北海道Tour23#14
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えんじん橋からひと登りの後、母子里まで湖岸の森を反時計回りで進んでゆく。
アップダウンが延々続くとはいえ、斜度は緩くそれぞれの登り下りは長くない。深い茂みの笹に熊が潜んでても不思議じゃないとは思うものの、この道には全国に熊が急に出没し始めた2005年以前から訪れているせいか、梢が高く開放的な森の明るい印象が優っている。
それにさすがは国道、道幅に狭さを感じさせない。通る車は少ないながら、熊除けには十分なぐらいに通っている。急がなければ毎回安心な、淡々と楽しい印象がある道だ。その安心感にあまり根拠が無いことは、理解はしている。
雲が早めに動いている。再び湖岸の丘に登り切る辺りから上空に青空が続き始め、南岸の開けた原野辺りで完全に陽が差し始めた。早朝曇りで寒かったのが、日なたなりに少し気温が上がってきた。日陰はきりっと涼しいものの、足を停めると日なたはぽかぽかなので、ここでフリースを脱いでおく。
反時計回りしてゆく樹海の、時計で言うと6〜5時辺りで、道から朱鞠内湖が見え隠れし始めた。岸と湖が入り組み、波の無い静かな入り江が森と青空を映している。陽差しが当たる広葉樹は、秋ではあるもののまだまだ濃厚で明るく鮮やかな緑色だ。
ここも4年振りの道なので、森の木々が成長して高くなっている。湖面の見え方が記憶と少しずつ違うな、などと思いながら、しょっちゅう脚が停まって仕方無い。
道の脇に牧草地が拡がり始めた。そろそろ母子里が近いはずだ。丘を重機2台で掘り返しているのは土壌改良中なのか、或いは牧草地を拡げているのかもしれない。既知の道だと思っていても、少しづつ景色は変わっていくのだ。
何度訪れてもいつも雨か曇りが続く時もあるし、晴れでも急がないといけない日もあった。時間をかけているから脚を停める余裕があるし、余裕がある時に脚が停まる場所ではありがたく楽しめるものを楽しんでおくべきだ、などと思う。今日も焦ること無く、見たいものを思う存分眺めて、いいツーリングにしよう。
9:15、母子里着。まだ9時だし、折角の母子里だ。表敬訪問で交差点に訪れておく。交差点脇の元ホクレンスタンド前、元商店の自販機は今回も建っていてくれたので、コーヒー休憩とする。ここまでずっと涼しかったので、水をほとんど飲んでいないことに改めて気が付いた。缶コーヒーを一気飲みして、交差点をぐるっと見渡し、過去の訪問を思い出す。ぴりっとしないおやじツーリングであっても、こういうことができるのは大変嬉しい。
記 2024/2/18
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