北海道Tour23#4 2023/8/12(土) 開陽→札友内

開陽→中春別→上春別→大成→中虹別→萩野→仁田→弟子屈→札友内 (以上#4-1)
(以下#4-2) 区間2 (以上#4-2)
(以下#4-3) 区間3 (以上#4-3)
(以下#4-4) 区間4 (以上#4-4)
(以下#4-5) 区間5
 120km

赤は本日の経路 濃い灰色は既済経路と航路
RYDE WITH GPS

 4時、起きてすぐ天気予報をチェックしてみる。例によって昨夜とあまり変わらず、午前中は晴れか曇り、午後は弟子屈で18時から雨とのこと。当然雨は早まる可能性がある。行ってみたら現地では全く問題無いじゃん、という場合もありうる。両方毎度、いや毎日の話だ。気も揉まない。今のところは、朝日の当たる薄雲から見える青空が美しい。ならば晴れを信じて、まずは今朝も開陽台訪問だ。
 その後はどうしよう。午前中は晴れか曇りだ。
 どうしようというより、開陽から札友内への移動日として、根釧台地の内部へそこそこ入り込んだ後、国道243と仁田農免農道で弟子屈へ向かうという、毎度おなじみの予定コースは準備してある。しかし、昨日石川さんにご案内いただいた「俺の根釧台地(にわ)」コースが頭から離れない。これも石川さんドライブ後毎度のパターンだ。
 特に印象的だったのは、根釧台地を西春別から尾岱沼へ、ほとんど一直線で横断する区間だった。牧草地と防風林が比較的安定した台地上にひたすら続くのに、どういうわけか退屈にならずたっぷり感だけが後味として残っていた。思い出す度に、今日どうすればこの道を通ることができるか、思考はそっちに向かって仕方が無い。
 今日用として、予め天気が雨っぽい場合でも困らないように作っておいたコースのGPSトラックで、途中から合流できるだろう。潰しの利くコースを入れておいて良かった。
 しかしその後雲は完全に空を覆い、青空は全く消えてしまった。

 5:20、開陽民宿地平線発。今年も石川さんが道路の真ん中に出て、大の字で手を振って見送ってくださった。

 まずは町道北19を開陽台へ向かう。防風林が開けたところで早くも、見上げる開陽台の丘を低い雲が完全に包んでしまっていた。雲の雰囲気を眺めて霧だけの開陽台も静かで悪くはない。しかし、出発時点の空模様からこういう状況は十分想像していたので、この際目先を変えて「俺の根釧台地3」コースに向かってしまえ、とすぐに決めることができた。
 雲はあまり動きそうな感じではないし、開陽台は昨日たっぷり楽しめた。と開陽台を一目見上げ、今年の記憶として脳裏に焼き付けておく。またいつか。

 方向転換して町道北19を逆方向へ。曇り空の下ではあるものの、根釧台地を眺めて上武佐へ一下り。こうなると、早朝だし昨日休んだから脚も回る。何だか気分は202km出発そのもので、このまま202kmコースを浜中町の奥別寒辺牛辺りまで行っちゃえるような気すらしている。増長すると、あとで痛い目に合うに違いない。

 どうせ4サイドだしそもそも202kmコースじゃないので、8時に上風連に着く必要は無い。などと思いながら上武佐で脚を停め、新聞(を購読者が取りに来る)スタンドを眺めて自販機で缶コーヒーを飲んでおく。

 俵橋から、森と牧草地、河岸の茂みにひたすら続いてゆく202kmコースを、熊の出現に怯えつつものんびり南下してゆく。空を覆う雲は時間が進むにつれ次第に厚く暗くなっていて、標津町界を越える辺りでは低い雲が空を覆うまでになっていた。そういうのも含めて、いつもの根釧台地202kmコース通りだ。

 茶志骨の看板が見えてもまだ202kmの南下が続いていた。考えてみれば、昨日俺の根釧台地コースで通ったのは、尾岱沼だった。それならまだ南に進む必要があることは納得できる。以前尾岱沼手前のまきばの宿に泊まった時も、標津から宿までもうひとっ走りしたのを身体が憶えている。一直線区間の素晴らしさに気を取られつつ、石川さんの助手席でそれと意識せずかかなり南下していたことを改めて気付かされた。

 別海町の町界を過ぎて牧草地のまっただ中、突如分岐は現れた。「中標津」の矢印が出ていることにも驚かされる。中標津まではけっこう戻るはずだが。ここを通る人とその人が中標津へ向かう需要の割合で、一見遠回りにも思える看板の行き先は決まっているのかもしれない。


 6:50、俺の根釧台地3コースへ。
 202kmコースのいつもの感覚から離れ、のんびりゆっくりと横風から向かい風基調となった一直線の道をのんびり進んでゆく。しばらく緩い起伏に牧草地、時々牧場が現れる風景の中、最初は時々曲がりくねっていた道は、そのうち一直線区間に入ったようだ。

 南武佐では、昨日自販機があると教えていただいた物流倉庫に到着。折角教えていただいたばかりでもあるし、こういう時に自販機に立ち寄っておく。いくら私に学習能力が無くても、これで身体が自販機の存在を憶えてくれるだろう。

 概ね平坦、しかし「根釧台地でこれぐらい普通でしょ」という位に起伏のある牧草地に、延々一直線道路は続いてゆく。天気は終始暗めの曇り、時々水滴が感じられる程度に雨寄りだ。弱くはない風が追い風だったり向かい風だったり、そしてやや蒸し暑い。あまり冴えない天気である、としか言いようが無い。しかし昨日眺めた根釧台地らしさ溢れる風景には、飽きることが無い。そして時々現れる牧場や交差する道の看板は、地図を見なくても何となく自分の居場所を確認させてくれる。地図を見なくてもというより、道は合っているけどどこだかよくわからないというGPSトラックツーリング特有の感覚を、延々と続く根釧台地の風景と共に味わえる楽しさに、自ら浸っているようにも思われる。

 国道272交差点周辺では、以前根釧台地130kmで通った記憶がある集落(だと思うのだが)が現れ、突然頭の中で想像している地図と現実が結びついたように思えた。こういうのがとても楽しい。202kmコースとはまた違う余裕と、石川さんお奨めのコースだという安心感とともに、根釧台地ならではの好きな風景の中、楽しいツーリングになっている。

 上春別で事前に狙い定めていた道道311のトラックが現れた。そろそろ「俺の根釧台地」コースの一直線区間が折り返し地点に近づいているし、ここでに入る事前に組んでおいたコース通り、南へ向かうことにした。

 すぐに国道272沿いの中春別市街が現れた。8:50、セイコーマート到着。野菜とヨーグルト、もの足りない分はとうきび2本をむしゃむしゃかぶりつく。セイコーマートのとうきびは甘くてプチプチで美味しい。このとうきびがだいたいどこの店でも置いてあるんだから、頼りになる。Hotchefが大ヒットする前からセイコーマートお馴染みの、美味しくヘルシーでいいメニューだ。


 9:20、中春別発。

 国道272から南のエリアに入ると、遠景が霞んでいるようになった。風景だけじゃなく何とは無しに湿度とかいう以上に蒸している。そのうち牧草地のまっただ中で水滴を感じ始めたと思ったら、辺りは一気に霧雨に変わった。

 などとと思っている内に霧粒は大きくなり、路面が色付き始め、ポロシャツがしっとりして腕に結露して「そろそろ雨具を着よう」と思ったあたりから霧雨が止む、そんな繰り返しがしばらく続いた。

 遠景の森を眺め、地図を確認してみる。昨日通ったとき、南の行く手に見える森は矢臼別駐屯地だと思っていた。しかしその森は、想像していたより全然手前の単なる防風林であり、まだ国道243も過ぎていないことが確認できた。そして改めて、単に交差してるぐらいにしか捉えていなかった国道272と国道243の位置関係を再確認し、根釧台地のボリュームと202kmコース内面積がこんなに大きいのか、と思い知らされた。まだ南下する必要がある。

 等と思いながら牧草地をもう2区画進んだところで雨は本降りと言えるぐらいには強くなった。一昨日、牧草地の1区画向こうから天気がすぱっと雨に変わっているのを見ているので、この雨も場所次第なのだ、と思える。ここは地形と天気に逆らわずあっさりとさっきまでの決意を変更し、この辺で折り返すことにした。

 何区画か西にスライドし、突き当たった国道272脇の農作業道を経由してから、狙い定めて北上を開始する。予想通り、雨は北上するにつれ段階的に止んでいった。

 直行グリッドから外れややイレギュラーに大きな曲線を描くこの道、絶対通った事が無さそうだと思っていた。ところが、おもむろに現れたタイル張の建物は、2020年にここまで南下していて、昨日も眺めた農業共同組合の施設なのであった。ということは、ここまでは未済経路ではあっても、この先どっち方面へも既済経路なのだ。

 とはいえ、1本ずれると根釧台地一番北の道道885まで一直線で北上できない。既済経路とは言え根釧台地の風景を存分に楽しめる良い道なのはわかっている。既済経路が嫌ならそもそも根釧台地に来るなよ、という話でもある。

 気を取り直し、道道885の中虹別まで北上してゆく。もう雨の気遣いは無くなったものの、もはや霧だか低い雲だかわからない灰色の暗い雲が低い位置で空を完全に覆っている。こうなるともう、あとは淡々と札友内を目指すだけだ。


 萩野の農道も一昨日通ったばかり。国道243で標高差40mぐらいの鞍部を緩っと越え、仁田からいつもの仁田農免農道へ。

 低く薄暗い雲の下、未済経路、かつ肉食ヒグマが出没しなさそうな道を経由することに気を遣っていたので、時間をあまり意識して行動していたという気は無かった。しかし優先順位の低いところでもそういう選択になっていたようで、お昼にはばっちりの時間だ。自分には食事が一番大切なことなのだ。などとどうでもいいことを考えつつ、13:05、弟子屈「福住」着。
 お昼時なので店内は混んでいて、10分ぐらい入口で待った後に着席することができた。これでも12時に来たら、もっと混んでいたのかもしれない。
 着席して天ぷら蕎麦を注文し、一息付く。この分だと食べ終わってセイコーマートに寄ると14時半ぐらいにはなる。雲は厚く、晴れるような雰囲気は無いし、その後もう鱒やに直行するとしても、荷物を降ろしてちょうど15時のチェックイン開始にはばっちりのタイミングだろう。
 この雲の厚さだと、明日の天気が思いやられる。走るにしても摩周から輪行するにしても、この後立ち寄る弟子屈のセイコーマートで、明日のために物資を仕入れておく必要がある。そこで明日の天気をチェックすると、最高気温21℃、時間別も4分割も降水確率30%ということのようだ。予定コースが全区間平地だとこれでもいいんだが、津別峠・上里、チミケップ湖と山間が続くコースでこの予報だと、限りなくビミョーな判断基準ボーダーライン上だ。
 ちなみに今日の天気予報が中標津町も別海町も標茶町も降水確率30%、最高気温20℃だった。ここまでの根釧台地を思い出す。あれと同じなら大丈夫、かもしれない。しかし山中だし、現実が天気予報通りという保証も無い。
 安全側の判断をするなら、津別峠とチミケップ湖はまるまる断念するべきかもしれない。流石に運休輪行王の私でも、それは残念な気がする。でも安全側で考えると輪行、いや、そんなもん昔は全部走っちゃってたじゃあないか。北海道に来て5日目、そのうち3日を運休しちゃっちゃあいかがなものでしょう高地くん、という気もする。でもおれももう58歳。無理しない方が良いよ、という気もする。
 後でもう一度天気予報を確認して身の振り方を決めよう、と心を決めて少し待った後、美味しい蕎麦が来た。美味しい。今はこれが私の幸せだ。と言い切れる。

 14:10、福住発。

 セイコーマートへ寄り、一応明日の朝食と補給食を仕入れておく。補給食がパンだと、明日食べなくても明後日食べればいいのだ。クロワッサンの賞味期限が翌日であっても、自己責任だ。構うことは無い。などと気分を無理矢理変え、天気予報をもう一度チェックしても、事態は変わってない。さっきから1時間ぐらいしか経っていないので当然ではあるものの、悩ましい天気予報だ。まあ、頭の中はもう輪行一色かもしれない。

 15:00、札友内鱒や着。
 お風呂で天気予報をもう一度チェックしても同じなので、美味しんぼ好き登山家のどびーさんお奨めSCWも併せてチェックする。すると11時以降、北見地方内陸部が雨ということになっている。明日の経路で見ると、10時過ぎの津別で既に首の皮一枚だ。いや、津別を出発した段階で、11時以降の南から押し寄せて来る雨に捕まる、と考えられる。ありがちな、十分納得できる展開だ。
 これで明日の輪行が決定した。
 輪行区間は釧網本線と石北本線で摩周8:00→網走→生田原12:35だ。生田原の到着はやや早い気はするものの、その次は生田原到着がちょっと遅く、到着後に自転車を組み立てたり宿で温泉に入ったりするには時間が足りない。それに生田原にお昼過ぎに着けば、ホテルノースキングのレストランで食事もできる。これはこれで悪くない。
 それより、石北本線が数日前の豪雨により白滝・上川間で運休となっていて(結局8/20まで運休)、殆どの列車は遠軽止まりとなっている。私的には明日の輪行には影響しない。そして明後日は全区間で雨の心配は無さそうではある。しかし、しかし、もし明後日が雨なら、生田原→仁宇布の輪行が繋がらず、どこかで長距離タク輪を挟む必要が生じる。今年も私の旅程は紙一重で繋がっているのだ。そのうち、退っ引きならない事態に直面する日が来るのかもしれない。

記 2023/11/15

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