朱鞠内湖
(以下#12-2)
→母子里
(以下#12-3)
→下川
(以下#12-4)
→上幌内
(以下#12-5)
→仁宇布
109km
RIDE WITH GPS
5時。窓の外の空は明るくなっているようだ。布団の外は寒い。東京ではまだ日中30℃台当たり前だというのに、流石に道北の山間だ。
次に外を眺めたときには森に夜明けの白い霧が漂り、雲海になっていた。その上の空が澄み切っているのはよくわかった。それでも、とにかくまだ寒いというのが第一印象の、朱鞠内湖畔の早朝だった。
北海道Tour19秋#12 2019/9/21(土)朱鞠内湖→仁宇布 北海道雨竜郡幌加内町朱鞠内 レークハウスしゅまりないより朱鞠内湖を望む #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA |
6:45に朝食開始。朝食をきっちり食べて行動できるのが、宿泊ツーリングの有り難いところだ。
北海道Tour19秋#12 2019/9/21(土)朱鞠内湖→仁宇布 北海道雨竜郡幌加内町朱鞠内 レークハウスしゅまりない前 #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA |
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北海道Tour19秋#12 2019/9/21(土)朱鞠内湖→仁宇布 北海道雨竜郡幌加内町朱鞠内湖畔 #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA |
食後に部屋に戻ってもう一度湖を見ると、霧はすっかり晴れていた。空はますます雲一つ無く真っ青、もの凄い快晴だ。そして空を映した朱鞠内湖が真っ青、湖岸の森がまた青い影になっている。これはいいぞ。今日は行程上で風景が期待できる。
もう少し眺めの良さそうな空き部屋の、バルコニーから別の方向を眺めたりしてみた。外の空気が、暖房の効いている室内やこの時間の東京からは想像がつかないほど冷え込んでいる。かなり冷え込んでいるのに、陽差しはかなり強烈である。そういうところがやはり北海道らしい。晴れると秋でもこうなのだ、と思った。
あまり早く出発しても寒いだけだろう。出発はいいとこ8時ぐらいが適切ではないのか、という意図で7:40から出発準備を開始。昨日と同じくやはりサドルバッグに追加のレンズケースでやや手間取ったり、昨日と違って日焼け止めを塗りたくったり、地図を準備し直したり。余裕を見込んだつもりでも何かと時間が掛かり最後は焦り気味になってしまった。
空はもう真っ青でものすごい青濃度、陽差しがさっきにも増して強烈である。ただ、やはり夏のようには暑くない。しばらく行動するのにフリースが必要だ。などと思いながら、結局8:00に出発することができた。
昨日湖畔から登ってきた道を一旦下り始めたものの、また引き返すことにした。やはり朱鞠内湖を見ておかねば。少しでいいから。
北海道Tour19秋#12 2019/9/21(土)朱鞠内湖→仁宇布 北海道雨竜郡幌加内町朱鞠内湖畔 #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA |
1985年の夏から湖畔の「しゅまりの宿」に訪れるようになっていた私は、1986年の夏、「しゅまりの宿」のボート綱引きチームとして朱鞠内湖に連れて行っていただいた。1回戦敗退だった。翌年夏もボートに乗りに行き、1988年の2月には宿のツアーでワカサギ釣りに訪れ、湖面の氷上で数時間釣りをした。どれも曇りの日だったせいか、朱鞠内湖の印象はまあごく普通のどろんとした湖であり、むしろやや殺風景な印象すら残っている。
今、目の前には真っ青な空を鏡のように映した真っ青な湖面が広々と、というより堂々と、そして液体金属のようになみなみと静かに、対岸の山の裾まで拡がっている。その空間感覚には迫力すらある。さすが日本最大の人造湖だけあるね。足下からは緑の芝生、その先が浜辺になって湖へ一続きに下っている。
北海道Tour19秋#12 2019/9/21(土)朱鞠内湖→仁宇布 北海道雨竜郡幌加内町朱鞠内湖畔 #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA |
しばらく立ち尽くした後、もっと湖面に近づいてみた。
砂浜の岸辺には小さな桟橋、ボートが仰向けになって並んでいる。もう少し上には乗用車が何台か、恐らく釣り客だろう。30年前から、朱鞠内湖のワカサギ佃煮がとても香ばしくて美味しいのは知っていた。昨日朱鞠内でもレークハウスでも可能なら買いたい気はあったのだが、朱鞠内ではお店が開いていなかったし、レークハウスでは酔っ払っちゃったし、そもそもバッグに全く余裕が無い。
遠くの対岸は丘と低山に囲まれている。見えている範囲の森に、人の営みを感じさせるような要素は無い。何か切り立ったり激しく隆起したりとかではない比較的穏やかな地形ではあるものの、近寄りがたい山深さが際立っている。それは昨日眺めた添牛内の奧羽幌の山々や美深峠の北側谷間の眺めと共通した印象だ。
1980年代後半から朱鞠内湖畔に訪れていなかったことを後悔していた。
その頃、立ち枯れの木が朱鞠内湖の代名詞ですらあった。あと20年もしたら朱鞠内湖から立ち枯れは1本も無くなっているだろう、などと昔聞いた通りの風景になったのが2000年代中後半、それから既に10年以上。また来るのに随分時間が掛かってしまったと思う。その間訪れていた近くの母子里では、良い思い出を一杯頂いているのに。
いや、朱鞠内湖にはこの眺めを期待していなかった。夏冬2回来て、何となくわかった気分になっちゃっていたのかもしれない。いつも余裕無く先を急ぎすぎていたかもしれない。とにかく、こういう風景を見逃してしまったのは事実である。自分の旅として朱鞠内湖のこの風景に出会うのに、30年以上かかったのだ。
気が付くともう8:30。もう少し早めに出発すれば良かった。でも今日も、見るべきものを見逃さずに悔いの無い1日にしよう。折角秋にやって来たのだから。朱鞠内湖の風景が、この先の旅程を路線付けてくれたような気がした。
再び宿の前を通って朱鞠内方面へ、湖畔から道道528へ。
朱鞠内へ戻る前にもう1箇所。1986年に1泊アルバイトさせていただいた高山牧場へ再訪しておきたい。あの時はしゅまりの宿から車で1〜2分だったか。よく覚えていないものの、そう遠くないというよりすぐ近くのはず。
道道528の宇津内湖方面へ。長年名羽未成線のトンネルが茂みに埋もれている未開通区間の実態は気になる。などと考えていたら、分岐から最初の牧場はすぐに現れた。距離感的にここが高山牧場っぽいように思う。でも確信は無い。
風景だけ眺めて戻ろうかなと思っていたら、農家から30台ぐらいの方が出てきた。軽トラに乗り込もうとしていたその方に伺ってみると、まさにその方のお名前が高山さん。その方は30年前、まだ小さいお子さんだったのだろうとご自分で仰っていた。かつての牧場バイトの方が何十年かぶりに再訪されることが時々あるとのことで、今お父様もご在宅、とのこと。大変嬉しいお申し出だったものの、何しろこちらは30年も前のたった1泊で30年振り。静かな朝をお邪魔しては申し訳ないので、そのまま先へ進むことにした。
北海道Tour19秋#12 2019/9/21(土)朱鞠内湖→仁宇布 北海道雨竜郡幌加内町湖畔 道道528 #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA |
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道端から草地の向こうに2泊したことがある「蕎麦の花」、今日はあまり人気が無くひっそりした元「しゅまりの宿」を眺めて湖畔を後に。レークハウスしゅまりない、またいつか来よう。
記 2020/1/31
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