浜鬼志別→浜猿払→浅茅野
(以下#9-2)
→常磐→下頓別→中頓別
(以下#9-3)
→歌登
(以下#9-4)
→仁宇布
(以下#9-5)
→ファームイントント
130km
RIDE WITH GPS
防音断熱空調完備、外の音はほとんど聞こえないホテルの部屋で、今朝も4時から朝食を腹に詰め込んでゆく。まずみかんジュース、並行してカップ麺にお湯を入れ、カップ麺ができるまでおにぎりを1個。カップ麺を食べたら豚丼だ。口に物が入っている間は手が空くので、食べながら、部屋に店開きした荷物を再びサイドバッグへ戻してゆく。無駄に一杯持ち運んでいるような気も荷物であっても、前後左右それぞれのバッグに入れる物は決まっている。そして旅の途中で重量がかさむ地図(紙って重いんです)等を送り返す度、地図が空いた分に他のバッグから重い物を入れ替え、どうしてもカメラでフロントヘビーになりがちな前後の重量バランスをなるべく整えるようにしているのだ。
早朝で外がまだ暗いとあまり頭は働かない。でも、水アシストも動員して食べ物を身体に押し込んだり、荷物のバランスをぼうっと考えているうちに、今朝も順当な時間に空は少しづつ、何となく明るくなってきた。
やっと今日も1日が始まる、という気になってくる。人間の生活には、朝の光が必要なのだ。ホテル前、駐車場を挟んでやや遠くの国道238も見えてきた。音は全く聞こえず風景全体に強風が吹いているような動きも無い。静かな朝であるように見えた。これなら、昨日のような向かい風には悩まされずに済むだろう。
今日の天気予報をチェック。行く先のところどころで、到着予定時刻とは無関係に終日晴れ時々曇りマークが付いている。降水確率は概ね30%以下。劇的な晴れではなくても、雨に悩まされることは無いだろう。最低限、今日は仁宇布まで問題なく自走できるだろうと思われる。もし天気の実態がいい方に転んで、道道120を始めとする私的ポイントで青空が出てくれると、大変に有り難い。
一昨日と昨日の晴れの感動がまだ自分の中に残っていて、希望を持って1日行動しよう、と思える9日目の早朝なのだった。
5:30、ホテルさるふつ発。
国道238に出て走り始めた途端、北東から強い向かい風が吹いていることを思い知った。オホーツク海上の波も高い。ホテルの部屋で、風は止んでいると思っていたのは大きな間違いで、勢いが昨日の夕方ほどではなく、その分草や木が揺れていないので視覚的な動きが感じられないというだけの話なのだった。
それでも当面、開けた場所を南下し続けなければならない。
網走・稚内間の国道238は、オホーツク街道と名付けられている。しかしオホーツク海の海岸沿いの道となってその名に本当に相応しいと感じられるのは紋別以北であり、更に自転車で走ってまあツーリング的に落ち着けて楽しいと思えると思われるのは興部以北、いや、浜頓別以北と思われる。
この区間の大きな特徴は、今日のような低い雲と強い風に代表される、いかにも北の海岸らしく薄ら寒く厳しい印象の風景だ。たとえ空が晴れていても、基本的にはやはり何となく薄ら寒い北の海岸である。今この状況を鑑みるに、それっぽい場所でそれっぽい天気になっているだけの話なのかもしれない。そうだとしても、今朝はかなり肌寒い。
「芦野市街」という分岐が現れた。看板に市街と書いてあるものの、10年以上前の訪問では、人が住んでいそうな家屋は数軒だけだった。今はもっと減っているのだろうか。思考がやや愚痴っぽい方向に向かうのは、向かい風で風景が単調で天気が冴えないからだろう。風が強いだけあって、雲の動きはかなり速い。低くボリューム感たっぷりの雲が、次から次へとやってきては過ぎてゆくのが、薄暗い風景に動きと不穏な印象を与えていた。
しかし時々、海上の厚い雲が切れ、青空がちらっと見えたり、更に薄くなった雲から太陽がそこからかっと射してきた。その途端、面白いように気分がころっと変わり、何だか嬉しくなってくるのが我ながら可笑しい。やはり人間の生活には、朝の光が必要なのだ。日差しは安定しないものの、まずは前向きに浜猿払を目指そう。
などと取り留めない思いとともに、黙々と国道238を南下してゆく。向かい風で脚は重くても、脚を回しているだけあって確実に前に進んではいる。そういうところが自転車ツーリングの救いである。
浜猿払の手前から、毎度の如くエサヌカ線へ。
エサヌカ線でも、当然の如く向かい風は極めて強い。というか、国道238より風は更に強まってしまった。海岸に近い牧草地まっただ中に道が通っていて、牧草地の際は低い茂みだけで防風林など全く無いからだ。
ただまあ、それだけに草と空と道だけの眺めはここならではでもある。空に雲が多くても、景色を眺めている分には不自由しない、と考えることもできる。向かい風のせいでなかなか進まないという違和感がある、それだけの話だ。それにまだ早朝なので、いくらペースが遅くてもじれったいだけで、まだ先行きを焦らずに済む。
国道238と違い車が殆ど来ないのも、気持ちと身体が随分落ちつく大きな理由だろう。何かに走らされている気が全くしない。
海岸の牧草地に続く一直線の道は時々クランク状に、段階的に内陸側へスライドしてゆく。
拡がる平原の上の灰色の雲の塊は、重く、しかし次々と通り過ぎてゆき、その合間の青空が少しずつ増えたり、また減ったりしていた。今日は内陸側もどんよりしているようだ。
記 2018/1/14
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