西川角→替坂本→黒石
(以上#5-1)
→窪川→家地川→打井川
(以上#5-2)
→おんじ→檜の畝
(以上#5-3)
→住次郎→中村
(以上#5-4)
→来栖野→下長谷
119km
RIDE WITH GPS
14:00、中村発。県道346の四万十川橋から西岸の平地へ。ここへ来てまたもや雲は暗くなっていた。今日はついに晴れなかったことになるのかもしれない。もう宿まで直行しよう。
四万十河岸では昔ながらの町並み、中村宿毛道路近くではいきなり今時の幹線道路風ロードサイド店まっただ中、最後は中村宿毛道路の高架下に沿ってとぼとぼと県道346は西側の山裾へ。同じ一続きの県道346沿いにめまぐるしく変わる沿道風景の一見奇妙な取り合わせに、時代に翻弄される地方主要都市というようなものを見た気分になった。
そんな感傷とは全く別に、山裾から谷間に入ると県道346は急激に峠越え系細道に替わり、谷底の川沿いに高度を上げ、密森を名無し峠へ離陸していった。
名無し峠の標高は330m。さっきの鳥撃越の方が標高そのものは高いが、こちらは四万十川河口近くからの登り始めで標高差は320mぐらい。
それでもそんなもんではあるものの、間違い無く今日最大の登りである。
周囲の密林はなかなか眺めは開けない。
しかし、静かで落ち着いた道である。ややしっとり気味の路面には、サワガニもひょこひょこ登場した。
そして、そうこうするうち空は少し明るくなり始めていた。
峠の向こう側は、登り距離の半分ぐらいの下りだ。
狼内で下りが終わって唐突に森の中から田んぼに出た。狭い山間の田んぼではなく、いきなり拡がったにしては開けている谷間である。雲は相変わらず多いものの、辺りは直接太陽に照らされ、日なたになっていた。
山裾のT字路で、太平洋岸へと下ってゆく県道346とはお別れして、三原中心部へ向かう県道県道46へ脚を進める。
高知県南西部に訪れる観光客のほとんどは、中村・宿毛から海岸沿いに足摺岬や土佐清水へ向かうと思われる。かく言う私も、今回の旅程を計画するまで、海岸沿いの中村・宿毛・土佐清水に囲まれた内陸山間に、こんな農地が拡がっているとは思いもしなかった。しかし意外にも、ここ三原の谷間は、田んぼや畑が山間の平地一杯に拡がり、道も比較的しっかりしている。つまり、農業に対して機能的に整備された場所であるように思えた。
三原の谷間全体は全体として曲がりくねっているものの、三原の中心部や今日の宿の下長谷へも、もう一続きの谷間だ。このまま宿には向かえるのだが、折角日差しが出てきた。まだ15時過ぎ。
屈曲した谷間の平地はあくまで山間、終始農業に適した程度の広さであり、安定感や落ち着きが感じられる空間であるものの、迫力やら変化という観点からはやや物足りない。かといって天気は今すぐ悪化しそうにもなく、緊急に身の振り方を決める必然性に三原の谷間を隅々まで走り回るのだ、などという気がもりもり沸いてくる訳でもない。
というわけでやや受動的に三原中心部と下長谷への分岐へ脚を進める途中、ちょうどいい具合に上長谷で手持ちの地図に出ていない道を発見。道は谷間を挟む山の片方へ向かっていて、山の向こうは三原村の中心部だ。つまり、山をトンネルで抜けて。町へショートカットする道っぽい。そう言えば「三原のじまんや」という物産館があるんだった。何か物産館で食べられるかもしれない。
15:40、三原着。物産館「三原のじまんや」に寄ってみるものの、軽食コーナーは16時で営業終了らしく、もう店じまいに入っていた。そして夕方の物産館には、宿到着を目前にしたワタクシ的には全体的にちょっとボリューム多めのラインナップが待ち構えていた。もう少し暖かく、もう少し小腹系のものが食べたかったのだが、と思ってやっと、自分は何か食べる必然性があって具体的な何かを食べたい訳じゃなかったことに気が付いた。
雲は相変わらず早めに動いていて、空は再び暗くなり始めていた。徹底的に手持ち無沙汰な寄り道になってしまったものの、宿ももう近くだし、どぶろくが待っている。
16:05 下長谷「農家民宿 くろうさぎ」着。
お米の味が濃厚などぶろくを頂き、風呂に入って一寝入り。気が付くと、夕方になってやっと空は晴れ始めていた。近所へ少し散歩に出かけてみると、まだ雲は早く動いていたものの、大分低くなった夕方の日差しが、雲を物ともせず鋭く差し込んできていた。田植えが終わったばかりの田んぼも、山々を映した水面も、夕方の日差しで眩しく鮮やかだ。
明日の予報は6時の三原だけ雨でその後は晴れ。宿毛市の平田へ下ってしまえばもう晴れているかもしれない。そういう予定に対し、希望と確信が持てる展開だ。明日こそ予定通りの山間細道へ向かおう。その後は16年振りの宇和海だ。
記 2017/6/28