四国Tour23#4
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起きるとかなり冷えている。標高は370m。昨日の東祖谷は530mだったので、標高だけで言えば昨日より低い場所で夜明けを迎えているのに、今日の方が遙かに寒い。切り立った山に囲まれた湖岸なので放射冷却で単純な谷底より気温が低いのかもしれない。
空は藍色から明るくなり始めた、透明感のある濃い空色だ。2階の部屋から窓の外(というより物干し台)に出て写真を撮ってみる。今のところは特に身体の重さや息切れは感じられない。ならば今日は町道瓶ヶ森線を目指すとしよう。せっかく今こんな場所にいるのだ。
6時半から朝食をいただき、防寒に雨具を着込んで7:05、小松「旅館筒井」発。
昨日の県道17を継続し、さめうら湖岸を上流方面へ向かう。
途中大勢の猿が路上から走り去って度肝を抜かれた湖岸の道やさめうら湖は未だ影の中だが、周囲の切り立った山々には上の方に陽差しが眩しいほど当たり始めている。
さめうら湖が上流側で収束して渓谷に替わる井野川では、深く落ち込んだ渓谷に、民家が点在する高台が島のように浮かび、その風景が又深い谷の中にある。宿かなと思っていた家屋が、今回準備段階の調査通りことごとく宿ではなくなっていることを、現地確認しつつ粛々と通過してゆく。
前回脚を停めて眺め入った風景は、横目で眺めて通過することにする。走り始めて、やはり昨日感じていた息切れはちょっとの登りでも起こることを実感していた。
どこも2017年訪問時の写真を、自分のHPで眺めている。相変わらず迫力満点の色彩豊かな風景に、新たな驚きは無い。しかし、やはり実際に眺める風景には空間感覚を伴う精緻さがあり、迫力では比べものにならない。出発直後からこの風景の中に身を置くことができる今日の幸せよ。全くじじいの身体は嫌だねなどと思いつつ、やはり出発して良かった、ということだけは確実に言える。
道沿いにも対岸の山々にも生い茂る新緑の広葉樹の柔らかく明るさ、湖から渓谷区間に替わってゆく吉野川の岩場や流れの荒々しさ。いつの間にか鮮明になってゆく登り基調に次第にペースが落ちてゆくものの、ひたすら楽しい最初の区間なのであった。
8:30、日ノ浦着。ここまで風景に立ち止まらないように進んできていたのだが、行程の指標として事前に確認しておいた前回の時刻、8:20よりやや遅れている。出発時刻が10分遅れであることを差し引き、まあまあ許容範囲である。
記 2023/6/4