中ノ岐で折り返すと、道はおもむろに対岸の山腹をつづら折れで登り始める。
ここが標高差210mの恋ノ岐越、この奥只見湖岸で最大の丘越えだ。恋ノ岐というのは次の大きな谷の名前だが、同じ湖岸に続く道というより、むしろ峠を越えたところに同じ湖が回り込んでいる、という方がわかりやすいぐらいのこの湖岸の難所だ。
ぐいぐい厳しい登りだけあり、すぐに中ノ岐の谷間を見下ろし始めた。
眼前には紅葉の山肌が大きく切り立っていて、またもや思わず足を停めてしまう。
しばらく厳しい登りの後、尾根を回り込んで道は再び湖岸へと下って行く。
目の前に現れたこちら側の対岸に、谷の奥をぐるっと回り込んで再び登ってくる国道352が見える。もうすぐあそこまで行ってしまうのだ。
谷の深さはさっきの中ノ岐よりこっちの恋ノ岐の方が浅く、幅も狭い。
湖岸へどんどん下って行く道が下りきったところで、道はくるっと谷を回り込んで恋ノ岐を渡る。
橋から見える川もこちらの方がだいぶ狭いが、屈曲してすぐに見えなくなる谷の上流方向に漂う浮世離れした清らかさは、さっきの中ノ岐に勝るとも劣らない。
すでに12時を回ってしまった。もはや過去最速ペースから30分近く遅れている。仕方無い、景色がこんなに凄いのだ。これを見ずして何のツーリングだ。
記 2007/10/28