北海道Tour19#11
2019/9/20(金)旭川空港→朱鞠内湖-4

旭川空港→旭川 (以上#11-1)
→江丹別 (以上#11-2)
→幌加内
(以上#11-3)
→朱鞠内湖  105km  RIDE WITH GPS

A地点からC経由でB地点へ 赤は本日の経路
ニューサイ写真 RICOH GRV GR18.3mm1:2.8

 

 幌加内から道は国道275だ。町中を過ぎ、農協の蕎麦粉工場を過ぎると、空が更に薄暗く、しかも薄ら寒い向かい風が吹き始めた。何だか早くお風呂に入りたい。そもそも、今日の行程は幌加内で留めときゃ良かったな、と思った。少しだけ、いや、結構。でも、暗くなるまでには朱鞠内には着けるだろうとも思う。あと2時間ぐらいか。

 雨煙別で盆地から谷間に入り、空気通の水分が再び雨っぽくなった。雨はすぐ止んだものの、路面はもはや黒々ぬらぬら。山が迫って空が狭いためか、辺りはますます暗い。その先しばらく、谷が少し狭くなると空気中の湿気はすぐ雨に変わった。国道275は夏より遙かに車は少ないものの、もう気分が何だか落ち着かなくて仕方が無い。それでも下るとじれったい単調な山間の道は、登り方向で自分で脚を回していると時間の経過が早く感じるのは助かる。ごろごろしてると1日長いけどサイクリングしているとすぐ時間が経って夕方になるもんね。

 走っている間にこういうことを考え始めるのは、道か行程が単調なときだ。単調というより、辺りがこんなに暗くて必要以上に気が急いて、焦っているかもしれない。

 雨煙別から続いた谷間が政和の盆地へ出たところで、15:25、道の駅ほろかない・政和温泉ルオント着。
 ちょうど降り始めた小雨から逃げ、道の駅の狭い軒下に自転車を停めて売店の中に入る。秋の15時半、中の蕎麦屋はもう終わっていて、客は私の他に1人だけだ。ここは宿まで最後の補給地点のはず。必要は無くてもソフトとコーヒーをいただいておく。いや、必要が無いわけじゃなくてコーヒーの温かさが有り難いいぐらい空気が肌寒い。肌寒いとは言え未だに下はレーパンいっちょで行けていて、ソフトが食べたくなるぐらいに汗をかいてもいる。さっき拓北でソフトを見送ったのも、ソフトを食べたい理由かもしれない。

 15:45、ルオント発。さっきの小雨はもう上がっていたものの、周囲は相変わらずやや薄暗い。空には青空がある程度見えているが、雲が低い部分もある。陽差しがその雲に隠れているために、全体的に風景の明るさは夕方そのものだ。それも、宿に着いてしまいたくて仕方無い、何だか心細い秋〜冬の夕方だ。

北海道Tour19#11 2019/9/20(金)旭川空港→朱鞠内湖 北海道雨竜郡幌加内町政和 国道275 #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA

 焦る必要は無い。雨が降っても短いだろうし、もう政和まで辿り着けている。ここまで来たらあと20数km、1・2時間強脚を回すだけだ。2時間も掛からないだろう。

 政和では再び谷間に盆地が拡がり、弱いながらも向かい風が復活した。国道275沿いの集落には意外にも自販機がみられた。道の駅でコーヒーを飲んだばかりでも、手っ取り早く暖かいものにありつきたい。でもしかし深刻に寒いわけじゃない。結局立ち止まるには至らず、政和の盆地上手から蕎麦畑の展望台へ、淡々と脚を進めてゆく。

A地点からC経由でB地点へ 赤は本日の経路

 もう夏じゃないから展望台のお店は営業していない。そしてここでも、自販機に立ち寄るまでに至らない。結局、今自分は何となくどこかに着きたい気がしているだけで、実際にあまり差し迫った補給の必要は無いのである。

 添牛内の台地に上がると、急に路面が乾き始めた。空の雲が目立って切れ始め、澄んだ夕方の空が面積を増やし、辺りは多少明るくなり始めた。

 RICOH GRV GR18.3mm1:2.8

 ただ、太陽は既に西側の山にすっかり隠れていて、澄んだ空により辺りは明るくなっているのであった。東側の羽幌奥地の山々をはじめ、風景が青い影に沈みつつある。前回この向きでこの道を通ったのは確か1999年。この辺は17時頃だったかもしれない。この辺の、夕陽が当たった白樺林を眺めながら焦っていたんだった。その日母子里に着いたのは19時半過ぎ、宿に迷惑を掛けたんだったな。

 RICOH GRV GR18.3mm1:2.8

 添牛内で国道275は国道239に合流、3〜4km先の北星でまた国道239と離れ、雨竜川沿いの谷間を朱鞠内まであと8km。

A地点からC経由でB地点へ 赤は本日の経路

 突如夕陽が眩しく射し始めた。天気予報の夕方以降、晴れ予報の時間帯がやってきたのだ。

 RICOH GRV GR18.3mm1:2.8

 陽差しは眩しいものの、辺りは少しづつ確実に薄暗くなってゆく。いつも国道275では朱鞠内湖沿いの森と添牛内・幌加内のソバ畑の印象が強く、その挟間のこの辺は、どちらかと言えば印象が薄い。だが8kmともなると、それなりに距離はある。

 「出る」と噂の朱鞠内手前のトンネルが、何だか今日は懐かしい。何かが出ても茂みからヒグマが出るほど怖くないだろう。それに自転車でこれだけ交通量が少ない道をずっと辿っていると、何だか誰かに会いたい気もする。わざわざ出てくるのは、きっと悪い奴じゃないよな。

 

 トンネルから意外に距離はあったものの、やっと朱鞠内の営みが見えてきた。こうして幌加内からずっと北上してくると、山間とはいえやはりさすがの集落である。
 17:00、朱鞠内着。自販機でコーヒーだけ飲んで、そのまま出発。もうすぐ宿だ。

 久しぶりの湖畔である。「湖畔」というのは、実際の朱鞠内湖畔よりずっと手前の、盆地の地名である。

 前回訪れたのがいつ頃だったかすぐ思い出せない程久しぶり(2004年だった)に丘を乗りこえ、昔建っていた円形小学校のイメージを継承して新築された宿泊研修施設「のどか」、元しゅまりの宿を横目に眺め、朱鞠内湖縁、低山の森へ。

A地点からC経由でB地点へ 赤は本日の経路

 17:15、レークハウスしゅまりない着。朱鞠内から意外に近い。明るい内に着くことができ、周囲の雰囲気はよくわかるのだが、ここは1986年の夏、1988年の冬以来の訪問である。その時は、湖畔にあったしゅまりの宿から車で連れてきて頂いたのだ。自転車で訪れるのは初めてであり、少なくともキャンプ場施設が大分今風の佇まいである。
 予約時に、自転車は別棟の倉庫に置く旨を聞いていたが、宿に入ると別グループのロードバイクが宿の中に何台か置かれていたので、こちらも大手を振って宿の中に停めさせて頂くことにした。この後知ったことだが、置いてあった自転車の持ち主は外人の団体さんだった。夕食地に隣り合わせたそのお客さんの構成は、外国人サイクリスト5人に日本人2人、更にアテンダント1人。どうもJTBのサイクリングツアーみたいだった。こういうツーリングもあるのだ。
荷物を置いてすぐ風呂に入ると、結構身体が冷えていたことに改めて気が付いた。というより、無事に到着できた安心感と共に身体がほどけてゆくのが、秋冬ツーリングならではの幸せである。

 夕食では予約時に勧められたダッチオーブン料理が、期待を超えた絶品だった。大きな鶏もも、フランクソーセージ、ごろんと大きな野菜が大変美味しい。調子に乗って生ジョッキも2杯。ちなみにサッポロクラシックの生である。

北海道Tour19#11 2019/9/20(金)旭川空港→朱鞠内湖 北海道雨竜郡幌加内町朱鞠内湖 レークハウスしゅまりないにて #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA

 こうしていると、つくづく雨だった今日1日、いや、僅か数時間前を思い出す。寒くて薄暗かったものの、自走して到着できたお陰で、こんなにステキな夜が私を待っていてくれたのだった。

記 2020/1/27

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Last Update 2020/2/29
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