紀伊半島Tour18#3
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湯ノ又→牛廻越
(以上#3-1)
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上葛川への登りは、やはり昨日下ってびびった通りの斜度の凄い坂だった。
インナーローでやり過ごすつもりでのんびり登り始めたが、朝の牛廻越よりかなり気温が上がっていて暑いのにはやや閉口した。
岩場を半分ぐらい登ったところでやっと木陰が現れてくれた。助かった。
岩場から山肌への折り返し辺りから、昨日見慣れた石楠花祭りの幟が見え始めた。まもなく葛川隧道への分岐の青看板が登場。
村道へ分岐してからすぐ葛川隧道と思っていたのだが、そう思っていると意外に距離があるような気はした。何しろ15年ぶりの訪問、完全に思い出が美しくなってしまったのかもしれない。期待(希望)が過度だったのかもしれない。道自体はいい感じに涼しげな木陰の峠道だし、葛川隧道手前では周囲が開け、相対する山と谷が見渡せる。
13:25、葛川トンネル着。
紀伊半島Tour18#3 2018/4/29 湯ノ又→小口 葛川トンネル 国道425側 #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA |
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大型車ほぼ1台分の狭さにしては長さ400m弱とそこそこ長い。もっと長いトンネルで低い位置だといいのに、等とトンネルの現地ではいつもそう思う。訪問を計画する時はまったく逆のことを考えているのに、勝手だねほんとに。でも勝手な妄想とは別に、ひんやりとした空気が火照った身体を冷ましてくれる。
トンネルの向こう側は、しばし杉の木立のきりもみ急降下。森のジェットコースターの向こうに何となく屋根が見え始め、放り出されるように上葛川の集落に到着。
昨日の国道425、水平区間終端の森林自然公園辺りも上葛川という地名だった。実は山の向こう側のこちらが、地名の本家なのである。
紀伊半島Tour18#3 2018/4/29 湯ノ又→小口 上葛川 #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA |
見下ろす上葛川は、絵に描いたような山岳斜面集落だ。午前中に訪れた牛廻越の迫西川に比べて斜面が急で、谷間空間と集落の範囲が狭いように思う。
15年ぶりの訪問は、どういう順番でどういう風景が登場するのかは記憶に無いものの、ふと脚を停めた場所で15年前の写真と全く同じアングルの風景を眺めることができ、「あ、ここなのか」などと何だか少し嬉しくなってくる。
杉の森、広葉樹林、断続する集落、村道は延々と山中を下ってゆく。
途中、崩落工事箇所が登場した。崩落の影響か伐採した斜面が崩壊したのか、切り立つ斜面全体がすかっと開け、その下の道に土砂が崩落していたようだ。道の外側が多少崩れて欠け、少し狭くなった道幅は辛うじて車1台分。ガードレールも無く、真っ逆さまの渓谷があっけらかんと開放的に開けている。
紀伊半島Tour18#3 2018/4/29 湯ノ又→小口 下葛川→神山 土砂崩落普及工事箇所 #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA |
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通行止めではなかったものの、お尻から背骨がむずむずするような怖さを感じつつ、そろそろ通り過ぎる。ここ3日間こんな所ばっかりだ。まあ好き好んでこういう道を通っているのだが。
やっと谷底に下りきり、そうかと思うと谷底の葛川がまた更に落ち込むいつもの展開が続くうち、流石にこの山深い谷も高度が下って幅が拡がってきた。いつの間にか道幅が少し拡がると、むしろ高く聳えた高く聳えた山に挟まれた深い谷を意識する。そろそろ国道169と合流のはず、地図でも見ようかな、と思ったところで突如13:50、国道169に合流。
というより、気が付いたらいつの間にか目の前に国道169があった。な、何だこれは。
国道169の左側にはトンネルがあり、「東野トンネル」という銘板が。あ、これ思い出したぞ。前回2003年にこの道を通り、いつの間にか国道169新道と合流した時と同じだ。その時は例によって時間がやや押していて、しかも宿に向かう必要があるので、「ここが地図のどこなのか」より「どちらに進めばいいのか」の方がテーマとしては重要だった。また、私の手持ち1/5万地形図「十津川」には100m位下の瀞峡沿い旧道しか載っていないので、この新道と交差点がどういう形で合流しているのかは読み取れない。このため、東野トンネル近くの合流点を、帰ってからツーリングマップルのやや粗い地図で場所だけ確認しただけだった。
2018年の今、同じ場所に自分はいる。GPSトラックからは少しも離れていないし、道の線形もGPSの地形図画像通りで何も疑う所は無い。
と思って少し逆戻りすると、50mも戻らないうちに辺りがすぐ今まで下って来た通りの風景に変わった。そのままもう一度合流点まで戻ると、カーブの正面側補強法面の裏面が国道169の東野トンネルであり、カーブと接線の関係のように二つの道が並行した後、突き当たりではなく、鉄道のポイントのように合流していた。
GPSトラックの地図を見ると、確かにそのように描かれている。あまりに新道が高規格で造られてしまったので、旧道細道との合流点も新道基準になってしまったのかもしれない。谷底の道が延々登り返してやっと合流、などということになっていないだけ有り難いと思うべきなのだろう。
記 2018/6/2