岩松→(県道4他)中駄馬
(以下#6-2)
→(林道大峠線)大峠隧道→(林道西谷線)黒尊
(以下#6-3)
→(県道381)口屋内
(以下#6-4)
→(国道441)網代→(県道8)目黒
(以下#6-5)
→(県道8)松丸→(県道280他)日吉
(以下#6-6)
→(国道197他)鹿野川ダム→(県道32)大川橋
→(県道55・44他)大洲
171km
RIDE WITH GPS
5時になると辺りが次第に明るくなってくる。東京と比べると、30分以上遅い。昨夜また強くなった大雨は上がったようだ。それは部屋の中でもわかったが、外に出ると辺りはかなり濃い霧にどんより包まれていた。しかもというかいつものようにというか、けっこう寒い。大丈夫、今日は夕方までばりばりの晴れ予報、きっとすぐ晴れる。希望を持って出発しよう。
今日は大洲まで。その経路についてここ2、3日考えていた。当初の計画は黒尊スーパー林道を訪問し、国道320へ降りて松丸・日吉経由、国道197その他で大洲へ向かう、というものだった。標高1000mを越える黒尊スーパー林道の天気がいまいちな場合の代案もあった。2001年に通って以来忘れられない宇和海沿いの細道で八幡浜まで北上、あとは大洲へ裏道やら峠やらでスライド、というコースである。
どっちも魅力的であり、代案に至っては宇和島、宇和海の小さな港町、そして八幡浜と、それぞれじゃこ天の本場で揚げたてのじゃこ天を食べまくるというおまけ付きである。どちらを選んでも、もう片方へ行けないが悩ましい、と思っていた。
ところが何日か前ツーリングマップルで、黒尊スーパー林道の麓、黒尊川沿いの県道381に、「四万十川の支流の中で最も美しい景観が広がる」などという記述を発見してしまっていた。ツーリングマップルは読者の口コミ情報を載せているので、ある程度主観的な表現は珍しくない。しかし、「最も美しい」などという際だって主観的かつ断定的な表現を堂々と載せているのは、余程「最も美しい」のではないか。
しかし、岩松から大洲へ向かうのに、黒尊スーパー林道と黒尊川沿いの県道381の両方を通ると、どうしてもかなりの大回りになってしまう。
昨夜の結論は、国道320をなるべく経由したくない、というやや消去法的な理由から、黒尊スーパー林道は諦め、県道381方面へ向かう、というものだった。ここ数日の、「とにかくのどかな細道を走りたい」という気分に沿ったものだが、まあ疲れもあったのは否定はしない。
しかし一方で、黒尊スーパー林道にも行ってみたい、という気持ちもくすぶってはいた。
5:25、岩松「三好旅館」発。
▼展望360° 三島 濃い霧だが朝日は眩しい 画像上でマウスをドラッグしてください
霧の中を町中から岩淵、清重と集落の裏手を繋ぎ、県道4沿いに東へ。田んぼや集落の中、すぐに谷間全体がじりじり高度を上げ始める。
▼動画48秒 三島→岩淵 集落の裏道
裏道が県道4に合流する頃には、すっかり県道4も静かになっていて、時々通る農家の軽トラが通るだけ。
谷間全体の高度が上がり始めると、岩松上手からもともと狭かった谷間が更に一気に狭くなり、農村はいつの間にか終了して渓谷となっていた。
行く手に再び集落が現れ、曲がり角の向こう、山間が突然拡がった。6:30、御内着。
いつの間にか霧が少しずつ晴れていて、朝日が辺りを照らし始めている。山裾にはまだ霧が溜まっていて、朝日の反射が眩しい。シルエットのディティールが霧と影の中に霞んでいるが、明るい部分はもうくっきりと、棚田や畑に農村がよく見渡せる。
ある田んぼには苗が弱々しく消え入りそうで、ある田んぼは水を張ったばかり。毎日田植えが進行中のようだ。今朝もそろそろ農家の方が働き始めている。水の張られた田んぼや路上には、イモリ、それにもちろんカエルも大勢出動中だ。
眩しい朝の農村風景。自分はこういう風景が見たいこと、そしてこういう景色を見に四国に来たことが、今よくわかった。少しだけ残っていた、黒尊スーパー林道への気持ちは吹っ切れた。今日1日、可能な限り農村の細道を行こう。
記 2011/5/29