北海道Tour02 #3 2001.8/11 養老牛温泉→尾岱沼

養老牛温泉→(道道505・新酪農道・道道975・農道)西北標津
→(国道244)越川
→(道道)朱円西
→(国道334)羅臼
→(国道335)伊茶仁
→(国道244)尾岱沼
206km

尾岱沼

標津

薫別

羅臼

知床峠

宇登呂

峰浜

越川

根北峠

北西標津

上武佐

開陽

養老牛

養老牛温泉


 昨夜の天気予報では根室地方の降水確率は10/20。期待して起きてみると、どんよりした暗い曇り空。宿の前の路面は黒々と濡れていた。でも確かに雨は降っていない。濃い霧のようだった。
 せっかく5時10分に目覚めたが、これでは気合いが入るわけがない。何かとだらだらして、6:40、養老牛温泉発。のみならず、出発してすぐに気づいたサイクルコンピュータのセンサー周りのちょっとしたトラブルに対処しているうちに、あっと言う間に時間が経ってしまった。

 

 養老牛の交差点を、昨日やって来たのと反対方向に向かう。
 思えば毎年来るこの辺りである。今日は遠くは全然見えないが、風もなく霧に包まれて、静かに眠っているような牧草地にカラマツ林が、これはこれで素晴らしい。晴れた日の輝きをつい思い出してしまわない訳ではないが、こういうのも北海道の夏なのだ。
 いつものように川を渡るアップダウン、牧草地の中の喫茶店と無人ミルクスタンドで有名な「牧舎」、今はもうオリジナルアイスを止めてしまった北進台と次々通過。その後一気に下った後、有名な開陽台前の道に向かうために再び登り返す。
 開陽台の近くでは、山からやって来る霧がますます濃くなった。こんな状態で開陽台へ向かっても、意味無く激坂を登らされるだけだ。見送ろう。

 

 雨具は霧の水滴でしっとり濡れ始めていた。いつも楽しみにしている地平線が見えるこの道も、今日は霧で全く視界が効かない。
 それでも標津町に入り次第に海岸に近づくと、まだ曇りではあったが、霧は晴れて、路面が乾いてきた。

 9:05、西北標津着。
 根北峠への国道244との合流点、青い標識が見えてきた。ちょっと悪あがきして、国道と平行する農道で国道への合流を遅らせる。
 根北峠は標高は400m台と、そう大した峠ではない。しかしけっこう長距離のだらだら登り下りに、標津側にある小刻みなアップダウンがいやらしい。谷底から山腹のトラバースが始まった頃に拡がる、山深い木々の風景は魅力的だ。

 峠道に入って再び濃くなった霧は、登る途中で逆にだんだん薄くなり、なんだか周囲が明るくなって気温まで上がってきた。良い傾向だったが、峠の手前で再び霧が濃くなって、その後斜里側へ下りきった越川でも、霧雨は上がらなかった。

 10:45、越川着。小学校の前のいかにもそれっぽい万屋でパンを買い、小休止。
 道道を経由して斜里をショートカット、朱円西からウトロへ向かう国道344に合流する。さっきの越川から1kmぐらいしか離れていないのに、こっち側は路面が乾いており、霧雨もなくて見通しはいい。
 斜里から続く、テンサイとジャガイモ、麦畑とちょっと雑なカラマツの防風林が続く独特の風景が終わると、何回かのアップダウンを経て、海沿いの道になった。
 根北峠→ウトロというパターンは2年振りだ。ウトロへ向かう道は2年前拡幅工事中だった部分がきれいに完成していた。ウトロに近づくに連れ、曇り空が少し明るくなり、海の遠くの方のもっと明るい空も見えてきた。昨日の天気予報で見た、今日北から接近するという高気圧を思い出した。

 12:15、ウトロ着。いつものセイコーマートで昼食休憩にする。
 こっちに来て確かに雲が明るくなったようには見える。が、知床峠は標高750m以上。いずれどこかで霧雨の峠道になるのだろう。それに標高が上がると絶対に寒いと思う。でも、今日はここまで来たからもう引き返せない。霧雨も、多分土砂降りまでにはならないだろう。
 12:50、ウトロ発。予定通り、4年振りの知床峠へ向かうことにする。

 取付の橋からすぐに始まる登りを登り始める。知床五湖・岩尾別・カムイワッカの滝方面への分岐がある知床ビジターセンターまで、厳しい登りが続くのは記憶通りだ。そこからほんの少し坂は緩くなる。まだ霧は出ていなくて、標高150m辺りからはエゾゼミが鳴き始めた。このセミ、北海道の全域から東日本の山間部で見られるのだが、少しとろいところがあって、よく草の上とか路上で鳴いているのだ。今日も路上で鳴いているセミが見られた。

 もう350m辺りかな、と思っていると、270mの標識を見つけたりしながら、やがて本当の350mを越えた辺りで、ついに山の上の方から霧がやってきた。坂は依然として緩急のある緩めのだらだら、地図で見るとほとんど直登なのに。周囲の風景が霧で見えないので、正面の視界が無くなる辺りをなんとなく眺めながら、黙々と登る感じになった。まあ今日はこんな天気なので、仕方ないと言えば仕方ない。こんな日に自転車に乗るほうが悪いのだ。

 標高500mの標識を過ぎ、今まで道の両側にあった樹木帯が切れた。確かこの辺から大樹海が見えたはずだ、と思った。
 気が付くと霧の中が明るくなってきていた。雲が切れたのか、まあ長期的には良い傾向なのだと思う。見上げると、霧の中に青空の色が見えたような気がした。

 ほとんど同時に、正面の霧の中に、以前に見たとおりの巨大な山のシルエットが現れ、すぐにそのシルエットは緑色になった。霧が薄くなって羅臼岳が姿を現したのだ!
 で、でかい。間近なので岩や緑が精密に見える。空気の透明度が違うのか、その見え方に異様な迫力がある。その裾から続く原生林の樹海。
 呆気にとられている間に、恐るべきスピードで霧はすっかり晴れてしまった。こんなことが実際にあるのか。もはや空は濃い青、緑は太陽の光を受けて濃い色なのに輝くような勢いだ。
 これこそ夏の北海道の色彩だ。やっぱりこっちの方が絶対にいい。

 霧を吹き飛ばしてしまった風か、峠への道には強い風が吹き始めていた。太陽光線の熱気も醒ましてくれるので、都合がいいと言えばいい。

 そこから先、記憶通り峠はすぐだった。そうでなくても目の前の羅臼岳を眺めながら、有頂天になっていた。14:30、知床峠着。
 峠からはすぐ目の前の近くにさっきの羅臼岳の裾が続いていて、大きいというよりでかい、逞しいというより原始的な山肌がより間近に見える。こんなの前あったっけ、と思ったが、4年前も初めて訪れた1986年も、峠は羅臼方面から霧が吹き出していたのだ。
 峠の反対側、山の間の遠くに羅臼の町が見下ろせた。こっちも今まで霧にじゃまされて、見たことが無い。山々の間の羅臼の町は、あんな下、と言う感じではなく、地図通りに遠く、という印象だ。つづら折れやらいろいろあって、最終的にあそこへ下るんだな、と思った。今日は羅臼の町も晴れだったんだ、とも思った。
 その向こう、海の上の雲の中へ何げなく目をやると、それは雲ではないことがわかった。国後島の山々である。海の上にガスがかかっていて、その向こうの国後島の山々が、まるで空の中に浮かんでいるように見える。

 4年前は霧の中の下りだった羅臼側の道は、今日は見晴らしがいい。地図で見てもくねくねが連続するつづら折れが道の上から見下ろせ、楽しい風景だ。勾配はけっこう緩いようで、あんなにくねくねしてるのになかなか標高が下がらない、という感じだ。

 羅臼側に降り、標津へと向かう。しばらく道沿いに続く漁師町、羅臼峠(標高85m!)付近のアップダウン、その先の峰浜辺りの台地の道、記憶通りのちょっと独特の寂しく寒々しい風景が続く。国後島の岸が本当に近くに見えた。

 標津から先はしばらく海岸沿いやら海岸近くの湿地の中の道が続く。また出てきた雲に、反対側から差している夕日が反射し、その光が野付崎の静かな内海に赤紫とオレンジの中間の色に反射して、寂しいような鮮やかなような独特の風景を作っていた。
 18:40、尾岱沼「まきばの宿」着。

 2日目に行けなかった道東スーパー林道に行くアイデアが浮かんだ。明日宿泊予定の落石から、明後日鶴居に向かい、その次の日にアタックすればいいのだ。問題はその日の宿だが、更にその次の日に名寄へ行ける距離でないといけない。スーパー林道アタックの日も名寄まで行く日も長丁場だが、持ち駒の中では置戸の鹿の子温泉か、あるいは北見に泊まれば良さそうに思えた。あとはその日の天気だが、週間予報ではなんとなくやばそうにも思える。

記 2002.8/12

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Last Update 2003.12/12
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