紀伊半島Tour18#3
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湯ノ又→牛廻越
(以上#3-1)
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十津川側の下り始めは、道の外側の木が途絶えるほど山肌の岩場が切り立っている。
道の外側が開けて谷底と一体の空間となり、ただでさえ自分がいる高度をひしひし感じるのに、そんな岩肌をきりもみ急降下してゆくのは荒れ気味路面の細道なのだ。
こりゃたまらん 、峠から少し下った見晴らしの良い日なたで少し脚を停めてみる。
肌に熱さが感じられるほど日差しが厳しい。木陰が涼しかった龍神村側の登りを思い出す。詳細を楽しめた今回の訪問でも、前回と同じ「森の道」という印象が強く残った。ど晴天の朝一番、最高の裏の返し方だったと思う。
紀伊半島Tour18#3 2018/4/29 湯ノ又→小口 牛廻越 十津川村側下り 牛廻越→迫西川 #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA |
これは昨日から続く下北山の池神社の御利益かもしれず、池神社にはツーリングの神様がお出でだったのかもしれない。
見下ろす谷間に改めて高所恐怖を感じたり、周りの山肌の新緑と青空に眺め入ったり。まだ9時40分。こんなところで出発から2時間半強もかかっているものの、この分なら11時の国道168蕨生合流は楽勝だろう。などとこの時は思っていた。
杉の森の中、岩場や山肌に貼り付いた道を200mほど一下りすると民家が登場。迫西川だ。この生活感が強烈な山間の空中集落は、さすがに12年前から印象深く記憶に残っている。
学校跡の集会場に石垣、道幅に軒を寄せる農家、畑、庭先のツツジ等々、山中に突如拡がる生活感。「チロルのような」という形容がぴったりの営みに再び脚が停まる。この段階でもう10時前。牛廻越から国道168蕨生まで28kmなのに、30分でまだ4kmしか下っていない。さっき楽勝だと思った11時まで、あと1時間。これから引牛越・牛廻越の両方を合わせた中で一番くねくねしている区間なのだ。
もしかしたら、国道168合流は12時近くになってしまうかもしれないと思い始めた。それぐらいおれにもわかるぞ。
十津川側の谷間には小坪瀬・小山手・西中と小集落が断続する大字が続く。
西川の谷底と追いかけっこしながら、国道425は少しづつ高度を下げてゆく。目立ったアップダウンなど無く緩い下り基調が続くため、脚をあまり動かさずに下り続けることはできる。
しかし相変わらず道が細く、谷間がくねくねと曲がりくねっているため、下り経済運転可能とは言え、速度は速くても20km前半止まりでペースが全然上がらない。
そんなこと今日までの国道425では当たり前なのだが、この十津川側区間はそれが特に際立っている。
さっき想定した11時で、国道168までまだ7km手前の玉垣内を通過。
集落、というより民家があまり絶えないのは、上瀬から牛廻越まで12km完全に無人の谷間が続いた龍神側、そして場所的には1本南側の昨日通った県道760に比べて大きな特徴だ。小集落と小集落の間には森が続くものの、全体として集落が連続しているようにも見え、もう国道168の近くまで下りてきてしまっているような気分になる。そんなことも時間が掛かるという気分の一因かもしれない。
牛廻越、本当に手強いのは下りなんじゃあないかとも思わせられる。
でも、実は12時まで掛かっても、今日の予定にはあまり影響は無いぐらい余裕はあるのだ。焦る必要は全く無い。
西川の川原と谷間の空間全体がが拡がり始め、まもなく昨日看板を見かけて何か食べられる食堂があるのかもしれないと思っていた温浴施設「昴の湯」が登場。立ち寄ってみると、敷地内の建物外部レベルでは特にそういう文字はみられない。しかし自転車を停めて内部を伺うほど、まだ食料に不自由していない。民宿龍神の美味しそうなおにぎり、バームクーヘンだって食べずに残っている。ちょっと昨日の興味を確認してみたかっただけかもしれない。
気を取り直して「昴の湯」の前の短いトンネルを抜けると、そこが昨日の県道760との合流点だった。すぐに11:25、蕨生でやっと国道168に合流。
記 2018/6/2