/29
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