紀伊半島Tour18#5
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近露→中辺路町栗栖川
(以上#5-1)
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日高川沿いの細道区間が始まるとともに、道端の空間と時間が身体を包むツーリングの時間が帰ってきた。
広瀬の集落はすぐに途切れ、国道425の新道をオーバークロスした後、細道は曲がりくねった深い谷間の川岸へ降りてゆく。道端には林道っぽい看板が出ているものの、路側帯に細道系国道によくみられる白ラインが描かれているので、元国道なのではないかと思わせられる。でも、この道が元国道でなくても別に構わない。この狭く切り立った谷間で、この道が昔から使われている道なのは間違い無いことだろう。
激しく曲がりくねる谷の森の中、川縁に続く道は完全に平坦という訳でもなく、しばしば20m前後の登って下ってがある。しかし全体としては岸のどこかを乗り越えたりせず、谷間がいきなり急降下し始めることも無く、至って静かに穏やかに途切れること無く、細道は続いてゆく。
この辺りの日高川は、いかにも山の川っぽい青緑色の淵が印象的だ。水はまあまあ透明であるものの、流石にこれだけ流域に集落が続いていると、同じ中流域でも日置川や古座川や北山川等のよに水は清らかという程ではない。川底には異物もみられる。
紀伊半島Tour18#5 2018/5/1 近露→御坊 広瀬→原 #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA |
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渓流というにはやや広い川原は石が主役で、時々荒々しく大きな岩場や見応えのある岩畳も見られるものの、基本的には絶えず石の川原が続いている。
川原を挟む両側の山はあまり高くないが、裾が切り立って上の方が丸く木々が生い茂る、紀伊半島でよく見られる岸辺の山々だ。時々、対岸への吊橋が現れた。
川沿いから100m前後ぐらいの山を越えて次の谷へ移ったり、山の向こうへ向かう道も、その道沿いに眺めが楽しそうな集落が点在していることも、地形図では見かけていた。今日は岸辺をコンプリートで通るべく、極力岸辺に続く道を、そして両岸に道がある場合は、静かで穏当そうな方を選んでGPSトラックを組んでいるので、おとなしくトラック通り徹底的に川岸に脚を進めることにする。
道は日高川とともに谷底をくねくねぐるぐる回り、原で森の中から川岸の集落へ。
岸辺が拡がった応地の集落から、細い橋を、すぐに新道の国道425を渡って北野の集落へ。
拡幅新道の国道425が対岸のトンネルから日高川を橋で渡ってこちらに渡り、また山肌のトンネルに飛び込んでゆく。手持ちの地形図「川原河」では、北野からこちの細道に国道指定の色が付いている。
また集落の外れから森へ、そして次の芝、津越の集落へ。狭い平地に畑、集落、学校が展開し、集落から森へ、また集落へ、田圃に畑、農家、小中学校や自販機、時々郵便局、農協、萬屋。路側帯の白ラインが続くこちらの道で集落が途切れると、対岸が集落に変わったり、どこかの山中から細道が合流したりまた分岐していったり。
大きく曲がりくねるこちらの道は、しばらく進んでも地図上の位置は意外な程変わらない。谷間が曲がりくねっているため、似たような場所で距離を稼いでいるのだ。御坊までこういう道を辿る状態ではあるものの、ルートラボにより全体の距離は把握できているので、今日の行程に心配は無い。
津越で日高川と国道425新道を渡り、鍛冶ヶ谷でまたもや対岸へ渡ってゆく国道425新道と交叉。こちらは細道のまま森の中を対岸の新道と日高川を挟んで谷間に続いてゆく。
拡幅別ルート化が進んだ国道425の、山と谷を突き抜けてゆく豪快さには、長い間この谷間の交通を阻んできた谷間の屈曲や岸辺の山坂が、現代の土木技術によりやっと克服されたことが感じられる。交通量が増えて車の排気ガスが谷間の空気に混ざったり、車が通る音が谷間に響いたりはするものの、土木技術そのものは谷間の何かをそれほど破壊している訳ではない。
新道の道路空間には大型車・乗用車が高速で通り過ぎ、こちらには生活空間が続いている。しかし新道と旧道は同じ谷の新旧の道であり、道が二つあるからこそ私もこの場所に来れているのだ。
ということを、実際に谷に来れて初めて実感できていた。
方栗で対岸の道が途絶え、次の集落本村で国道425・424に合流。
しばし新道を経由した後、小屋谷口で再び対岸の細道へ。
紀伊半島Tour18#5 2018/5/1 近露→御坊 国道424・425 金比羅橋 #theta36 0 - Spherical Image - RICOH THETA |
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前回2015年に小家まで通ったときは曇りだったためか、一度通った筈の道の風景に全く気付かないまま、2015年の既済区間が終了。
記 2018/6/9