天塩→稚咲内
(以上#8-1)
→豊徳→豊富
(以上#8-2)
→開源→下豊幌
(以上#8-3)
→曲淵
(以上#8-4)
→浜鬼志別
121km
RIDE WITH GPS
道道138が小石峠へ谷間を遡り始めると、途端に正面から冷たい向かい風が吹いてきた。ひょっとしてこれ、オホーツクから吹いているのか。
天気予報通りに、オホーツク海側は暑かった午前中の日本海側と全く違う天気になる事を、今実感できた。
小石峠は標高たったの160m。標高40m程度の曲淵からは、100m足らずしか登らない。坂の斜度も緩い。
しかし曲淵辺りから毎回やや表情を厳しくする天気の変化、谷間区間でも離陸区間でも稜線部でも感じられるその意外な程の山深さなど、峠の名に恥じない風格を持つ道だ。稜線部では欺し峠っぽいアップダウンも登場する。
15:00、小石峠着。
峠の鬼志別側に落ち込む谷間には、地形図に旧天北線の土手が描かれている。その辺りはもうすっかり茂みの笹に埋め尽くされている。しかし何となく、ああ、あの辺の山腹からトンネルを抜けた列車が谷を下っていったんだなと想像できるぐらいには、その雰囲気だけは残ってはいる。今回も一応目視確認しておくものの、あまりしげしげ観察しすぎて、熊など発見したくないとも思う。
たかだか160mの峠なのに、小石峠からオホーツク海までは21kmもある。かなり内陸にあるのは道北の峠に共通する特徴かもしれない。
峠から下り始めると、向かい風は更に強く、肌寒さを感じる程冷たくなり、空は目に見えて曇り始めた。これまでの夏らしい天気が、がらっと寒々しい雰囲気に替わってしまったのだった。オホーツク海岸の寒々しさがますます想像される。
フリースを着てもまだ寒い程の低温に震えつつ、峠麓の集落、標高80mの小石まで6km弱。
その後も、微妙なアップダウンとともに延々と下り基調の道が続く。アップダウンの一つ一つは大きいものでもせいぜい10m弱。決して大きくないものの、いくつもいくつも連続して、今日は向かい風と共に大変面倒だ。そして風景も、渓谷でも平原でもないだらっとした谷間が続く。
こういう時の現実逃避に有り難い自販機も、小石を過ぎると鬼志別まで10km以上無い。更に今日は強い向かい風で寒めの曇りなので、そのじれったさが度合いを増している。
やっと鬼志別を過ぎ、海岸の浜鬼志別まであと5km。向かい風は更に強くなったものの、空の雲が高くなって切れ始め、青い部分が現れた。海岸沿いだけは青空が現れているようだ。希望を持って、フロントをセンターに落とし、15〜20kmぐらいで何とか前へ、前へ。
最後の大きなアップダウンを越え、海が見えてきたときは嬉しかった。午前中には少し下方修正しすぎたかなと思っていたが、今この肌寒さの中で、考えられるのは宿の風呂のことだけ。この時間に着けるような行程で、つくづく良かったと思う。
15:50、浜鬼志別着。もう宿到着目前だが、道道138と国道237のセイコーマートで小休止しておく。午前中の豊富以来の、有り難く暖かい休憩場所である。ここで明日の朝食も買い込んでおかねば。
国道237をホテルさるふつまであと2kmちょっと。最後の最後で向かい風は絶好調、冷たい向かい風にもみくちゃにされた。
浜鬼志別漁港裏手の段丘登りでは、脚を回しても面白いほど前に進まない。漁港の向こうに拡がるオホーツク海には、やや高い波が次から次へと押し寄せていた。オホーツク海のこういう海面は、あまり記憶に無い。かなり風が強いのだと思われる。
16:05、ホテルさるふつ着。軒下への駐輪をお願いしたら、何とロビーの片隅に自転車を停めさせてくれた。道北最北部では、2000年代初頭にして既にベテランサイクリストの友人が野宿中に自転車をやられている。屋内駐輪じゃないと心配だという先入観が、私にはあるので、大変有り難い。
今日も走行距離は120kmちょっとだけ。そしてかなり早めの宿到着だ。浜頓別まで行く計画であったなら、この更にエサヌカ線経由で2時間半強、走行距離は160km台になったかもしれない。いやいやいや、昨日の午後と今日お昼過ぎまで晴れてくれたので、今の現実としては、何もこの寒さと向かい風の中をせこく距離を稼いでもしょーがないよ、というのが正直な気持ちだ。
昨日今日の快晴は、前半道東で天気が悪かった今回の旅全体の印象まで完全に変えてくれていた。何しろすっかり満足できていたのだった。
明日の天気は朝から曇り。雨にはならないようだが、仁宇布まで山間の道道120を予定している。天気予報が晴れじゃなければ、実際の天気はどう転んでも不思議は無い。途中で慎重に天気の推移を見定めた上で、極力16時までには山間を抜けて仁宇布に着くようにしたい。状況次第では、或いは国道40・道道60への迂回も必要かもしれないが、さて。
記 2017/12/29
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