北海道Tour23#2
2023/8/10(木)札友内→開陽-1

札友内→弟子屈 (以上#2-1)
(以下#2-2) 虹別→ (以上#2-2)
(以下#2-3) 計根別→ (以上#2-3)
(以下#2-4) 開陽台→開陽  105km

赤は本日の経路 濃い灰色は既済経路

 夜、窓の外に森で雨が降っているような音がした。それは去年も同じだった。去年は札友内から津別峠へ登る途中で晴れ、その後津別峠からチミケップ湖へと、ここ15年ぐらいの間で最高レベルの晴天となったのだった。
 しかし今年は、5時に外に出ると霧雨が舞っているのであった。相変わらず降水確率は時間予報で7時まで30%、それ以降は午前中20〜10%。午後は中標津町で晴れることになっている。全て昨日とは変わっていない。ならばそれを信じて出発しよう。ここ弟子屈は、根釧台地と天気が違うのだ。天気予報が悪化しても、根釧台地ではいつものことだ。

 5:35、札友内鱒や発。

 RICOH GRV GR18.3mm1:2.8

 まず北側の牧草地から摩周湖外周の裾野へ。国道243から美留和へ向かう道へ入ると、辺りがひっそり人気が無くなると共に、牧草地を突っ切っているかのような国道から周囲の風景と一体化した。のんびり静かなようでも、国道243はやはり国道なのだと改めて思わされた。

 森、牧場、牧草地が入れ替わり現れるこの道は何度か通ったことがあるはずだが、印象としては風景よりこんな感じの雨っぽい天気と薄暗い空とセットだ。晴れている場合は大抵国道243か昨日も通った道道717で各方面へ向かうからであり、この道を使うのは専ら雨で美留和から輪行する場合であり、しかもそれは朝か夕方のどちらかだからだ。

 RICOH GRV GR18.3mm1:2.8
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 釧網本線の踏切では、すぐ脇にある美留和駅を雰囲気だけ伺っておく。

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 左要素

 1985年にまだ有人駅っぽく待合室が残っていたここの旧駅舎で駅寝している。確か鉄の同業者と同泊じゃあなかったかとも思うが、定かではない。そして2002年には、現在の小型駅舎に変わっていたここ(だと思っている)でインフレータを無くしている。JR北海道釧網本線の現状としては、駅の存続すら危ぶまれるような状態だ。

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 摩周裾の1本道へ入り込んだ辺りで、やっと腹に何か入れたいような気分になってきた。牧草地の静かな路上でパンを食べ始めると、霧雨が降り始め、すぐ止んだ。まだ空は暗い。天気予報で言えば、まだ雨の時間帯だ。

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 弟子屈まで牧草地を進む間、雨は止んだり弱く降ったりして断続した。いや、常に水滴は舞っていて、腕に水滴が貼り付いて結露状態になっていた。ずっと乾かないということは雨寄り、雨が降っていると言っていい、と認めざるを得ない。歯切れが悪いが、まあそういうことなのだ。しかし、たかだか開陽までの行程を止めて輪行に切り替えるほどの事態ではない。そもそも、弟子屈・中標津間を輪行移動しようとすると、一度釧路へ出て、多くの場合厚厚床を経由する根釧台地大周遊コースになってしまう。多少の事態なら、自走する方が遙かに手っ取り早いのだ。


 弟子屈で国道243を横断する。と思ったら、去年立ち寄った蕎麦屋「福住」があるお馴染みの交差点なのであった。つまり仁田方面から下ってきた交差点ということでもあり、私にとってお馴染みの場所である。
 雨が強くなり始めていた。ここで雨具(10年物のサイクルレインジャケット)を着込み、GPSトラックに従い予定通り磯分内へ。

 鐺別川沿いの土手へ。あまり意識せずにRideWithGPSでコースを描いた道は、歩行者自転車道風の河川管理道だった。車が来なくて走りやすく静かで、熊が出そうな茂みから程良く離れていていい。まあこれは、茂みに囲まれているより多少気分的にまし、というぐらいの話ではある。以前この道、確か砂利道だったように思う。久しぶりに通ってみると、全く新しいルートができているものだと思った。

 弟子屈の町外れで、土手の道は以前鱒やの橘さんに教えていただいた広域農道へ合流した。もう少し台地に乗り上げていたような印象があったこの広域農道、記憶に反し釧路川河岸の森に囲まれ、丘陵裾を淡々と辿ってゆく。

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 基本的には、釧路川沿い対岸に並行する国道391よりひっそりと静かな道なのが好ましい。ただ、この区間では国道243も、訪れてみると静かでなかなか好ましくはある。

 道は好ましく申し分無いのだが、雨は弱まることが無く、いよいよ本降りに移行している。まだこの時間は標茶町で降水確率20%なんだから天気予報の通りだ。雨が止むのが早まるという一方的な希望的観測の思い込みは忘れて、もう少しあと30分ぐらい、9時ぐらいまで我慢すれば雨は完全に止むはずだ。天気予報の通りなら。

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 磯分内で釧路川と国道391を渡って対岸へ渡り、道道1040で根釧台地の萩野へ。森と牧草地に続いてゆく根釧台地への登りは150m。かなり均等で、ほとんど登っているか何なのかわからないぐらいの、緩いといういより僅かな登りが延々と続く道だ。

 少し南に通る道道13よりもこちらの方が根釧台地への登りは楽だという印象があるものの、こんな登りでも朝からものすごい暑さのせいで、厳しく感じられた年もあった。或いはその日は向かい風が強かったかもしれない。愚かな私は苦しかったことを簡単に忘れてしまう。

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 周辺に牧草地が広々と続いて根釧台地っぽく開け始め、多和平の看板を過ぎ、それでも相変わらず小雨は止まない。時間は未だ早く、多和平の美味しいトマトシチューを思い出すものの、多和平のレストハウスはまだ営業してないだろうからここは通過しておく。またいつか多和平のトマトシチュー食べたいな。

 丘を緩っと乗りこえるとそこが萩野だった。どこからが根釧台地という定義は無いものの、ここなら文句無しに根釧台地に到着したという気になる。

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 国道243を渡ってそのまま見知った農道へ。

 ちょろっと登ったところが、本日当面の最高地点だ。しかし、根釧台地に来たら少しは変わると思っていた小雨は、止むどころかますます本降りだ。何か天気予報と違うぞ、とやっとこの辺から思い始めた。というより、曇り予報が実際には雨だったというパターンに填まりつつある、いつもの展開だ。我ながら学習能力が無いと思うし、それほど私の頭の中は希望的観測で一杯だったのだ。
 でもまあしかし、北海道に来て初日がまるまる運休だったので、今日みたいな雨でも走れるぐらいならあまり嫌な気はしない。何と言っても人里なのだ。

 農道からいつもの道道885へ。川の谷間を緩っと下って登った後は、直線の1本道に防風林と牧草地が続いてゆく。去年接地していた防風板が今回はもう完成している。山裾側の眺めがかなり悪くなっていても、根釧台地に来れたことが実感され、何だかむやみに嬉しくなる。
 中虹別の学校跡を過ぎたところでGPSトラックに従い、虹別へ下る道へ。牧草地と防風林の雰囲気に見覚えがあるような無いような気がしていたものの、やがて見え始めた虹別市街の眺めに、この道を確実に通ったことがあることが確信できた。

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 9:05、虹別着。市街の裏手から既知のセブンイレブンへ。軒先には先に休憩していた、やや小綺麗なウェアと自転車の男性3人組がいた。その一人のおじさんに話しかけられた。最初は日本人かと思ったが、外国の方っぽいようだ。
 まあ、全てはとりあえず食事ネタを仕入れてからだ。むしゃむしゃ食べながら軽く挨拶してお話しを再開する。何とシンガポールから見えたとのこと。もっと驚いたのが、私に話しかけて下さった方が「I'm 70」、何と70歳。どうみても50台後半〜60台前半っぽいのに。そして更にそのお3方は、親子+おじいさんのトリオなのだということだった。素晴らしい。羨ましい。
 少しの間、お3方とお話しさせていただいた。これから清里峠を越えて清里へ向かい、明日は女満別空港から帰るとのこと。コースは清里へ向かうなら車が殆ど来ないのでそれでベスト、難点は清里側まで商店はここが最終地点であること、自販機は養老牛の先峠の向こうの緑にあったかも無かったかもしれないこと、清里峠はほとんどだらだらで延々と長いことなどをお知らせしておく。
 お話しの合間に天気予報を再確認しておいた。天気予報自体は変わっていないが、時間予報がずっと10%なのに、1日の4分割予報では降水確率は30%になっている。これは不思議だ。しかし現実としてこの雨は、10%というよりむしろ30%に近いように思える。天気予報は総合的に見て判断しないといけないということだろうな。それに根釧台地にしちゃあ、今日は異様なほど蒸し暑い。どうもこの雨は、この湿気が原因なんじゃあないかとも思われる。ならば、今回の道東は雨周期に入っているところなのかもしれない。


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 左要素

 やや長めの休憩となったと思っていたら、大変都合良く急に雨が弱まった。これは出発せねば。
 9:35虹別発。段階的に牧草地のブロックを南下してゆく過程で更に雨は弱まり、空気中にあれほど舞っていた水滴はある段階で突然すっと消え失せた。少し向こうの西側は、未だ霞んでいる。これが天気予報の、標茶町降水確率20%の威力かもしれない。確かに天気予報通りに9時から10時の間ではある。

 西春別まで南下してゆく間、雨がぶり返したり止んだりしながら、周辺の霞も消えていった。

 西春別の市街は意外にすぐ現れた。とはいえ、さっき虹別で軽食も物資補給も済ませているので、あまり差し迫ってどこかに立ち寄る必要は無い。そのためあまり西春別到着を待ち望んでいたわけでもない。

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 以前石川さんに教えていただいた旅館の姿が町中に突如現れ、そうか、こんな角度で道は交差しているのだ等と思ったり、以前暑い日に営業中の飲食店を捜して見つからなかった後セイコーマートにお世話になったことを思い出し、今日みたいな日にはセイコーマートも立ち寄るかどうか悩ましいね、などと思う。今の私には西春別という市街地への到着は他人事だ。これも全てさっき虹別で補給を済ませたお陰であり、計画的なツーリングはこんなに効率が良いのだ、などと改めてまた他人事の様に思った。今回はそういう風な余裕のある行程で計画できている、ということかもしれない。 町並みをそのまま通り過ぎ、町外れの公園で標津線残党のキハ22等を遠目に眺め、西春別神社前の路上で自転車に跨がったまま昨日弟子屈で仕入れたクロワッサンで少し補給食休憩とする。もう天気予報では曇りの時間帯。未だ空は相変わらず暗く、路面はまだ雨の痕跡が残っている位に濡れているものの、一段落したという気になれている。

 次は大成へ。もう少し南へ下って頃合いの良さそうなところで東へ向かい、やはり頃合いの良さそうなところで折り返して計根別方面へ向かう経路をGPSトラックに用意してある。頃合いの良さそうという選択には、当然未済経路であるという意図が含まれている。

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 ところが、途中現れた農協施設には見覚えがあった。というより2020年に通っている道なのだった。意識しないと同じ道ばかり通っているなと思う。通った道を忘れているからこういうことになるのだ。使いやすいところを通っている道なのだ、多分。かといって根釧台地では、トラック無しだと地図を見てばかりなのににどこへ向かっていいのか全くわからない、という事態に陥ってしまう。GPSトラックがあれば、それに従うのが一番手っ取り早いのだ。
 自販機がこの建物には無いことも思い出した。事務所にいる方に頼めば、水ぐらいは汲ませていただけるかもしれない。しかし今の私は水は全然不足していない。
 まあそんなことを考えていられるのも、今日が暑くないお陰だ。あまり増長してはいけない。こういう時の不遜な気持ちは、必ず自分への後悔となって自分に返ってくるのである。

 RICOH GRV GR18.3mm1:2.8
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 道道13まで北上し、11:10、計根別着。
 何か食料品を仕入れられそうな店はセイコーマートぐらいだとはいえ、根釧台地で数少ない市街地だ。お昼には少し早いものの虹別から多少時間が経っているし、この先開陽まで商店らしい商店は無い。わざわざ計根別を経由しておく意図は、当然ここで何か腹に入れねばということだ。西春別と違って、今度は昼食を兼ねて少し休憩しておく。
 しかし何か食べたいものは思い当たらない。おにぎりはちょっとハードみたいな気がするし、パンは持っている。カップ麺はさっき虹別で食べた。こういう時にセイコーマートには、ちゃんとゆでトウキビがあるのが大変いい。やはり至れり尽くせりだ。


 11:40、計根別発。次は俣落方面へ。
 道道13から北の根釧台地は、山裾の道道885・道道150まで100m以上高度を上げてゆく。防風林と牧草地が整然と続き、川を渡る谷閧フ森ではやや大きなアップダウンを越えてゆく。もうすっかり中標津の風景だ。

 登り基調の斜面が続くのに、風景は広々として登りが全然登りに見えす脚だけが重くなる。休憩している間に雲は次第に高くなり、青空が見えて陽差しも現れ始め、陽差しが当たると辺りの気温が一気に高くなった。暑くてしょうがない、根釧台地の厳しさが一気に襲ってくるのだ。
 更に北上してゆく間、空には低く速い雲が多い。雲が速いだけあり、それ以上に何より風が強い。今回は幸い、追い風で助かっているというだけだ。それに雲が低いからか、陽差しが当たっているのにたまに雨はぱらぱらっと降ってきた。朝の空と雨を思い出すと、雨具なんて着る気にもならないぐらいのものではあるものの変な天気だ。
 途中通ろうと思っていた川沿いに降りてゆく道は、入口からダートだった。この道が川沿いに降りると、茂みから熊が出てきそうで怖ろしい気がする。仕方無く大回りだ。まあ、こういう事態はある程度覚悟はしていた。あまりにそれっぽいと思っていたから空撮での事前確認はしていないし、代替ルートも決めている。
 北進へ登ってゆく既知の道に合流すると、この辺りから目立って陽差しが現れ始めた。まだすぐ雲に隠れるような感じではあるものの、今日はもう雨になることは無いだろう。

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 俣落でまだ13時40分。これは雨じゃなきゃあ開陽台に寄らない訳には行かない。開陽台では何か食べることもできるだろう。
 今日のところはアプローチの10%登りで、いつもより快調な気がする。四国Tourの体力切れで不安だった体力の低下については、あまり心配無いように思える。まあまだ2日目、それに昨日は8kmしか走っていない。でもこれなら、明日の202kmや今後の津別峠も問題なく走れるだろう。思えば四国では、出発前から疲れていたんだろうな、本当に。


 14:00、開陽台着。やはり雲が低く黒く、駐車場からでも遠景は見えないことがわかる。でも、今年も開陽台に来れた。もうそれだけで嬉しく有り難い。
 例によってとりあえず展望台の喫茶「ラ・レトリ」で軽食してから展望台に登る。雲の下の根釧台地を見渡し、もう一度開陽台に来れていることそのものを有り難く嬉しく思う。
 まだお盆前の週の木曜日なのだ。これが今日の根釧台地であり開陽台なんだから、今日の開陽台を存分に楽しもうと思う。こういう気分になれるのも、毎年のように開陽台に来れていて晴れの日も天気が冴えない日もあるからだ。好きな場所を何度も訪れるのはこういう利点があると、自信を持って言える。

PENTAX K-1 MarkII HD PENTAX-D FA15-30mm1:2.8ED SDM WR パノラマ合成

 15:15開陽台発。そのまま下って15:30、一年振りの開陽民宿地平線。去年は秋の中標津ツアーを計画していたが、直前に台風がやって来ることになって行程全体をキャンセルした経緯があり、感慨深い。
 今日のお客さんは3人。そのうち一人は、MTB満載系のチャリダーだ。

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 3人揃って温泉へ送ってもらう頃には、空はすっかり晴れていた。しかし明日の天気予報は24時間の時間別で終日曇りマーク。更に終日予報だとどこにも雨マークが付いている。降水確率は10〜30%、昨日見た今日の天気予報より優れない。
 天気予報のこういう状態は、今日の午前中、いや、10時頃までの天気予報と実態と比べると理解しやすい。密度が高く細かい雨がつくづく思い出される。曇りマークの湿度が高くなって、ああいう天気になるんだろう。明日も今日と同じと思うのが自然だ。
 このままだと200kmコースは運休だ。今回は初日からして運休になっちゃってるものの、天気が低温と霧と雨の周期に入った根釧台地を前に、何を抗うことができるわけじゃあないことはわかる。それなら仕方無い。毎年来てるんだから、諦めも早い。それもまたリピーターの強みというものだ、等と自分で満足できる余裕すらある。

記 2023/10/29

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Last Update 2024/2/13
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