北海道Tour19#4 2019/8/11(日)札友内→生田原-1

札友内→津別峠 (以上#4-1)
(以下#4-2) →津別峠展望台 (以上#4-2)
(以下#4-3) →津別 (以上#4-3)
(以下#4-4) →チミケップ湖 (以上#4-4)
(以下#4-5) →生田原
144km  RYDE WITH GPS

赤は本日の経路 濃い灰色は既済経路と航路

 
北海道Tour19#4 2019/8/11(日)札友内→生田原 北海道川上郡弟子屈町札友内 鱒やにて #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA

 荷物を積みに外に出ると、夜明けの空が明るい。雲がやや低めに空に拡がってはいるものの、雲の切れ間に青い色まで見えている。まだ地面はしっとりとしているが、雨上がりの軽い風が吹いている。
 玄関からお客さんが一人、外に出てきた。昨夜夕食の時にお話しした、ご夫婦の旦那さんである。
 お話ししながら出発準備していると、昔のとほ宿やYHの朝を思い出す。2019年の今となっては出発する方も見送る方ももはや中高年であり、あの頃の朝は、知らない人に見送られる気恥ずかしさも込みで旅の思い出になっている。今はもう北海道に来なくなった人も、どこかで時々楽しかったあの頃の旅を思い出すかもしれない。
 昔のことを思い出したのは、空の明るさと雲の薄さ、出発できるという嬉しさ、いくつになっても変わらないうきうきするような北海道ツーリングの実感故である。

 5:30、札友内鱒や発。

 RICOH GRV GR18.3mm1:2.8

 しばらく国道243では、雲は低いものの軽やかであり、青空が見える隙間が増え始めていた。

 しかし開けた牧草地にから釧路川沿いの山裾の森を抜け、屈斜路から屈斜路湖岸区間に移る間に、空はやや厚めの雲に覆われてしまった。外周の山を眺めても、裾から上が雲に隠れている。ただ周囲は未だ明るく、雨が降る気遣いは無いのが有り難い。今日は津別峠に向かおう。

 屈斜路から裏道の農道へは行かずに、国道243を継続する。数年間ずっと屈斜路湖岸区間で経由していた裏道は静かで素敵な道なのだが、去年はウランコシの手前で農家が犬を放し飼いしていた。ここだけ国道243へ迂回して、あとは裏道を経由すればいいのだが、現地に来てみるとそんなことも面倒臭い。放し飼いは熊対策かもしれず、そう言えば裏道では全体的にところどころ熊出没の看板も立っているし、道端の茂みから熊が出てきそうな気がしないでもない。などと思っている間は農道ではなく国道243を選ぶんだろうな。

北海道Tour19#4 2019/8/11(日)札友内→生田原 北海道川上郡弟子屈町札友内 国道243 #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA

 国道243は道自体はどこをどう見ても国道ではあるものの、国道で一番問題な車の量は少ない。屈斜路湖岸のなだらかな山裾に、適度に一直線で適度に時々曲がったり起伏して続く道の周囲に、山裾へ続く畑や屈斜路湖が伸びやかに拡がる。要するに、こっちで十分に楽しい道なのだ。

 和琴半島キャンプ場入口では、Tさんが昨夜ここに泊まったらしいことを思い出す。もしかしたら今はテント撤収中かもしれない。北海道で知人に会うなんてことも久しくやってないので、久しぶりに誰かに会っても良いかなとも思う。まあ現実としては、どうせキャンプ場を探してもTさんは見つからないだろう。それに今日は条件が合えばチミケップ湖を経由したい。そしてチミケップ湖では可能な限りゆっくりしたい。だからと言って撤収を急がせといて、いざ一緒に走ったら多分こちらが余りに遅くて、Tさんは退屈だろう。

 などと考えているうちに屈斜路プリンスホテルが見えてきた。もうウランコシである。次第に湖岸の雲は低く、陽差しが消えて辺りは薄暗くなっていたものの、曇りだろうが何だろうが、雨が降っていなければ有り難い。行くぞ津別峠に。

 6:15、ウランコシで道道597へ。

 RICOH GRV GR18.3mm1:2.8

 津別峠越えへ「突入」だ、と思うぐらいに、取付からの7%は直登であり、視覚的に厳しく、森の入口まで落ち着かない。しかし森に入って150mぐらい登ると、坂に緩急が出始めて多少は楽になるのがよくわかる。いつもより気温が低いのだ。

 RICOH GRV GR18.3mm1:2.8

 そして身体は楽でも、ゆっくりとしか登れない。いいのだ、ゆっくりなりに淡々と着実に脚を進めれば。

 RICOH GRV GR18.3mm1:2.8

 森に入ってから路面は終始しっとり濡れていた。雨というより、森の中にまで漂うガスのせいだ。高度が上がると共にガスは濃くなり、森の中が薄暗くなってきた。

 気温もますます下がり、毎回標高450mぐらいから感じる涼しい風を、今日は400m辺りから気付き始めた。一昨日から標茶や中標津で感じている寒さを思い出した。これは今年の道東の寒さなのだ。これが津別へ降りたら打って変わって暑くなるのが毎度のパターンだ。涼しいのも今のうちだけかもしれない。

 森が開け始めると、辺りは一面霞の中だった。視界はせいぜい200mぐらい、不穏な灰色の濃厚ガスには明るさというものが全く感じられない。もちろん周囲の山肌など全く見えず、気温も相変わらず低い。

北海道Tour19#4 2019/8/11(日)札友内→生田原 北海道網走郡津別町ウランコシ 道道597 #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA

 がくっと斜度が上がる印象がある最後の100mでも、何だかいつもより淡々と行けてしまった。

 だからと言って登りが速くなっているわけではない。所要時間はいつもと変わらない。


 7:55、津別峠着。

北海道Tour19#4 2019/8/11(日)札友内→生田原 北海道網走郡津別町ウランコシ 道道597 津別峠にて #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA

 おにぎりだけ水アシストで腹に押し込み、そのままふるさと林道で尾根を巻いて展望台へ。

北海道Tour19#4 2019/8/11(日)札友内→生田原 北海道網走郡津別町ウランコシ 道道597 ふるさと林道分岐にて #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA
 RICOH GRV GR18.3mm1:2.8

 峠で尾根を巻いた向こうの津別側斜面も、一面濃厚ガスの中だった。それでもふるさと林道の取付からは、周囲の山肌の、雲が隠している高さから下の部分を眺めることはできた。これも去年と同じではある。多分下界も、例年同様道東より暑いのだろう。津別へ着いたら意外にも雲が消え去った、なんてことがあると嬉しいな。

 ふるさと林道は原生林の斜面を巻いて直登区間へ。

 狭い道には意外にも時々車が降りてきた、その度行き違いを口実に、脚を停めてみた。雲海で津別峠展望台が有名になったためか、明らかに車が増えている。ただ、近年は道東と同じく、雲海というよりガス以外何も見えない濃霧の日が多くなったように思う。

 8:30、津別峠展望台着。

北海道Tour19#4 2019/8/11(日)札友内→生田原 北海道網走郡津別町上里 津別峠展望台にて #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA

 展望台でもやはり何も見えない。同じく一面ガスだった去年でも、津別方面は何とかうっすら見えていたのに、今年は薄暗いガスに霞んで50〜100mぐらいまで駐車場が見えるだけだ。
 おまけに展望台の屈斜路湖側広場は、バイク・自転車乗り入れ禁止となっていた。理由は書いていないものの、バイクか自転車の誰かが盛大に何かやらかしたのかもしれないし、或いは雲海観光で夜明け前から人がやって来ることにも関係しているのかもしれない。
 とにかく、津別峠展望台は自転車も問答無用で乗り入れ禁止になってしまった。毎回、飾り気の無い本来の峠から、2km、200mも登って、何故かここに建っている「津別峠」の碑と一緒に自転車の写真を撮ることが楽しみだったのに。これも北海道を取り巻く時代の流れというやつかもしれない。

 PENTAX K-1 MarkII HD PENTAX-D FA15-30mm1:2.8ED SDM WR パノラマ合成
北海道Tour19#4 2019/8/11(日)札友内→生田原 北海道網走郡津別町上里 津別峠展望台にて #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA

 ただ、ガスが出ていようが何だろうが展望台は展望台であり、自分では写真が撮れなくて残念なことより、今年もここまで来れたこと自体が嬉しくはある。碑で自転車写真が撮れなくなったことは、まあ2019年の出来事として仕方無いと思うしかない。

 PENTAX K-1 MarkII HD PENTAX-D FA15-30mm1:2.8ED SDM WR パノラマ合成
北海道Tour19#4 2019/8/11(日)札友内→生田原 北海道網走郡津別町上里 津別峠展望台にて #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA
   RICOH GRV GR18.3mm1:2.8

 汗が収まってみると、かなり寒さを感じる。いや、展望台に来た直後から寒さを感じていた。何も見えない灰色のガスを写真だけ撮り、早々に屋内に退散。2階でパンなど食べながら、自転車を置けなくなった津別峠の碑をぼんやり眺めてみたりしていたのであった。


 一向に雲は去る気配が無いので、8:55、展望台発。8時台の出発は、過去一番早い津別峠展望台出発じゃないかと思う。別にペースが速いわけじゃなく、単に鱒や出発時刻が早くて展望台滞在時間が短い、というだけの話ではある。

北海道Tour19#4 2019/8/11(日)札友内→生田原 北海道網走郡津別町上里 道道597 ふるさと林道分岐にて #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA

 津別峠まで下ると、やっとガスが晴れた。道道597を上里へ下り始めても周囲の稜線は相変わらず雲の中だが、少なくともこちら側では近くの山肌は明瞭に眺めることができた。

 明るい色の広葉樹が生い茂る山肌を、下りに任せてどんどん下ってゆく。2〜3段階ぐらいで気温はぐいぐい上がった。身体に当たる風が常識的な気温に上がって身体が緩む感覚に、いかに気温が低かったか理解できた。

 上里の谷間を下ってゆく間に、気温はどんどん上がっていった。

 RICOH GRV GR18.3mm1:2.8

 森の中に開けた道が続き、牧草地が、そして畑が現れ、やっと農家が登場。

 元上里小学校の森、上里の集落を過ぎて美都へ。だらだらの下り基調でも、軽く脚を動かすぐらいの経済走行で美都まで30km/h近くを維持できていた。

 未だ9時半前。時間が早いので気持ちはのんびり、落ちついて下れる。この余裕がツーリングには大切だ、とつくづく思う。

 谷の行く手が開け、豊原でやっと津別の市街が見えてきた。10:05、津別着。

 落ちついてのんびりと経済運転してきたつもりなのに、所要時間は普段とあまり変わらないのが面白いところだ。あまり立ち止まっていないのが効いているのかもしれない。
 とりあえず、いつもの町中セイコーマートで休憩とする。津別峠から下って来て、津別では毎回やや長めに休憩を取ることにしている。というかいつの間にか取ってしまっている。ところが今日は、まだあまり身体が落ちついていない。いい感じだ。思いの他津別に降りてきても雲は切れていないものの、今日は曇りでも何でもチミケップ湖に行きたい気分だ。
 旅程は今日で4日目になるのに、未だに朝から晩までまともに走れている日が1日も無い。今日は曲がりなりにもそういう1日走るようなコースを計画して、前半の山場を早めにこなせている。早めというより未だ10時台。多少曇っていようが、これでチミケップ湖に行かないなんて、やる気があるのかという話だよな。あるに決まってる。じゃ行くしか無い。


 ややそそくさと休憩を終えて10:30、津別発。
 去年より何と1時間半以上早く津別を出発できている。長らく1日でチミケップ湖の先まで行くような行程を組んでいないものの、津別発がこの時間ならチミケップ湖なんて楽勝だろうという安心感がある。

 本岐までは8km。国道236は意外にも交通量が少ない。時々路上の車が視界から途絶えるような瞬間もあルほどだ。谷間自体は開放感とメリハリに欠け、やや間延びした雰囲気ではあるものの、裏を返せばのんびりと気軽でもある。向かい風さえ無ければ、国道っぽい道をあまり何も考えずに本岐だけ目指して流す、そんな区間だ。ただまあ、車が通過するときはやはり速いし、そういうストレスは8kmの間に溜まってゆく。

 本岐に着いて道道494へ。と、分岐に訓子府方面が通行止めとの看板が建っていた。何、と思って文章を読む。通行止めの原因は崩落らしい。その場所ははっきりしないものの工事期間が来年まで続くようだ。しかし道道494はチミケップ湖までは通行できて、チミケップ湖から先は道道682で北見方面へ抜けられるようではある。
 もしこの看板の通りなら、留辺蘂までは予定コースの訓子府経由ではなく北見経由となる。熊が出そうなチミケップ湖から訓子府までのダート含み区間と、訓子府から相内までの丘陵越えは避けられる一方、チミケップ湖から最上まではやはり熊が出そうなダートであり、最上から北見へは昨年通った道だし、その先留辺蘂までずっと車が多い幹線国道36が立ちはだかる。のみならず、予定コースよりやや大回りだ。
 まあどっちもどっちなんだが、できれば静かな道の方がいいし、それだから訓子府経由で計画していたのだ。しかし今はとにかく、生田原夕方到着に向け、できることをするだけだ。通行止め看板の情報が古く、実際は通行可能なことを祈りつつ、先へ進もう。

 RICOH GRV GR18.3mm1:2.8

 3年振りともなると何だか久々みたいな、いや、隅々までいつも通りのような道道494。相変わらず車がかなり少なく、静かな道だ。

 2〜3年ほどチミケップ湖に泊まった年が続いたため、この道を今日の行程の最終段階だと思いながら午後早めに辿る機会が多かった。この時間に、チミケップ湖より先へ行くという気分が久々なのだ。どっちがいいというより、行程のバリエーションが多いことを純粋に有り難がるべきだろう。

 RICOH GRV GR18.3mm1:2.8

 気分が良いせいか、この静かな道で今日は熊を心配する気にならない。雲は低くてやや薄暗いものの、暑くなくて淡々とのんびりと、大変落ちついた行程になっている。こんなにのんびりしていて良いのかとも思う。何とまだ午前中なのだ。心配も吹き飛ぶというものである。

 RICOH GRV GR18.3mm1:2.8

 大分進んで、チミケップ湖まで3km弱のダート入口に、再び看板が登場。明確に「訓子府方面は通行止め」と書いてあるものの、それと別の看板に「大型車通行止め箇所はチミケップ湖手前の鹿鳴の滝周辺」と明記してある。大体どこだか想像が付く。そこを過ぎれば、その先はずっと通行可能なのかもしれない。2枚の看板を大変都合良く解釈すれば、自転車に通行に関しては問題無い可能性がある、とも思える。可能性が1%でもあれば、絶対に諦めないのが北斗神拳とデュエリストとナルトとツーリストだ。
 まあそんなに構えず、とりあえず先へ進んでみよう。

 RICOH GRV GR18.3mm1:2.8

 大型車通行止め箇所はやはり鹿鳴の滝の先っぽかった。ぽかった、というのは工事は完全に終わっていて、想像していた箇所に何となく工事直後感が漂っていたのだった。とすると、あの看板はまだ工事中であることを前提としたものかもしれない、という希望的観測が可能だ。

 RICOH GRV GR18.3mm1:2.8

 11:50、チミケップ湖着。やはり曇りだと、木々の間に臨む湖水は水面はやや鈍い金属色のような光沢である。この湖水が全て水銀か鉛だと思うと、気持ちもなんとなく盛り下がろうというものだ。ただ、手前の森の中の浅瀬は透明そのもの。30cmぐらいの魚が悠然と水中を漂い、森に囲まれた水面上には、マダラヤンマが嬉しそうに飛び回っているので、こちらも釣られて嬉しくなったりもする。
 二又からやって来る道道682は、今年は開通していた。二又からアプローチしても良かったかもしれない。等という妄想より、今はとにかくキャンプ場へ向かおう。

 静かな極上ダートも梢から響くチッチゼミの声も、何もかも皆懐かしい。

 チミケップホテルはもう通過してしまう。チミケップ湖で朝を迎えたくて、毎年泊まっていたこともあったし、送迎車など随分お世話にもなった。ただ、1泊3万のせいじゃなく、何となく自分には合わない空間と宿泊体験だったかもしれない。等と、つい2〜3年ぐらい前のことが他人事のように思い出される。

 12:05、キャンプ場着。自転車を湖畔の草地へ押してゆき、私的定位置の木の下へ。

北海道Tour19#4 2019/8/11(日)札友内→生田原 北海道網走郡津別町最上 チミケップ湖キャンプ場にて #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA

 今日のキャンプ場はテントが大変多い。幸い木の下は空いていたものの、何しろ3年振りのチミケップ湖。こんなに良いポジションが、空いているからと言って占拠して良いものなのか、ご家族の楽しい時間に割り込むような行為にならないか、何かと恐縮がちである。大丈夫、みんなのチミケップ湖じゃないか。

 PENTAX K-1 MarkII HD PENTAX-D FA15-30mm1:2.8ED SDM WR パノラマ合成
北海道Tour19#4 2019/8/11(日)札友内→生田原 北海道網走郡津別町最上 チミケップ湖キャンプ場にて #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA

 まずは湖の写真を撮り、レンズを交換していると、家族連れののお父さんが話しかけてくれた。ランドナーをご自宅の倉庫にしまい込んでいるそうだ。また、キャンプ場の管理人さんとも初めてお話しすることができた。この時間にチミケップ湖に来れているからこそ、お話しできたのかもしれない。管理人さんが湖岸のゴミを片付けているからこそ湖岸が清潔に保たれているのだと、さっきのお父さんも教えてくれていた。
 今年は湖水が少なめらしい。湖岸際に巨大なコンクリート杭頭のような玉砂利コンクリート面が見えていたのには驚いた。管理人さんによると。かつての木材切り出し場の名残らしい。北海道の山間の静かな湖にも、いろいろな歴史があるのだと思った。

 RICOH GRV GR18.3mm1:2.8
 RICOH GRV GR18.3mm1:2.8
 RICOH GRV GR18.3mm1:2.8

 チミケップ湖から訓子府方面は、やはりこの区間が通行止めになっているらしい。本岐で見かけた看板の「通行止め」「幅員2m以上は通行止め」については、 「2つめのは本岐側の崩落のことだ。あっちは工事終わったんじゃないかな。訓子府側は全面通行止めのはず」 ということだった。知りたいことが十分よくわかった。ならばこの後は多少遠回りだが道道682で最上へ、道道27で開成峠・北見経由だ。予定より距離は増えるものの、まだ12時台。一体何の問題があるのか、という位に時間がある。

北海道Tour19#4 2019/8/11(日)札友内→生田原 北海道網走郡津別町最上 チミケップ湖キャンプ場にて #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA

 というわけで、3年振りなのに終始曇りではあったものの、やはりチミケップ湖キャンプ場は大変楽しくステキな場所なのだった。

 RICOH GRV GR18.3mm1:2.8

 12:55、チミケップ湖キャンプ場発。

 最上へ出る道道682も自転車で通るのはずいぶん久しぶりである。何年か前にチミケップホテルから宿の送迎車やタクシーで北見へ向かった時に通ってはいる。

 ダートで丘を2つ越えるのも、丘2つというよりせいぜい換算1.5箇所ぐらいなのも、過去に自転車で北見方面へ向かったときの記憶通りで助かった。

 大雨さえ降っていなければ、ダート路面は道道494と同じように極上だし、今日みたいに時間さえたっぷりあれば、静かで涼しく楽しい道である。

 まあ、北海道の森で山に続いていれば、熊が出る可能性はある。

 ダートが舗装路面に替わり、もう少しトウキビ畑や牧草地の谷を下って道道27に合流。去年通った時に眺めたチミケップ湖方面から、1年振りにリベンジを果たしたような気分だ。

 RICOH GRV GR18.3mm1:2.8

 すぐに開成峠へ登りが始まるものの、せいぜい80m。
 13:35、開成峠通過。曇っていて去年より気温は多少低くても、やはり暑くて汗が噴き出す北見の峠である。

 下りなら開成橋へあっという間なのも去年と同じである。車も気にするほどの量ではない。下る分にはびゅんびゅん風景が過ぎてゆき、登り方向で感じた単調な印象は全く無い。あまり毛嫌いするような道でもないなと思えた。

   RICOH GRV GR18.3mm1:2.8

 14:05、開成橋着。
 去年は狙い定めて選んだ北見市街区間のGPSトラックを組んだものの、意外に普通の市街地外れっぽい風景が続いた。今回は昨日コースを組んだときにこちらを通るつもりじゃなかったので、北見を通るトラックを準備していない。このため、北見市街の外れを、西側の丘陵を避けつつ地形図と現実の地形を見ながら道を選び、東相内へ向かう。
 冴えない曇り空のせいもあるのか、道もやや古びてがらんと物寂しく味気ない市街も、どこか取り付く島の無さを感じさせる雰囲気である。この雰囲気、なんだか北見市街独特の味わいであるようにも思う。単なる先入観かもしれない。

 14:30、東相内で国道39合流。いよいよ全行程中際だって一番のど幹線国道である。当然のように交通量は多く、道端にはロードサイド店舗や屋外系店舗が並び、路側帯を走る自転車の50cm〜1m脇を大型車やライトバンが高速でばんばん通り過ぎ、轟音と塵埃を叩き付ける。建造物と恐怖が、気分をひたすら単調にする。北見は通過するのに毎回気疲れする街だ。今回は曇り空で更に灰色っぽい景色とともに、やや強めの向かい風で気分が更に盛り下がっている。

 この区間、裏道でも大なり小なり交通量が多くて落ち着かない。裏道がもう少し田舎っぽくなるのは、もう少し進んだ相内辺りからだ。更に大回りの置戸の谷間は、大回りの分の距離とこちらに戻るときに丘陵越えで標高差200mぐらいがプラスになる。そっちに行かないなら、黙ってここで留辺蘂まで24km、1時間強我慢するしかないのだ。1時間強か。しんどいな。
 気分が単調なので、過去の訪問のことばかりを思い出し、時が過ぎるのを待つ。最初に通った時は、追い風に乗って留辺蘂まで50分で行っちゃったな、あの頃は20代前半、しかもナイトランになりかけて泡を食っていたからなあ。

 向かい風のせいで、相内まで結構時間がかかって疲れた。相内から車線がやっと片側1つづつになり、辺りに畑が続き始め、車も減ってきた。チミケップ湖から道道494が通れて訓子府経由だったら、国道39は相内からの経由であり、行程全体の印象は違うはずだった。まあしかし、所詮は同じ盆地の同じ道である。随分ましだというだけで、落ち着きの無さは変わらないことも確かではある。とにかく、脚を回して留辺蘂に辿りつく必要があるのだ。

 15:30、留辺蘂着。国道39沿いのセイコーマートへ。一昨年から使い始めた旧市街のセイコーマートだと、津辺蘂を通過するのに何だか時間が掛かるような気がしていた。それにこちらにはHotchefもあるしね。しかしこちらも国道39が市街地を迂回するだけあり、意外に時間は掛かったように思えた。向かい風もますます強まっていたし、素直に旧市街の店に行った方が良かったかもしれない。
 セイコーマートに着いても、実際にはHotchefで何かを仕入れることは無い。携行物資はまだ十分にあるし、休憩は軽めでいい。国道39区間が終わる区切りでセイコーマートに行くこと自体が目的であり、何となくセイコーマートだというだけで安心できたのだった。

 15:50、留辺蘂発。

 金華峠越え区間は10数km、登りはたったの標高差200m未満。坂として何か怖ろしいような要素は何も無い。天気は相変わらず曇りだが、谷が狭くなって強風は止み、雨が降る気配は全く無い。

 金華駅跡が意外に早く登場した。今日みたいに余裕のある日には、SL撮影時代から有名な常紋峠で有名な金華という駅を一度表敬訪問してもいいのかなとも思う。しかい廃屋となった駅は物寂しいだけかもしれないという気もするし、自分に関係のない場所に対して必要以上に感傷的になるのも何だか偽善的な気がして、今日も森の向こうの駅舎をちらっと一瞬眺めるに留めておく。

 集落も牧草地も無い森と茂みだけの谷間でも、国道242はさすがに国道だけあって、野生動物を心配しない最小限程度に車は通っていた。単調な風景に単調な線形、安心感と表裏一体のやや退屈さ、それでも国道36よりは随分通りやすい道である。

 斜度が7%になるのはせいぜい峠の手前だけ。金華峠の稜線へと登ってゆく道から、森の隙間に分かれてゆく谷間が見下ろせる。大伐採の産物か、谷間に拡がる草むらの茂みに金華峠の南側で唯一拡がりが感じられ、楽しみな場所である。ここまで来たら、もう次のカーブが金華峠だ。

 峠の先は生田原までもう下るだけ。

 谷間が拡がって森が畑になり、更に谷間が拡がって、行く手の山の向こうが開け始め、生田原の北部に到着。

 右側の山の向こうから石北本線が谷間に降りてきて、市街地が見えてきた。経済走行でも追い風アシストが効いていたためか、いつものペースが出ていたようだった。

 まあ、自分のツーリングで平常心で走っているから、あまり大きく結果が変わることも無いんだろうな。

 RICOH GRV GR18.3mm1:2.8

 17:05、生田原セイコーマート着。明日は仁宇布へ向かう。走れる場合は早朝に出発する必要があるので、今ここで朝食物資を買い込んでおく必要がある。Hotchefは無いものの、今日の宿ホテルノースキングの部屋に湯沸かしポットがあるので、朝食にはカップ麺を食べることができる。
 そこで店に入る前に明日の天気予報を確認しておく。すると、下川町と美深町の午後は相変わらず曇りなのに、降水確率が50〜60%に変わっていた。曇りなのに降水確率50〜60%とは不思議な予報だ。でも、とにかく降水確率50〜60%、市街地を外れたら確実に降ると考えていいだろう。市街地で曇りだと思って谷間に進んで降られるというありがちパターンに対して、こういう予報は言い得て妙であるようにも思われる。今朝から悩ましかった明日の行程は、すっきり諦めることができた。
 明日は美深まで輪行なら、生田原発は9時過ぎの大雪だ。それより早い大雪2で生田原を出ても、旭川から先、美深に向かう列車が無いし、旭川到着時刻もやや早すぎて街中では何もできないだろう。それならホテルノースキングで朝食を頂いてから、落ちついて大雪4で旭川に向かえばいい。
 朝食はまだ予約していないので、この後ホテルでお願いしよう。輪行なら、今明日の物資をあまり買い込む必要は無い。しかし明後日、仁宇布で朝食を食べることはできても、仁宇布から歌登までは商店が無いため、明後日用にパンぐらいは買っておく必要がある。食べないと人間はくたばってしまうのだ。不足不満無く食べられる私の旅、今日も美味しく食事できる場所に辿り着けたこと、そして曲がりなりにも旅程が道東からオホーツク内陸区間へ推移している実感が、大変有り難く嬉しい。

 17:25、生田原温泉ホテルノースキング着。温泉で汗を流してゆっくりしてから18時半、夕食へ。
 宿泊セット、ホテルの名前が付いた幕の内風「ノースキング御膳」は、さすが手堅く満遍無く、質も量も何の不足も無く美味しいんだが、他の単品メニューが更に魅力的すぎて困る。来年はレストランでアラカルトにしよう、と思った。

記 2019/11/13

#4-2へ進む    #4-1へ戻る    北海道Tour19夏 indexへ    北海道Tour indexへ    自転車ツーリングの記録へ    Topへ

Last Update 2020/2/2
ご意見などございましたら、E-Mailにてお寄せ下さい。
Copyright(c) 2002-20 Daisuke Takachi All rights reserved.