紀伊半島Tour18#5
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近露→中辺路町栗栖川
(以上#5-1)
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栗栖川南端の覗で、おもむろに県道198へ分岐。
龍神村までは鍛冶屋川沿いの狭い谷間を9km強、登りは240mぐらい。最後に山間の県道トンネルにしちゃだいぶ長い全長2300mの水上栃谷トンネルがある。
この水上栃谷トンネルも、長年興味津々だった。最初は昔のツーリングマップルだった。くねくね山間をのたうち回る日高川から分岐して、いきなりまっすぐな直線と曲線だけの道が、等高線が入り組んで詰まってどこが何なのかよくわからない山中に描かれていたのだ。そのため、実態が想像しにくい図柄と、「水上栃谷」という漢字4文字の名前をセットで印象づけられてしまった。その後地形図を見て、状況のイメージは何とかできるようになった。
実は紀伊半島には他にもこういう道がある。国道311の尾鷲市海岸沿い、それまでくねくね海岸沿いに続いていた道が、いきなり拡幅されてトンネルと橋で山中をショートカットしてしまうのだ。十津川村の十津川街道新道区間もそうだ。どこも現地では、地図で見ていないと全く意識しない程スムーズに通過できてしまう。道路設計とか土木技術とか、あるいはそういうものを詳しく見せてしまう地形図は、大したものだと思う。
県道198は序盤から谷間をぐいぐい登り始めた。先行きがやや心配になるものの、斜度はすぐに5%〜それ以下程度に落ちついた。でもそれぐらいの坂でも、悲しいことに私のペースはてきめんに落ちてしまうのだった。
広めで今風の道には、やはりそう多くないながらも県道なりに車がいる。小皆、船原、熊野川辺りまで、道は狭めのくねくね曲がる谷間を、法面やら橋やトンネルで突っ切ったり飛び越えてゆく。
周囲は山の中だし谷間も比較的狭いのに、谷間の狭さと広い道しか印象に残らず、周りの風景はあまり身近に感じられない、ちょっと不思議なタイプの道だ。よく見ると、橋で入り組んだ山肌の小さい谷を豪快にダイナミックにばんばん越えてたりしていて、一昨日の瀞峡トンネルみたいに下りで通ると、もう少しそういう所を細かく眺めることができるのかもしれない。しかし、日高川の谷で海岸沿いに出ることが今日の最重要ミッションなので、今日近露を出発して水上栃谷トンネルを通るためには、この道を登り方向で通る必要があるのだ。
沢、向垣内辺りになると、それまで谷底にあって道から見えにくかった鍛治屋川と集落の雰囲気が、やっと視界に入ってきたように思えた。それでも、道幅がそこそこ広くて車がいて、やはり全体的に何となく他人行儀でどこか落ち着けない道だ。いや、車の量は普通に少ないと言って構わないかもしれない。
辺りの風景は緑一杯で、初日の三瀬谷辺りより余程落ちつく道であるようにも思われる。それに広い道であっても、国道169の下北山村七色貯水池〜小森貯水池辺りは、車が極端に少なくてなかなか落ち着けるのだし。まあ、今回は細道の数々の印象が強烈すぎたかもしれない。
聳え立つ山肌に真正面から穿たれたような水上栃谷トンネルの入口で、登りがほぼ終わった。実際の水上栃谷トンネルに、地図で見たような線形の違和感は全く無い。そしてトンネルを通っている間はコンクリート壁にナトリウム灯の光が続き、外界の日差しや生命溢れる緑の世界とは全く異なる、人工物だけの世界である。空気がひんやりしているのも、異次元感覚を盛り上げる。これこそが、違和感のある地図表現で読み取るべきものなのかもしれない。
8:55、栃谷着。
水上栃谷トンネルの出口から外界に放り出されるように龍神村側に抜けた途端、県道29と合流。県道29は以前、この近くの安井から紀伊田辺までバスに乗った時に通ったことがある。その時には、拡幅された国道425から集落の中へ、まるで民家の軒先に車体が接しそうな旧道細道を辿ってゆく路線バスに感心し、いつかこの旧道を辿ってみたいと思っていたのだ。
いきなりの交差点から道がすぐ曲がって登って日高川の谷間へ下って、方向感覚が非常に掴みにくい。こういう時にGPSトラックがあって非常に助かる。
拡幅新道になっている国道425を少し経由し、細い鉄骨トラス橋梁の細道橋梁を渡って対岸の広瀬の、集落の生活道のような細道へ。
紀伊半島Tour18#5 2018/5/1 近露→御坊 広瀬 #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA |
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記 2018/6/9